理工学講座 通信ネットワーク (単行本)

理工学講座 通信ネットワーク
フォーマット:
単行本 電子書籍
著者 荒谷 孝夫
ジャンル 全て
電子・通信
シリーズ 理工学講座
出版年月日 1997/09/01
ISBN 9784501319106
判型・ページ数 A5・234ページ
定価 2,750円(本体2,500円+税)
在庫 在庫あり

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電話網,移動通信,ISDN等のしくみと構成要素を工学的な立場から解説。

<まえがき>
 現在利用されている情報通信ネットワークの中で,最も規模の大きなものは電話ネットワークであり,電話は指定するユーザ間を1対1の接続形式で結びつけ,音声をリアルタイム(即時)で伝える電気通信サービスである。音声信号は電話機,交換機,伝送路からなる電話ネットワークを通して伝達される。ネットワークにおける信号伝達のしくみと構成要素となっている各種の機器は,技術の進歩と共に見直され,効率のよいものに置き換えられてきているが,近年の動向としてはディジタル技術,LSI技術,光ファイバ伝送技術の急速な進歩により,電話網はアナログ網からディジタル網に変貌し,そして伝送路の光化が全面的に進められている状況にある。その結果,電話網は機能,性能,信頼性,通信品質が非常に向上したが,ディジタル通信と光通信はもともと非常に優れた素質をもっているので将来に向けて更に大きな発展が期待されている。
 近年は電話ネットワークを基礎に更に二つの新しいネットワーク,すなわち携帯電話を使う移動通信網と,伝達情報に電話以外の多様な情報も対象とするサービス総合ディジタル網(ISDN)が出現し,ユーザは急増し共に急成長するに至っている。移動通信は“いつでも”,“どこでも”,“だれとでも”で表現されるパーソナル通信の要望に応える無線系の新しいサービスを提供するものであり,ISDNは“なんでも”で表現されるマルチメディア通信の要望に応える新しい統合化されたサービスを提供するものであり,両者とも現在の情報化社会を支えるインフラストラクチャとしての重要な役割をもつネットワークと位置づけられている。
 上述のネットワーク以外の情報通信ネットワークとしてはデータ通信網,ファクシミリ網などがある。データ通信は主として企業内の業務処理にコンピュータが使われるようになって特に発展を遂げた通信であり,遠距離のデータ通信は低速の場合は一般の電話網を使用し,多量のデータを高速で伝送するときには専用線を使っていた。近年のコンピュータの発展と低価格化によりデータ通信は大きく進展し,データ通信のための各種の構内網,公衆網,私設網が多数構築されてきた。一方ファクシミリ網は電話網とその上位網に蓄積変換機能を備えた独自のディジタルネットワークとで構成されているネットワークであり,広く普及してきた。今後,公衆網としてのデータ通信網とファクシミリ網の一層の多機能化,高度化についてはISDNの計画の中で推進される状況となっている。  以上とは別に,最近,パソコン通信,インターネットによるコンピュータ通信が急速に進展している。これはパソコンの低価格化とそれに伴う一般への普及,そして多機能化,高性能化が進んだことに起因しており,その結果通信端末のインテリジェント化とネットワーク内の分散処理が進むこととなり,パソコンによるインターネット通信が急速に普及するようになった。インターネットはネットワーク構築を分散処理型のネットワークとして考えており,集中制御と計画性,信頼性を重視する公衆通信ネットワークとは考え方が大きく異なっている。特徴としてマルチメディア情報の検索や転送が極めて容易に実行できるなど種々のすぐれた機能が開発されている反面,トラヒック制御,通信品質および信頼性に若干の問題を抱えている。しかし,これからの新しいコンピュータ通信のしくみを提供するものとして非常に注目され期待されている研究途上のコンピュータネットワークである。
 本書は大学の学部学生とこれから通信ネットワーク関係の仕事に従事する技術者を対象としている。そのため,執筆方針としては,変化の激しい先端分野を避け,実用性が評価されている現行の主要な公衆ネットワークを取り上げ,しくみと技術上の要点を述べることとした。具体的には,電話系のネットワークとして電話ネットワーク(3章),移動通信ネットワーク(4章),およびサービス総合ディジタルネットワーク(ISDN)(6章)を取り上げ,また各種のデータ通信技術をデータ通信ネットワークとしてまとめた(5章)。以上の個別のネットワークとは別に各ネットワークに共通な項目を1章と2章に述べる。すなわち,1章では通信ネットワークの概要として通信ネットワークの発展の経緯,構成と種類などについて述べ,2章ではネットワーク構成要素技術としてユーザインタフェース技術,伝送技術,交換技術を取り上げて述べた。
 通信ネットワークはネットワーク構成要素を有機的に接続し,目的とするサービスが行えるように構築した情報通信システムである。その技術内容は個々の構成要素技術からネットワーク化技術,そしてサービス内容に対応した応用面の技術に関するまで非常に広範囲にわたる。本書では技術上の主要点のみを述べているので,詳しく知りたい方はそれぞれの専門書を読んで頂ければ幸いである。
 終わりに,本書の執筆にあたって多くの貴重な御助言を頂いた大森喬博士,電気通信大学の三木哲也博士に深く感謝申し上げる。また,出版に際してお世話になった東京電機大学出版局の植村八潮氏に感謝する。
1997年8月
著者記す
1.通信ネットワークの概要
2.ネットワーク構成要素技術の基礎
3.電話ネットワーク
4.移動通信ネットワーク
5.データ通信ネットワーク
6.サービス総合ディジタルネットワーク(ISDN)

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