新刊

コンピュータとは何か?

コンピュータとは何か?

コンピュータの創出に不可欠ないくつもの理論や科学技術を、ことば・情報・論理・思考・知識の5つのキーワードから紐解く。

著者 中村 克彦
ジャンル 情報・コンピュータ
出版年月日 2018/05/20
ISBN 9784501556402
判型・ページ数 A5・258ページ
定価 本体2,400円+税
在庫 在庫あり

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コンピュータの創出に必要不可欠ないくつもの理論や科学技術を、ことば・情報・論理・思考・知識の5つのキーワードから紐解く。コンピュータの起源から、人工知能・機械学習などの最新の技術まで、主要技術の相互関係を明らかにしながら解説。コンピュータはどのような原理で動作するのか、どのように発展してきたのかなど、コンピュータの基礎知識を簡潔に分かりやすく解説。コンピュータ基礎などの教科書向き。コンピュータに関心を持つ読者に贈る一冊。

まえがき
 われわれの先祖が森から草原に出て二足歩行を始めたことは,文字通りヒトとしての第一歩であった.ヒトは自由になった手を使ってさまざまな道具や衣類をつくり,住家を建てた.道具とその利用技術の発達とともに,ある時期にヒトはことばを獲得して知識を共有できるようになった.その後,ヒトはこのふたつの活動―ハードウエアとソフトウエア―を両輪にして独自の発展をなしとげた.
 コンピュータの出現は,ヒトがことばと文字をもったことに始まり,印刷技術や電信・電話,放送などによる通信手段の発展を受け継いでいるが,科学技術の発展がこれまで社会・文化に与えた影響の枠をはるかに超えている.この変革は産業や交通などの社会の仕組みだけでなく,医療,福祉など人々の生活のさまざまな側面で起こり,人々の思考や意識から創造活動までをも変えつつある.さらにはコンピュータが人間を超える日も遠くはないと主張する人々も現れている.
 この大変革はどのような科学技術上の発見・発明にもとづいているのであろうか.コンピュータとはどういうものか.どのように生まれたのか.コンピュータは何ができて何ができないのか.これらの問題は,機械がどれだけ人間にとって代われるか,これから社会がどのように変わるか,さらには,人間や動物の知能とは何か,そもそも知性とは文明とは何か,生物とは何か,などの問題にまで関係している.
 本書は,なるべく多くの人達がこの重要な問題に関心をもち,理解を深めるために役立つことを目的としている.毎日のように,最新のコンピュータ技術や人工知能(AI) の応用などのニュースがはなばなしく紹介されている.一方,コンピュータ技術には基盤となるいくつもの理論や科学技術があり,さらに日々発展を続けその領域を広げているので,何が基本で本質的かを選別することが難しい.このような考えから,本書は以下のことがらを基本として構成されている.
●コンピュータの起源はヒトがことばをもったことにある.まずことばと言語,情報の伝達=通信について考える.言語によってさらに抽象的な思考の枠組み=論理が生まれた.ディジタル回路は論理回路と呼ばれるように,論理はコンピュータの基本である.数学的に論理を扱う述語論理は意味の記述言語であり,人工知能の基本である.
●コンピュータはどのような原理で動作するか,またどのように発展したかについて,そのエッセンスをできるだけ簡潔に分りやすく説明する.
●「コンピュータに何ができるか,何ができないか」について,計算可能性,形式言語などの数理的アプローチとAI 研究のふたつの側面から考察する.
●述語論理にもとづくプログラム言語Prolog によって,基本的なアルゴリズムの簡潔で分かりやすいプログラムが示される.これによって,ハミルトン符号の導出,オートマトンの動作,形式言語の生成などを理論だけでなく実験・実証できる.Prolog を学ぶことは人工知能の基本である述語論理を理解するよいアプローチとなる.
●コンピュータとは何かを知りたい人,情報科学を学ぶ学生,すでにコンピュータに詳しい人達のいずれにも役立つという少々欲ばりなことを目標とする.情報系の大学・大学院で教えられている主要な科目,コンピュータの基礎(論理回路,ディジタルとアナログ,数の表現,コンピュータの動作原理),情報理論の基礎,アルゴリズムと計算量,形式言語とオートマトン,述語論理と論理プログラミング,人工知能と機械学習など全体を相互の関連を明らかにしながら解説する.
●基本的な概念については,その歴史や提唱者(発明または発見者),定義を明確にする.特に,情報,コンピュータ,ソフトウエア,知識,学習などの基本的な概念について新しく定義する.原語(英語) の用語に対して複数の訳語や誤った訳語が使われているケースが多いので,訳語についてはなるべく本文中および索引に原語を示した.

 ことば,情報,論理,思考,知識:これらが本書のキーワードである.情報科学が広範囲に発展したことを反映して解説すべきことがらもさまざまな分野にわたっている.理論と実際,ハードウエアとソフトウエア,アナログとディジタルなどを軸にしても統一的な観点を整理することは難しい.一方で,さまざまな項目はハードウエアとソフトウエアの領域を超えて,ほかの一見離れているようにみえる分野の項目と密接に関連している.コンピュータの原理から人工知能と学習までに関連するこれらの5概念は本書全体を統一しているキーワードである.

