化学工学の基礎

化学工学の基礎
著者 鈴木 善孝
ジャンル 自然科学
出版年月日 2010/01/01
ISBN 9784501624903
判型・ページ数 A5・308ページ
定価 本体3,200円+税
在庫 在庫あり

この本に関するお問い合わせ・感想

広範囲にわたる化学工学において、基礎的な内容を詳細に解説する。計算式の展開や各種グラフの用い方を丁寧に解説。図表を多く用い、やさしく解説。特に機器の概観図を多く掲載。SI単位系のほか、現在でも現場で使用される従来の単位系についても解説。

 化学反応を用いて人や社会に益する製品を供する工業が化学工業で,高品質製品を得るのに化学反応はもとよりその前後処理が極めて重要である。前後処理の多くは,物理的変化が利用される。温度,圧力,密度,粘度等がそれで,化学反応でさえこれらの条件が鍵であり,さらに経済性も絡む。これを対象とするのが化学工学で,両変化を伴う製造工程にかかわり,その設計や運転に共通的原理と応用を求める工学である。したがって,本工学は使う装置・機械・器具・計測・自動制御等の特性と操作や物質とエネルギー収支の把握,計算と技術等の修得が目標となる。
 一言で装置や機械といっても化学工業以外の分野でも利用されるから化学工業の領域は極めて広い。現在は,コンピュータにより操作や処理等がなされるが,コンピュータの先の装置等の仕組みや理論を理解することが重要である。それが化学工業でもある。
 筆者が化学系生徒の頃,化学反応に目を向けていたこともあって,当時バイブルとまで言われた内田・亀井・八田先生共著の「化学工学」を理解するのに四苦八苦したこと,後にその重要性を痛感し悔やんだことを思い起こす次第である。一般に,著者と同様に化学系の諸兄はややもすると化学工学を素通りする傾向があるようで,それはこの分野では高度な専門書が多いこともあり,高専や大学の学生諸兄はもとより,はじめて化学工学を紐解く方々のための専門書等が少ないからなのであろう。そこで,浅学も返り見ず次を骨子した本書を編纂執筆した。

 ○広範囲の化学工学の典型的で基礎的なものに内容を絞った。
 ○高度で詳細な理論は触れず,ややこしい数式や計算を可能な限り省いた。
 ○図と説明を多用し,平易に解説した。
 ○現在でも特に現場等で使われている従来の単位と国際単位(SI単位)を交互に使うようにした。なお,単位は1.2(3)で説明するが,章で初出する単位はあえて各単位の関係や換算を示した。

 焦土化から立ち上がり,神武景気・岩戸景気・・・・・・そして公害・石油ショックと言われてから久しい。再びITバブル・世界同時不況,石炭から石油へと変遷したように移り変わるなか,個人はもとよりあらゆる面で揺り動かされるが,科学と技術は進み人の生活や社会は向上してきた。今や化石原料から自然のエネルギー,環境,循環へ,安全と安心へと移行しつつあり,鉄鋼から繊維・食品に至るまで,レアーメタル等新素材,リチウムイオンを始めとする新電池やLED,ロボットやコンピュータ,水素燃料,バイオマス・バイオ医薬やプラスチック,ミニマムゲノム等例をあげれば果てがなく,さらに進化するし,ナノ(n)からピコ(p)やフェムト(f)へ,および巨大スケールの地球工学,思いもよらない新理論と応用も出現するであろう。また,JIS,JASと同様にISOマーク,カーボンフットマーク,KOKINマーク等国際標準化が進められつつある。
 この中で,化学工業をはじめ全産業の基本の1つである化学工業は陰の立役者と言えよう。化学工学から新発想にも連係するし,われわれが揺り動かされるのに対応する強い味方になるであろう。
 入門のための本書を踏み台に,さらなる専門へと発展することになれば,至上の喜びである。本書をご利用頂き不備等があればご教示願えれば幸甚である。
 本書の編纂執筆にあたり,便覧・辞典・専門書・文献・各社カタログ等参考にさせて頂いた。巻末にその代表的な書名をあげ感謝の意を示す。それらの専門書によってさらなる進展を目指される方々のよき道導べになると思う。
 最後にご支援頂いた東京電機大学出版局の方々に感謝する。

 2009年12月
 著者しるす

◆正誤表◆


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第1章 化学工業と化学工学
 1.1 単位反応と単位操作
 1.2 単位と次元
 1.3 物質収支とエネルギー収支
 数学のしおり
 練習問題①
 略解①
第2章 流動
 2.1 流体
 2.2 流動の物資収支とエネルギー収支
 練習問題②
 略解②
第3章 伝熱
 3.1 熱伝導
 3.2 対流伝熱
 3.3 対流伝熱の主な要素
 3.4 放射伝熱
 3.5 熱交換器
 練習問題③
 略解③
第4章 蒸発と晶出
 4.1 蒸発
 4.2 多重効用蒸発
 4.3 晶出
 練習問題④
 略解④
第5章 蒸留
 5.1 気-液の平衡
 5.2 各種蒸留方法と操作
 5.3 精留
 5.4 主な特殊蒸留
 練習問題⑤
 略解⑤
第6章 ガス吸収
 6.1 吸収の基本理論
 6.2 主な吸収装置
 練習問題⑥
 略解⑥
第7章 抽出
 7.1 抽出装置
 7.2 抽出の理論
 練習問題⑦
 略解⑦
第8章 調湿
 8.1 湿り空気(湿潤空気)
 8.2 調湿と冷水
 練習問題⑧
 略解⑧
第9章 乾燥
 9.1 乾燥の理論
 9.2 乾燥操作
 9.3 主要乾燥装置
 9.4 真空乾燥と凍結乾燥
 練習問題⑨
 略解⑨
第10章 粉砕と篩分け
 10.1 粉砕
 10.2 篩分け
 練習問題⑩
 略解⑩
第11章 混合・攪拌・捏和
 11.1 混合
 11.2 攪拌と捏和
 練習問題⑪
 略解⑪
第12章 機械的分離
 12.1 分離と分離効率
 12.2 濾過
 12.3 遠心分離
 12.4 分級
 12.5 集塵
 練習問題⑫
 略解⑫
付録
参考文献
索引

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