オークション理論の基礎

ゲーム理論と情報科学の先端領域

オークション理論の基礎
著者 横尾 真
ジャンル 情報・コンピュータ
出版年月日 2006/06/01
ISBN 9784501541408
判型・ページ数 A5・160ページ
定価 本体2,500円+税
在庫 在庫あり

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ゲーム理論からオークション理論を解説

 本書はオークションの理論に関する入門書です.米国ではeBay,日本ではYahoo!,ビッダーズ,楽天などのインターネット上のオークションサイトが人気を集めており,買い物をする際,あるいは不用品を処分する際の選択肢の一つとして定着しつつあるようです.
 インターネットオークションで買い物をする際には,出品されている商品のどれを選択するか,また,いくらまでなら入札してもよいかなどの,さまざまな意思決定をする必要があります.また,出品する立場では,最低販売価格をいくらに設定するか,出品期間をどう設定するかなどを決める必要があります.これらの意思決定においては,自分の行動や利益のみではなく,他者がどのように考えて,どのように行動するかを考慮に入れる必要があります.
 このような複数の人間(プレイヤ)が,相手の利益や行動を考慮して戦略的に行動する場合の意思決定を分析する理論としてゲーム理論があります.1994年にジョン・ナッシュら三名のゲーム理論家がノーベル経済学賞を受賞し,さらに,2002年にジョン・ナッシュの伝記的映画「ビューティフル・マインド」がアカデミー賞を受賞し,また,2005年にロバート・オーマンとトーマス・シェリングの二名のゲーム理論家がノーベル経済学賞を受賞するといった背景により,ゲーム理論に関する一般の方の関心が高まっているように感じます.
 オークションの理論は,ゲーム理論をベースにしたものであり,あるオークション方式(プロトコル)を用いた場合の結果がどうなるかを予測したり,また,不正行為の影響を受けないなどの望ましい性質を満たすオークションプロトコルを設計するために用いることができます.1996年にはオークション理論の研究で知られているウィリアム・ビックレーがノーベル経済学賞を受賞しています.
 インターネットの利用により,オークションが非常に身近なものとなった一方で,顔の見えない多くの参加者が存在することから,誰もが安心して利用できるオークションプロトコルを設計するためには,このようなオークションの理論が重要となってくるものと考えられます.また,米国では近年,携帯電話の周波数帯域の利用権の割当てがオークションによって決定されています.限りある公共の財産を迅速かつ効率的に運用するための方法としてオークションが用いられており,社会的に望ましい結果が得られるオークションプロトコルを設計することが重要な課題となっています。
 このように,複数の戦略的行動をするプレイヤが集団で意思決定を行う場合に,望ましい性質を満足する社会的ルールを設計することは制度設計/メカニズムデザインと呼ばれ,ゲーム理論の一分野として活発な研究が行われており,オークションプロトコルの設計はメカニズムデザインの重要な応用分野となっています.
 本書では,オークション理論およびその基礎となるゲーム理論について解説しています.また,チェスや将棋のような一般のゲームに関する話題などの通常のゲーム理論の本では扱われない内容や,組合せオークションなどの情報科学とゲーム理論の境界領域の最先端の研究内容に関しても紹介を行っています.
 本書ではなるべく難しい数式は使わず,抽象的な内容よりは,興味が持てるような身近な例題を用いるように努力しています.本書により,ゲーム理論/オークション理論に関する興味を深めて頂ければ幸いです.
 2006年5月
 著者しるす
第1章 オークション理論とは?
第2章 ゲーム理論の基礎
 2.1 最も単純なゲーム:二人ゲーム
 2.2 ゲームの前提:合理的なプレイヤ
 2.3 優位な手を探す:支配戦略均衡
 2.4 相手の立場に立って考える:反復支配戦略均衡
 2.5 負けない手を探す:ミニマックス戦略
 2.6 相手に読まれないためには:混合戦略
 2.7 社会的に望ましい結果は?:パレート効率性
 2.8 裏切りは必然?:囚人のジレンマ
 2.9 ゲームが繰り返される場合:バックワードインダクション
 2.10 どちらも優位な手がない場合:ナッシュ均衡
第3章 繰り返しゲームとゲーム木検索
 3.1 ゲームの必勝法?
 3.2 ゲームの木
 3.3 負けにくい手を探す:ミニマックス法
 3.4 ミニマックス法の高速化:アルファ・ベータ探索
 3.5 人工知能のショウジョウバエ?:ゲームプログラムの歴史
 3.6 失敗しないプランを探す:自然を相手に対戦
 3.7 偽金貨問題の解答
第4章 オークションの理論
 4.1 相手のタイプがわからない場合:不完備情報ゲーム
 4.2 大学に行く理由?:シグナリング
 4.3 参加者のタイプ:個人価値/共通価値/相関価値
 4.4 セント・ペテルスブルグの逆説
 4.5 オークションプロトコルに望まれる性質
 4.6 望ましいルールとは?:メカニズムデザイン
 4.7 様々なオークションプロトコル
 4.8 どの方式が一番儲かるか?:収入同値定理
 4.9 談合の影響
 4.10 ビックレー入札の課題
 4.11 正直が最良の策?:誘因両立的なプロトコル
 4.12 呪われた勝者:勝者の災い
 4.13 複数属性オークション/調達
 4.14 怪しい商品?:情報の非対称性
 4.15 クイズ:大は小を兼ねる?の解答
第5章 オークションの発展:組合せオークション/ダブルオークション
 5.1 組合せオークションとは?
 5.2 誰が勝者?:勝者決定問題
 5.3 英国型を一般化:同時多数回オークション
 5.4 組合せオークションでも正直が最良の策?:一般化ビックレー入札
 5.5 フリーライダの問題
 5.6 一般化ビックレーオークションの性質
 5.7 クラークの税
 5.8 インターネットオークションでの問題点:架空名義入札
 5.9 ダブルオークションの概要
 5.10 ダブルオークションでも正直が最良の策?:MDプロトコル
 5.11 ダブルオークションでの架空名義入札の影響
 5.12 入札額を秘密にしたまま勝者決定?:セキュア組合せオークション
第6章 関連図書

参考文献
索引

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