高等教育におけるeラーニング

国際事例の評価と戦略

高等教育におけるeラーニング
著者 OECD教育研究革新センター 編著
清水 康敬 監訳
慶應義塾大学DMC機構
伊藤 健二
福原 美三
田村 恭久
寺田 佳子
堂下 恵
ジャンル 全て
情報・コンピュータ
出版年月日 2006/09/01
ISBN 9784501541903
判型・ページ数 A5・322ページ
定価 4,730円(本体4,300円+税)
在庫 在庫あり

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OECD教育研究革新センターの調査報告書

 eラーニングは,高等教育においてますます目を引く存在になってきている。eラーニングが成長している論理的な根拠は,多岐にわたっていて,複雑であり,しかも議論が分かれるところであるが,その根拠には,高等教育へのアクセスの拡大,キャンパスにおける教授法の革新,遠隔学習の充実,組織の変化,知識共有,新たな収入源の創出などが含まれている。
 OECD教育研究革新センター(OECD/CERI)は,これまでにも前述のような課題に取り組んできた。その成果は,例えば,The Partnership Challenges(2001)やInternationalisation and Trade in Higher Education ? Opportunities and Challenges(2004)において報告されている。本書では,eラーニングによって提起されるガバナンスと協働の新しい形態という課題について検討する。
 本書では新たな成果として,eラーニングの発達段階全体にわたって分布している19校の高等教育機関の実践を対象にした詳細な調査が含まれている。これらの高等教育機関のなかには,国際的にも最先端に位置しているものがある一方,別の機関は一般的な位置にあり,初期段階に属する教育機関もある。
 本調査は,グッドプラクティスおよび,より一般的な国際的なトレンドを解明するために設計されている。調査対象校は,13か国から選出された。その内訳は,アジア・太平洋(オーストラリア,日本,ニュージーランド,タイ),欧州(フランス,ドイツ,スペイン,スイス,英国),中南米(メキシコ,ブラジル),北米(カナダ,米国)である。参加機関との協定によって,しばしば教育機関は実名表記されている。
 この調査では,教育機関の戦略と活動に関して,これまでほとんどデータ収集をされたことのない情報を探ったが,これはeラーニングの導入理由,開発段階,開発の推進要素と阻害要素について,より正確に理解する目的があったからである。
 調査は,次に述べるような広範な疑問点を扱っている。なぜ異なる種類の高等教育機関がeラーニングに取り組み,また,どのようなタイプの取り組みが好ましいのであろうか。教育機関は,さまざまな種類のeラーニングに対して,何が教育方法上のインパクトになると考えているのか。教育機関は,eラーニングのコストをどのような方法で理解し,これは課金にどのような影響を与えているのであろうか。eラーニングの影響は,人材配置や人材育成に対してどのように及ぶのだろうか。どのようなタイプの学生(例えば,性差,学習の様式,居住地、学問分野など)がeラーニングを好むのであろうか。
 ケーススタディから決定的な結論が導かれるわけではないが,ケーススタディは,eラーニングの受講機会を提供しようと切望している教育機関や政府にとって,考慮しなければならない重要な一般的論点を指摘し,さらに将来の課題も示している。また,CERI自体は,関連するOER(Open Educational Resources)の活動に興味を持っている。OERの調査活動について2006年には結果が入手可能になる。さらに,CERIはボーダレス高等教育研究所(OBHE)と連携した。OBHEは,英連邦諸国の大学におけるオンライン学習に関する大規模調査を2004年に実施し,その調査項目の一部はCERIの調査と重複していた。OBHE調査の量的データは,OECD/CERI調査を補完するために活用されている。
 本プロジェクトはKurt Larsenによって開始され,Stephan Vincent?Lancrinの指導のもと進行した。田熊美保は,調査に参加した教育機関の連絡業務責任者であった。本報告書を主に執筆したのは,Richard Garrettである。田熊美保は,第1章,第6章,第8章,付録1,付録4を担当した。Stephan Vincent?Lancrinは結論の草案を執筆し,Fionnuala Canning,Delphine Grandrieux,田熊美保の協力とその他の同僚,とりわけTom Schullerの助言によって全原稿を校正した。本調査はヒューレット財団の助成金による支援を受けた。深く感謝する。本書はOECD事務総長の責任により発行されるものである。
 Barry McGaw
 Director for Education(OECD教育局長)
第Ⅰ部 活動と戦略
 第1章 eラーニングの学習機会提供と登録学生数
  1.1 オンライン利用度の種類/規模
  1.2 オンライン利用度とプログラム提供?OBHEの調査結果より
  1.3 「オンライン」学生数
  1.4 異なる学問分野におけるeラーニングでの学習機会提供
  1.5 学生のレベルと種類
  1.6 国境を超えた学生
  1.7 国境を超えたeラーニングの提供
  1.8 結論
  引用文献
 第2章 eラーニング戦略とその原理
  2.1 eラーニング戦略の諸形態
  2.2 eラーニング戦略の開発と修正のプロセス
  2.3 教育機関のeラーニングの提供
  2.4 結論
  引用文献
第Ⅱ部 教育法,技術,組織
 第3章 教育と学習への影響
  3.1 教育への影響
  3.2 eラーニング教育を決定する人物
  3.3 eラーニングに関する学生の指導
  3.4 教材と学習オブジェクト
  3.5 知的財産
  3.6 結論
  引用文献
 第4章 ITインフラストラクチャ:学習管理システム(LMS)とほかのアプリケーションの利用状況
  4.1 LMSの利用
  4.2 LMSの課題
  4.3 ITネットワーク
  4.4 ポータル
  4.5 その他の教育・学習関連アプリケーションの利用
  4.6 学務管理のためのオンラインアプリケーション
  4.7 教育と学務管理システムの統合
  4.8 教育と学生のためのコンピュータネットワークアクセス
  4.9 eジャーナルとeブックに関する戦略
  4.10 結論
  引用文献
 第5章 連携とネットワーク
  5.1 eラーニングと協議会
  5.2 第三者による利用計画
  5.3 アウトソーシング
  5.4 結論
  引用文献
 第6章 SD(スタッフデベロップメント)と組織改革
  6.1 組織改革の背景
  6.2 組織改革の形式
  6.3 eラーニング発展の障害
  6.4 人的資源の開発
  6.5 SDモデル
  6.6 結論
  引用文献
第Ⅲ部 コスト効率と資金調達
 第7章 資金調達,コスト,価格
  7.1 資金調達
  7.2 コストと価格設定
  7.3 結論
  引用文献
 第8章 現在の政府の役割:資金援助とそれ以外の支援
  8.1 現在の政府の役割
  8.2 政府とその資金の役割
  8.3 政府の資金提供以外の役割
  8.4 結論
  引用文献
 結論

付録
 付録1 OECD/CERI調査の回答教育機関の組織
 付録2 OECD/CERI調査アンケート
 付録3 OBHE survey,2004
 付録4 政府主導によるeラーニング推進の概要

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