■謝辞
本書の出版を強くすすめて下さった小林春美先生(東京電機大学理工学部),ていねいに原稿を読み,多くの有益なコメントをいただいた築地立家先生(東京電機大学理工学部),今田圭太君(研究室OB),木戸間周平君(研究室OB),竹田悠大河君(東京大学大学院) の各氏に感謝する.また,本書の内容をよく表しているカバーと本扉のイラストを作成していただいた草地元氏(三重大学名誉教授),ならびに出版に関してご尽力いただいた東京電機大学出版局吉田拓歩氏に深謝したい.
2018年3月 中村克彦


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関連情報ページ
まえがき
第1章 ことばと情報
 1.1 情報とは何か
 1.2 ことばと言語
 1.3 言語と論理
第2章 通信の歴史
 2.1 電信
 2.2 アナログ情報と蓄音機,電話
 2.3 電波と無線通信
 2.4 真空管
 2.5 トランジスタ
  2.5.1 P型とN型半導体
  2.5.2 トランジスタの原理
 2.6 光通信
第3章 ディジタル情報
 3.1 数の表現
 3.1.1 位取り記法
  3.1.2 整数-負数の表現
  3.1.3 浮動小数点
 3.2 アナログ-ディジタル(AD)変換
 3.3 誤りの検出と訂正
  3.3.1 多重化
  3.3.2 パリティ検査とハミングの誤り訂正符号
 3.4 文字情報
 3.5 情報量と情報理論
  3.5.1 ハフマン符号
  3.5.2 シャノンの通信理論
第4章 ディジタル回路と論理数学
 4.1 論理数学と論理関数
 4.2 論理関数から論理回路
  4.2.1 MOS FETによる論理素子
  4.2.2 組合せ回路と論理式
  4.2.3 加法標準形
  4.2.4 カルノー(Karnaugh)図による簡単化
  4.2.5 加算回路
 4.3 フリップ・フロップと順序回路
第5章 コンピュータの出現と発展
 5.1 計算機の歴史
 5.2 電子計算機の出現
 5.3 Alan TuringとTuring機械
 5.4 フォン・ノイマン・アーキテクチャ
 5.5 コンピュータの動作
  5.5.1 主記憶,制御装置,演算装置
  5.5.2 アセンブラ言語CASL II
  5.5.3 割込み
  5.5.4 プロセッサの高速化
 5.6 ハードウエアとソフトウエア
  5.6.1 ハードウエアの進歩
 5.7 プログラム言語
  5.7.1 高水準言語
  5.7.2 言語処理系
 5.8 組込みシステム
 5.9 データ通信とインタネット
第6章 アルゴリズムとプログラム
 6.1 アルゴリズムと計算可能性
  6.1.1 停止問題
  6.1.2 アルゴリズムがあっても解の得られない問題
 6.2 基本的アルゴリズムと計算量
  6.2.1 基本的アルゴリズム1:索表
  6.2.2 基本的アルゴリズム2:整列化
 6.3 非決定性の計算
第7章 Prologと述語論理
 7.1 Prologを使ってみる
  7.1.1 プログラム例と実行
 7.2 Prologの構文と計算方式
  7.2.1 ホーン節の構文
  7.2.2 基本演算:単一化
  7.2.3 ゴールの系列に対する計算
  7.2.4 リスト
 7.3 プログラム例
  7.3.1 最短経路の探索
  7.3.2 ハフマン符号の生成
 7.4 1 階述語論理
第8章 オートマトンと形式言語
 8.1 オートマトン理論
  8.1.1 順序機械
  8.1.2 有限オートマトンと正則言語
  8.1.3 正則式
  8.1.4 正則言語を認識するPrologプログラム
 8.2 形式言語
  8.2.1 句構造文法(PSG)
  8.2.2 文脈自由文法(CFG)
  8.2.3 導出木とあいまいな文法
  8.2.4 算術式の文法
  8.2.5 プッシュダウン・オートマトン
  8.2.6 確定節文法(DCG):文脈自由言語の認識
  8.2.7 文脈依存文法(CSG)
  8.2.8 チョムスキーの階層
 8.3 セル・オートマトン
  8.3.1 ライフ・ゲーム
  8.3.2 自己複製
  8.3.3 一斉射撃問題
  8.3.4 並列言語認識能力
第9章 人工知能
 9.1 人工知能とは何か
  9.1.1 人工知能に対する否定的意見
  9.1.2 Turingテスト
 9.2 盤ゲーム
  9.2.1 MIN-MAX探索
 9.3 知識と推論
  9.3.1 知識表現の方式
  9.3.2 Watson:クイズ王への挑戦
第10章 機械学習
 10.1 学習モデル
 10.2 帰納論理プログラミング
 10.3 決定木(decision tree)
 10.4 遺伝的アルゴリズム
 10.5 文法推論
 10.6 神経回路と深層学習
 10.7 神経細胞のモデル
  10.7.1 パーセプトロン
  10.7.2 多層神経回路と深層学習
  10.7.3 ホップフィールド・ネットワークとボルツマン機械
あとがき
付録A 集合と関係,関数,グラフ2
 A.1 集合
 A.2 関係と関数
 A.3 無限集合と濃度
 A.4 グラフ(graph)
索引

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