詳解 物理学の基礎

詳解 物理学の基礎

古典物理学の全分野を網羅。表層的な内容に特化した書籍が多い中、物理学における各定理の論理性を重視し解説。

著者 丹羽 雅昭
ジャンル 自然科学
出版年月日 2013/03/01
ISBN 9784501628109
判型・ページ数 B5・576ページ
定価 本体5,200円+税
在庫 品切れ・重版未定

この本に関するお問い合わせ・感想

古典物理学の全分野を網羅。表層的な内容に特化した書籍が多い中、物理学における各法則の論理性を重視し解説。物理学の本質を学びたい学生に向けた入門書。

 本書は,理工系大学生のために書かれた独習用物理学のテキストです.入学したての学生達に「物理学にどのようなイメージをもっていますか?」と尋ねますと,真っ先に「ムズイ!」,「公式・法則を覚えなければならないから面倒」という答えが返ってきます.また,テストが近づいてくると,「演習問題を解かなくていいでしょうか?」と心配そうに相談してくる学生も何人か出てきます.入試対策の影響かもしれませんが,物理学を公式,法則をただ暗記して,与えられた問題を効率よく解くあるいは数学の単なる延長である学問と考えているようです.物理学に対して抱いているこのような間違ったイメージを払拭したいという一念で本書を執筆致しました.結果的に500頁を越える大部なものとなりましたが,それは,実験で確かめられた法則・公式から導かれた式の意味を直感的に理解するのを助けるため,すべての式ではありませんが,言葉による説明を加えたことも原因です.
 分厚いからといって恐れずにテキストを初めから熟読して,一歩一歩確認していけば,確実に身につくようになるでしょう.そこで学習のコツを紹介しておきましょう.物理学というのは,少数の法則,原理からこの世で起こるさまざまな現象を合理的に解説しようとする学問体系です.したがって原理・法則を理解し,キーポイントさえ押さえて順を追っていけば,物理学自体を自分で論理立てて構築し直すことも可能となります.公式を暗記して,計算に終始するといういままでの演習形式の学習法はこの期にリセットして,これからは読者各自でこの物理学体系の再構築を実行して頂きたいというのが著者の願いです.そのための第一歩は,まねるということです.人まねは独創性から離れているように思われますが,物理学史を省みても明らかなように,いかなる物理の天才と言われる偉人でも,最初は何かお手本があって,それをまねることから新たな発見をしています.なぜなら,人それぞれの体験が,それまでに積み上げられてきた知識に,独創的なアイディアを加味していくことによって物理学(これは物理学に限ったことではなく学問全般にいえると思います)は発展していくものだからです.なにしろ,一説に”学ぶ”の語源は,”まねる”に由来しているといわれているくらいですから.
 そのスタート地点に立つ諸君は,とりあえず本書を手本にして下さい.閑な時間を見つけて,少しずつでいいですから継続して読んでいきましょう.このとき,常に書かれている内容に疑問をもちながら読み進めるのが第一のコツです.その過程で,本文中でいまだに直されていない誤植等に気がつくかもしれません.そんなときは,著者に勝ったという優越感に浸りつつ速やかに出版社へお知らせ下さい.その結果は次回の改訂の際,反映させていただきたいと思います.一応内容が理解できたら,目次および章のはじめにあるチェック欄□に横線を書き入れて”日”とします.次に,ノートを用意して下さい.そのノートに,最初はテキストを丸写しでもいいですから,内容が理解しつつ,物理用語の説明,文字および出発点の式,それから導出される過程,結果およびその物理的意味等を書いてみて下さい.その際,疑問に感じた点,わからなかった点は強調して書いておきます.ここで生じた疑問点をしらみつぶしに解決していくことも学習です.これがもうひとつのコツです.このテキストとは別に用意して頂きたい書物があります.それは,物理量を具体的に計算するときに必要なデータベースです.幸運なことにわが国では,それは手軽にそれも安価で手に入れることができます.そのデータベースとは,毎年,丸善が発行している『理科年表』というものです.この年表には,このテキストに取り上げた物理量や物質定数などが網羅されていて,非常に有用な書物です.これに掲載されている数値を導出された式に代入して,自分の手で数値計算して見て下さい.文字式では実感できませんが,数値にするとその物理量の大きさがわかり,各物質の個性が浮き彫りとなって,物理量や物質定数がより身近に感じられるようになります.この過程が修了したら,チェック欄に縦線を書き入れて”田”とします.これでその単元は終了です.これを繰り返して,目次のチェック欄が田で埋められるにつれて達成感が沸いてきます.本書は,1日おおよそ3頁のペースで1年間をかけて最後の頁まで読み進められるようにしてありますから,是非,実行して見て下さい.
 物理学,一般に科学は実証主義に基づいた学問であると認識しておくことは重要です.ある仮説から数学的にいくらエレガントな表現が導かれたとしても,実験で証明されなければ,机上の空論ということになり,理論としては失格の烙印が押されてしまいます.この点が数学と物理学の決定的な違いといえます.そこで多くの理工系大学では,座学の物理学講義と実験がカリキュラムに取り入れらています.実験には大きく分けて2つの目的があります.1つは理論の検証であり,もう1つは実験データから法則性を読み取ることです.できるだけ実験は履修するようにしましょう.実際に自らの手で原書を起こさせ体験し,解析していくプロセスは理工学を習得する者に正確に伝えるレポート作成の機会も与えてくれます.
 演習を全否定しているわけではありません.基礎的事項の確認,応用には演習問題を自力で解くことも必要です.自分にあった演習書(解答が詳しいのがよい)を数冊用意して,ノートに解いてゆきます.このとき,演習書に出ている解答の別解を見つけるように心がけるといいでしょう.演習や実験に出題されるのは,正解が存在するいわば人工的な問題です.これに対して,物理学,一般に自然科学の研究というのは,自然の提出する問題を見つけて,それに最も合理的な解答を与える作業といえるかもしれません.
 読破されたら今度は物理の再構築に取り掛かりましょう.作製したノートを基にあらたに,独自の物理ノートをつくるのです.このノートおよび経験は後々貴重な財産になるはずです.物理に新しい1頁を記すのは,そして,自然が垣間見せる謎に正解を与えるのはあなたです!健闘を祈ります.
 本書は講義ノートから生まれたものです.毎年講義の最初に配付した資料を学生諸君に読んで頂き,参考意見を取り入れながら徐々に膨らまして最終的にこのような形になりました.私の講義を聴講してくれた皆さん,ほんとうに有難う.原稿の段階でモニターをかってでて貴重な意見を寄せてくれた元本間研院生の伊藤さん,卒研生だった北澤さん有難う.おいしいコーヒーを煎れてくれた環境化学科・b系列秘書の大澤さん,大塚さん,山本さんご馳走様でした.また,編集段階で有益な助言を頂いた東京電機大学出版局の吉田拓歩さんに感謝します.最後に,本書執筆にあたり書斎引きこもりを許してくれたMy Familyに感謝のことばを送ります.
 本書が上梓にまで漕ぎ着けられましたのは,学生時代,毎週一回開かれたゼミなどで物理学の醍醐味を手取り足取りご教授していただいた東京電機大学名誉教授・篠原正三先生と毎夏実施されていた環境化学科の地学実験でご一緒させていただき,多くの興味深いお話を賜った元東京大学地震研の藤澤英幸先生のお陰であります.この場を借りまして,お礼申し上げます.

