技術は人なり。

丹羽保次郎の技術論

技術は人なり。
著者 東京電機大学
ジャンル その他
出版年月日 2007/09/01
ISBN 9784501622305
判型・ページ数 4-6・168ページ
定価 本体1,600円+税
在庫 在庫あり

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社会の一翼を担う若い技術者へ贈るバイブル

 丹羽保次郎はファックスの開発に成功した日本を代表する技術者のひとりである。逓信省電気試験所(現在の産業技術総合研究所)に勤務後、現在の日本電気株式会社に入社し、日本の独自技術で写真電送装置(ファクシミリ)の開発を成功に導いた。その性能は外国製品を凌ぎ、昭和天皇即位式のニュース写真電送に用いられ、現在、世界中に普及している。さらに無線の写真電送実験も成功させ、テレビ時代への基礎を確立したともいわれる。戦後は、東京電機大学の初代学長に就任し、技術者を目指す若者の育成とともに、テレビジョン学会会長などさまざまな学術機関の要職を務めた。文化勲章、勲一等瑞宝章を授与され、工業所有権制度創設100年にあたり、日本の十大発明家として特許庁にレリーフとともに業績が紹介されている。
 「技術は人なり」は、丹羽が自らの経験を踏まえ、東京電機大学で、教育・研究の理念として教職員、学生に示した言葉である。その意味は、「技術には技術をつくった人の人柄が自ずとあらわれる。従って、技術者は常に人格の陶冶を必要とする」というもので、技術に携わる者のあり方を示した名言として、学生はもちろん教職員、若い技術者に深い感銘を与え、その理念は、現在も東京電機大学に脈々と受け継がれている。

 今日、科学技術は加速度的に進歩し続けている。時代は少しさかのぼるが、丹羽の時代も科学技術の進歩は目を見張るものであった。丹羽は、「常に進歩を続ける科学技術の世界で、技術者はどのような心構えをもたなければならないか」を考え続けた。その答えのひとつとして丹羽は、「技術に志す諸君が、技術の本質というものをよく会得し、よく把握して、そういう技術の世界で生きるための理想像を自ら作りあげられるのが最も適当」との考えに至った。そこで、自分の技術生活で体得した経験や体験を、東京電機大学の学生に伝え、さらに広く技術を志す若者のために「若き技術者に贈る」という本をまとめ、技術の本質を理解する一助とした。
 丹羽は、技術者として技術に関する議論をする際には、時間を忘れ白熱するのが常だったと伝わっている。それは丹羽の技術の研究や開発への使命感、責任感によるものだと思われる。一方、その人柄は、謙虚で温厚、教育熱心、後継者の育成に尽力し、多くの人に尊敬、敬愛されていた。まさに、自身が「技術は人なり」を体現した人物であったといえるだろう。そして、「私はいつも技術を志したことの幸福を感じている」と言っていたのである。

 丹羽が初代学長を務めた東京電機大学の母体は、1907年(明治40年)に創立された電機学校にさかのぼる。電機学校は、輸入技術を第一線で扱える技術者の育成をめざし、二人の若い技術者が技術者のために創設した。「実学尊重」「教育最優先」「学生生徒第一主義」の三つの主義が高く評価され大きく発展し、昭和24年には東京電機大学を創設した。初代学長に、日本を代表する技術者であった丹羽保次郎を迎え、丹羽の「技術は人なり」を理念にすえた。
 そして2007年(平成19年)、学園創立100周年を記念し、未来科学部を新設し全学改編を実施した。これにより東京電機大学は、科学技術の基盤、現在、近未来、未来を包括する体制を確立し、未来を担う若者を育成するチャレンジを次の100年に向けてスタートさせた。
 輸入技術の習得、国産技術の確立、そして未来科学指向の時代と、近代日本、さらには「技術で社会に貢献する人材の育成」をめざし、東京電機大学が歩んできた100年を思うとき、感慨深いものがある。

 本書は、1章で、丹羽の偉業であるファクシミリ開発を紹介し、2章、3章で、自身の言葉で語られた技術像、若い技術者へのメッセージを掲載した。さらに4章で、その人生と理想の技術者像を体現した丹羽の人物像を紹介する。
 技術は進歩しても、それを扱う技術者のあり方は時代を越えて普遍といえよう。
 この本がこれから技術を志す人や、まさに技術の一線にいる人の指針になれば幸いである。

 なお、本書は「未来科学と教育戦略?東京電機大学のシステムデザイン」の続編として、学園創立100周年を記念して出版されたものである。
第1章 ファクシミリ開発物語
 世界で誰も成功していない写真電送装置の開発を決意
 完成に向かって課題を一つずつ解決
 独自の工夫を数多く採用して試作機が完成
 写真電送の実験に見事成功
 装置の調整に苦戦する外国勢
 実用的な写真電送実験に成功
 独・仏技術に国産技術が圧勝
 携帯型写真電送装置の開発にも成功
第2章 技術のすがた?技術は人なり
 技術発達のいろいろなかたち
 伝統と環境について
 技術の融通性と適応性について
 総合技術と構成技術の水準について
 技術にひそむ妥協性について
 若き技術者のために
第3章 若き技術者に贈る
 理想と現実について
 よき技術者たる要件
 技術生活の実践について
 職業と職場について
 技術生活の苦楽について
 卒業生にのぞむこと
第4章 丹羽保次郎伝
 学生時代
 逓信省電気試験所
 日本電気
 東京電機大学設立

あとがき
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