実践情報科教育法

「ものづくり」から学ぶ

実践情報科教育法
著者 本多 満正 編著
坂口 謙一 編著
長谷川 元洋 編著
丸山 剛史 編著
村松 浩幸 編著
阿部 二郎
荻野 和俊
門田 和雄
川俣 純
紅林 秀治
ジャンル 全て
情報・コンピュータ
出版年月日 2004/02/01
ISBN 9784501536800
判型・ページ数 A5・200ページ
定価 2,420円(本体2,200円+税)
在庫 在庫あり

この本に関するお問い合わせ・感想

大学教職科目「情報科教育法」絶好の教科書

<まえがき>
 本書は,主に,大学での教職科目「情報化教育法」の教科書ないし参考書として編集されたものである。
 「情報化教育法」は,「高等学校教員免許状(情報)」や「同(情報実習)」の習得のために必要とされている授業科目の一般的呼称である。これらの教員免許状は,1999年の高等学校教育課程基準改定により高等学校の普通教育と専門教育の中に新設された教科「情報」を担当する教員の有資格を担保するものである。このうち,普通教育の一環として位置づけられ,必履修教科とされた「情報」は,学校教育全体で目指す情報教育の中心ないしは頂点に位置づけられた教科であり,2003年度から全国の高等学校で実施され始めている。
 ところで,教科「情報」ばかりでなく,情報教育を担当するあらゆる教員には,「情報化」への的確な対応が強く求められている。本書もこの社会的要請にこたえるべく,それにふさわしい内容をできる限り網羅することに努めた。ただし本書では,今日グローバルな規模でよりいっそう進展しつつある「情報化」とは,単に日常生活の種々な場面にコンピュータが組み込まれていくを指しているのではなく,そうしたユビキタス的日常を現実のものとして実際に生み出しつつあるものづくりの世界における情報技術の発展を推進力とした極めてダイナミックな社会・経済的動向であるとみなしている。ものづくりの世界の情報技術は,大きくは,コンピュータ制御技術とディジタル通信技術,そしてそれらを統一的にシステム化している情報通信ネットワーク技術に代表されると言えるだろう。本書は,こうしたものづくり技術のうちの情報技術に注目することで,すべての高校生を,コンピュータが組み込まれた種々な<日用品>の消費者としてではなく,むしろ逆に,生活に密着した多様な情報技術を自らの手でつくり出し、そういった意味で真にユビキタスな(“どこにでも存在する”)情報化社会を構築していくことができる創造的かつリアルなネチズン(ネットワーク・シチズン)に育てたいと願っている。言い換えると,本書はこうしたプロダクティブな情報教育を担う教員の養成を意図した書物である。
 いまや多くの高校生ケータイを「命綱」として激動の時代を生き抜いている。にもかかわらず,彼/彼女らは,ケータイで通話しているときに,たぶん自分のケータイから相手のケータイに「何か」が「一直線」飛んでいるのだろう,ぐらいにしか考えていない。考えないどころか,「何が,どのように飛ぶのかなんて,考えたこともない。別にどうでもいいじゃん,そんなこと・・・」。  比較的に言えば,本書はこうした高校生に,「でもすごいよね。ムービーも飛ぶよ!」とこたえる。本書は,コンピュータや情報通信ネットワーク等の情報技術の仕組み執着し,そこに潜む人類の英知のすばらしさや,情報技術を利用してさらに発展した情報技術をつくり出している人々の労働のおもしろさを実感豊かに理解させることを通して,情報技術の本質的な部分をつかみとらせる情報教育が大切であると考えている。本書では,このような創造的な情報教育を,普通教育としての情報技術教育と称している。
 本書第1部には,本書を貫く視点を情報教育および情報技術の現状に沿って叙述した。併せて情報技術教育の授業論も展開した。第2部では,教科「情報」以外の情報教育(情報技術教育)の実践にも目を配り,子ども・青少年をものづくりの世界へと導く豊かな教育実践を取り上げた。付録には,教師の教材研究にも役立つよう,情報技術をめぐるやや専門的領域に踏み込んだ内容をいくつか掲載した。困難な諸課題を抱えてスタートした教科「情報」の教材・カリキュラム開発,授業づくりに本書が有効な糸口を与え,微力ながら情報教育実践の発展に少しでも寄与できれば幸いである。
 最後に,本書の編集でひとかたならぬご苦労をかけた,東京電機大学出版局の植村八潮さん,松崎真理さんに,この場を借りて厚く御礼申し上げたい。
2004年
編 者
第1部 教科「情報」とものづくり
 第1章 教科「情報」の成立と動向
  1.日本の「情報教育」の展開過程とその特徴
  2.ものづくりの限界世界へと導く普通教育としての情報教育の意義
  3.教科「情報」の構成と免許・単位認定
 第2章 産業・労働の変化と情報技術
  1.情報技術の進展と水平分業型企業経営
  2.町工場のIT革命
 第3章 情報技術を核としたカリキュラム、授業論
  1.情報技術の学力と教育目標
  2.情報技術の授業設計と評価
  3.情報技術のカリキュラム

第2部 情報技術の授業実践
 第4章 通信・ネットワークの授業実践例
  1.ためしてわかる通信とネットワーク
  2.インターネットの仕組み
  3.音だってディジタル
  4.データの圧縮技術
 第5章 制御・ネットワークの授業実践例
  1.自動化から始めるコンピュータ学習
  2.ドリトルを使ったロボット制御
  3.ネットワーク下のロボット開発による情報技術実践
  4.生活管理へつながるアルゴリズム、ソフトウェア化
  5.PICマイコンによる制御
  6.製品開発の現場から学ぶ
 第6章 チームワークを支える情報技術の授業実践例
  1.「失敗データベース」による経験知の共有化
  2.チェーンメールを考える
  3.ITによる企業組織の変化

付録
 付録A 高度情報通信社会の諸問題
  1.情報通信の危機管理
  2.情報通信ネットワークにおける著作権
  3.情報通信ネットーワーク犯罪と法律
  4.メディアリテラシーとクリティカルシンキング
 付録B 学習指導要領と関連答申
 付録C 本書で紹介した教材・教具

索引

ご注文

定価2,420円
(本体2,200円+税)

外部サイトで調べる

シェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加

同じジャンルの商品

おすすめ書籍

お知らせ

一覧