FrameMaker 7.2によるXML組版指南

FrameMaker 7.2によるXML組版指南
著者 廣田 健一郎
ジャンル 情報・コンピュータ
出版年月日 2006/02/01
ISBN 9784501540500
判型・ページ数 B5変・418ページ
定価 本体4,000円+税
在庫 在庫あり

この本に関するお問い合わせ・感想

この一冊で容易にXML文書が作成できる

 本書は、Adobe FrameMaker7.2の構造化インタフェイスの操作と開発の方法を具体的に解説することにより、XML文書・SGML文書の作成・組版・多媒体展開を可能にすることを目的とする。ただし、標準インタフェイスのみを使用して非構造化文書を作成・編集したい読者にも必要十分な内容にしてある。
 FrameMakerは、DTPとワープロの利点を兼ね備えたアプリケーションソフトウェアであり、大量・多言語の文書・出版物を多人数で統一的に作成するのに向いている。HTMLや多機能なPDFなど、さまざまな電子文書への変換機能も充実している。
 FrameMakerの環境設定で構造化インタフェイスを選ぶと、XMLやSGMLの文書を簡単に編集し、美しく組版することができるようになる。同種のソフトウェアに比して①低コスト②高品質③高カスタマイズ性を誇るFrameMakerの構造化インタフェイスは、さまざまなXML・SGMLソリューションのうちで最も①導入のしきいが低く、②既存の組版物とのギャップが少なく、③利用者の要求に即応した自動化が容易であることから、その実用性によって広く企業・機関に採用されており、産業の第一線の現場を地味に堅実に支えている。
 本書の解説は最新のWindows用FrameMaker7.2日本語版に基づいているが、他のプラットフォームの他の言語版でも操作は基本的に同じである。7.1と7.0に対しても本書のほとんどの記述は通用し、かなりの記述は6.0や5.5にも通じる。
 なお、本書の執筆・組版にはWindows用FrameMaker7.1および7.2の日本語版の構造化インタフェイスを使用した。

 一般に少数の開発者と多数のオペレーターという区別が画然と分かれるのが、構造化文書編集の現場である。FrameMakerの構造化インタフェイスを利用する場合もその例外ではない。そのため本書でも、構造化文書については、オペレーター向けの章との峻別して示す。一方、非構造化文書については本書では両者の区別をしないことにする。
 本書は、対象読者ごとに、以下の3編に分かれている。
 ・導入編(第1章)・・・・・・構造化文書の導入担当者向け
 ・操作編(第2章?第7章)・・・・・・構造化文書のオペレーター向け
 ・開発編(第8章?第10章)・・・・・・構造化文書の開発者向け
 また、非構造化文書のみを扱いたい読者はこのうち第1章?第3章と第6章?第8章だけを読めばよいように構成した。本書右端のツメにその別を示す。

 なお、この「開発編」のつづきともいうべき、構造化文書のEDDや読み書きルールの開発についての内容は、残念ながら量的にこの1冊に収めることができない。ゆくゆくは本書の第②巻として刊行したいという希望を著者は持っているが、当面は、FrameMakerに付属の文書を参考していただきたい。
 構造化文書の基本概念・利点、XML・SGML・HTML・PDFの仕様・活用法、組版の規則・用語などに関する解説はすべて他の情報源にゆずる。良いソースがすでに多数出版・公開されているので、必要に応じて参照してほしい。また申し訳ないことだが、プラグインの具体的な開発方法はFrameMakerの真髄ともいうべき一番楽しい部分なのだが今回紙幅の都合から記すことができない。

 FramMakerやXML・SGMLの世界では、「文書構造」の統一ということが非常に重視される。それは読者の便宜にもなるし、文書利用の自動化を容易にするし、作成のコストも下げるからである。したがって大量の文書を作りはじめる前に、まず開発者が需要者と相談して、その文書構造や一貫したレイアウトを厳密に定めることになっている。普通のDTPと比べると、この開発部分のウェイトが大きいため、実際の文書編集が走りだすまでに時間と労力がかかるが、走りだしてからの運用効率は非常に高い。
 開発段階におけるこのすりあわせと文書構造定義の良し悪しは、プロジェクトの成否自体を決定的に左右してしまう。従来型のDTPのように成りゆきでなあなあという受発注はまったく通用しない。そのため、開発者にはさまざまな技能が要求される。最低限、構造化文書に関する経験と組版に関する知識は兼備していなければならない。その上で、慣れない需要者からの曖昧でときに相矛盾するさまざまな現状情報を綜合し、そこから技術的に実現性のある具体的な提案を創って通すプロとしてのシステムエンジニア的能力の発揮が求められる。多媒体展開のためにはPDFやHTMLの知識もある程度必要になるし、利便性や構造変換精度をさらに上げたければ、XSLTを書いたり、C言語でFrameMakerプラグインを作ってソフトの動作をカスタマイズしたりといった選択肢も視野に入れることが望ましい。
 その一方で、構造化文書の場合、開発者でないオペレーターに求められるスキルはじつは通常のDTPソフトほど高くないため、文書量に見合う多くのマンパワーを短期間で養成することも可能である。構造化文書のオペレーターの作業は、ただ構造のタグや属性を規則どおりに付けたり替えたりしていくだけであり、レイアウトに直接さわることはまずないと言っていい。あってもせいぜい貼り付け画像を規定どおりにリサイズするといったレベルの単純作業であり、「超絶テクニック」とか「ハイセンス」が求められる場面はオペレーターにはまずない。