 2013年2月
 丹羽 雅昭
第0章 数学的基礎知識
 0.1 量と数の関係
 0.2 数の種類
 0.3 ベクトル解析
第1章 1質点の力学
 1.1 運動の記述
 1.2 運動の基本法則
 1.3 運動方程式
 1.4 質点の運動の例
 1.5 補遺・平面極座標における楕円の式
第2章 エネルギーと運動量
 2.1 仕事と仕事率
 2.2 エネルギー
 2.3 束縛力
 2.4 束縛力のする仕事とエネルギー保存則
 2.5 運動量
 2.6 角運動量
第3章 質点系および剛体の力学
 3.1 2質点系の運動
 3.2 n質点系
 3.3 剛体の運動
 3.4 剛体の回転運動
 3.5 剛体の運動の例
第4章 運動座標系
 4.1 並進運動座標系
 4.2 慣性系
 4.3 回転運動座標系
 4.4 自転する地球に固定した座標系
第5章 熱力学
 5.1 熱力学的系
 5.2 温度と熱
 5.3 気体の法則
 5.4 熱力学の第1法則
 5.5 熱機関
 5.6 熱力学の第2法則
 5.7 自由エネルギーと熱力学的関係式
第6章 弾性体の力学
 6.1 固体の変形
 6.2 固体変形の数学的記述
 6.3 たわみとねじれ
第7章 流体力学
 7.1 静止流体の力学
 7.2 運動する流体の力学
第8章 振動と波動
 8.1 振動
 8.2 波動
 8.3 波の性質Ⅰ―反射,屈折,回折
 8.4 波の性質Ⅱ―干渉
第9章 電磁気学
 9.1 静電場
 9.2 静磁場
 9.3 時間変化する電磁場
 9.4 交流回路
 9.5 Maxwell方程式
 9.6 現象論的法則,関係式
 9.7 電磁波
 9.8 電磁場のエネルギーと電磁波
 9.9 補遺・ベクトル解析における定理,公式の証明
第10章 光学
 10.1 電磁波の分類
 10.2 幾何光学と波動光学
 10.3 Fermatの原理と光の法則
 10.4 光学機器による反射,屈折
 10.5 光の分散とスペクトル
 10.6 光の干渉
 10.7 光の回折
 10.8 偏光
第11章 特殊相対性理論
 11.1 Michelson-Moleyの実験
 11.2 Lorentz変換
 11.3 Lorentz変換から導出される性質
 11.4 速度の変換
 11.5 Minkowski時空
 11.6 固有時
 11.7 相対論的力学
 11.8 相対論的電磁気学
付録A 単位系と次元
付録B 物理定数表と物理年表(近代まで)
付録C 数学備忘録
索 引

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