 筆者の職場では以前からFrameMakerを利用したさまざまな業務を行っている。開発の上で経験したいろいろなエピソードは思い出深く忘れることができない。本書が多くの人の役に立てばFramaMakerのファンとして嬉しいと思う。
 末筆ながら、本書の執筆を許してくださった株式会社ユニット猪股義城氏に深く感謝します。同社の水口実氏には、執筆後の査読・助言および制作補助をしていただき大変助かりました。また、脱稿が桁外れに遅れたにもかかわらず出版を許してくださり、大変お世話になった東京電機大学出版局 植村八潮氏に重ねて御礼申し上げます。

 2006年1月 筆者
はじめに
第1章 【導入編】なぜFrameMakerなぜXML
 1 だれがFrameMakerを使うか
 2 2つのインタフェイス
 3 書式リッチなXMLエディタとして
 4 リアルタイムXMLパーサとして
 5 美しいXMLフォーマッタとして
 6 多媒体展開のために
第2章 【操作編】FrameMaker環境
 1 FrameMakerのインストールと起動
 2 文書ファイルを開く
 3 画面表示方式を変える
 4 プリントする
 5 文書ファイルを保存する
第3章 【操作編】テキストを編集する
 1 テキストの基本操作
 2 テキストを挿入する
 3 テキストを検索・置換する
第4章 【操作編】構造を編集する
 1 構造の表示
 2 要素に自動でつく書式
 3 構造の中を移動する
 4 要素の中のテキストを編集する
 5 構造の中身を選択する
 6 要素を挿入する
 7 要素を分割する
 8 要素を移動・複製する
 9 要素を削除する
 10 要素を結合する
 11 要素でラップする
 12 要素をラップ解除する
 13 要素を変更する
 14 属性を編集する
 15 要素や属性を検索・置換する
 16 文書全体の構造を検証する
 17 非構造化文書を構造化する
第5章 【操作編】XML文書編集環境
 1 構造化アプリケーションを導入する
 2 構造化アプリケーション定義ファイル
 3 構造化アプリケーション定義の記述
 4 プラグインをインストールする
第6章 【操作編】各種ページ内容を作成・編集する
 1 ページレイアウト
 2 段落書式と文字書式
 3 画像と図形
 4 表
 5 脚注
 6 相互参照
 7 ルビ
 8 変数
 9 色
 10 書式・EDDを取り込み
第7章 【操作編】文書の統合と多媒体展開
 1 ブック
 2 目次
 3 索引
 4 コンディショナルテキスト
 5 文書の比較
 6 名前空間
 7 PDF化
 8 HTML化
第8章 【開発編】ページ内容書式開発
 1 文書とページ
 2 ページレイアウト
 3 マスターページとリファレンスページ
 4 ページの追加と削除
 5 テキスト枠とフロー
 6 段落書式・段落タグと文字書式・文字タグ
 7 段落の基本書式と文字組み調整書式
 8 フォントとスタイル
 9 段落のページ内レイアウト
 10 自動番号
 11 段落上/下の自動グラフィック
 12 表
 13 脚注
 14 相互参照
 15 ルビ
 16 変数
 17 目次
 18 索引
 19 コンディショナルテキスト
第9章 【開発編】XMLありきの場合の開発の流れ
 1 DTDを読み込んでEDDにする
 2 EDDをテンプレートに取り込む
 3 構造化されていることを確認してみる
 4 構造化アプリケーションを定義
 5 XML文書を開いてみる
 6 EDDで構造に書式づけ
第10章 【開発編】XML化したい場合の開発の流れ
 1 既存の非構造化文書を開く
 2 EDDで構造と書式を一から作る
 3 既存の非構造化文書に構造をつける
 4 EDDをDTDとして書き出す
 5 XML文書を書き出す

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