W3C技術ノート 日本語組版処理の要件

美しく読みやすい文字組版の基本ルール

W3C技術ノート 日本語組版処理の要件

W3C技術ノート英語版に対応する日本語版。主としてJIS X 4051に基づくが、そこに掲載されていない事項にも言及。

著者 W3C日本語組版タスクフォース
ジャンル 全て
情報・コンピュータ
出版年月日 2012/04/01
ISBN 9784501550202
判型・ページ数 B5・408ページ
定価 5,280円(本体4,800円+税)
在庫 在庫あり

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World Wide Web Consortium(W3C)技術ノートの英語版に対応する日本語版。主としてJIS X 4051(日本語組版規則)に基づいているが、一部そこに掲載されていない事項にも言及。活字組版だけでなく、電子組版においても役に立つ日本語組版の基本となるルールを、分かり易くしかも豊富な図と文章で解説。外国にはない日本語独特の組み方(縦組、ふりがな、割注など)の特性も詳細に解説してあるので、日本語に興味のある一般の日本人や、国際的な文字コードを扱う外国人も楽しく「読める」。

 本書は,W3Cの技術ノートである”Requirements for Japanese Text Layout”(以下JLreqと略記する)の日本語版である”日本語組版処理の要件(日本語版)”に,”日本語書籍版への序文”,”索引”,”あとがきに代えて―または,もう一つの戦記へ”を付け,刊行する日本語書籍版である.JLreqの目的,作成,執筆方針,構成,用語の参照や,さらに,”JIS X 4051(日本語文書の組版方法)”との関係などについては,”第1章 序論”に記載がある.そこで,以下,一見奇妙な”日本語書籍版”という言葉について説明することにより,まず本書の来歴と位置付けを明らかとし,”第1章 序論”では記していない開発にあたっての技術的試みやグループでの分担を補足して序文に代える.
 まず,本書は,断じてJLreq英語版の日本語訳ではない.JLreqの英語版と日本語版は,並行して開発が進行し,英語版と日本語版との間に正副の関係はない.W3Cの運営規定上の制約により,JLreqは英語版を正式版としているが,開発スタッフとしては,英語版と日本語版はまったく対等なものであると考えている.万が一,英語版と日本語版の間に著しい齟齬が生じた場合,すなわち,日本語版を基に開発されたシステムと英語版を基に開発されたシステムとの間に,記述内容に起因する差異が見いだされた場合のみ,英語版の記述に従っていただきたい.
 なお,英語版と日本語版には,一箇所のみ異なる箇所がある.すなわち,”この文書の位置付け”(Status of this Document)の箇所である.この部分については,本文中にも記されているように,正式番である英語版をご参照いただきたい.
 JLreqの開発にあたっては,英語版と日本語版を並行して開発するために,さまざまな技術的試みがなされている.その多くは,W3Cがレコメンデーションとして発行しているHTMLやXMLを中核とする構造化文書関連規格に則っている.具体的には,下記のような技術要素を用いて開発を行った.
 ・ソーステキストは,すべてXHTMLを用いて記述し,英語版と日本語版とをパラグラフ単位で同列に記述する構造をとった.
 ・RELAX NGを利用して,常にソーステキストの規格適合性を検証した.
 ・テキストの公開にあたっては,ソーステキストからXSLTを用いて,英語版と日本語版のXHTMLを生成した.ソーステキストは最後の段階までパラグラフ単位での日英併記の状態を維持した.
 ・XHTML版とともに適宜PDF版の開発も行った.PDF版の出力にあたっては,アンテナハウス株式会社のAH Formatter V6.0を用いた.開発途上にあった製品の試用も快く許諾してくださった同社のご厚意に対し謝意を表する.なお,本書自体も,AH Formatterで組版を行い,PDF出力を版下として用いて製作した.
 ・XHTML版の図版の文字,PDF版の図版と本文の文字の作成および出力にあたっては,株式会社モリサワのOpenTypeフォントのリュウミンや新ゴなどを用いた.ご協力をいただいた同社の御厚意に対し謝意を表する.
 ・リソースは,W3Cのサイト上でCVSによるヴァージョン管理を行った.管理は,当初Felix佐々木,阿南康宏が行い,石野恵一郎,塩澤元が引き継いだ.
 JLreqは,基本的には,伝統的な日本語組版についての知識をまったく持たず,日本語を母語としない一般的な情報技術者が,本ノートのみを参照することにより,日本語組版を含むシステムおよびアプリケーションを実装できることを目指した.そのため,テキストの記述にあたっては,下記のような方法で行った.
 ・社団法人日本印刷技術協会が組織した”日本語スタイルシート作業部会”(本タスクフォースのメンバーと同作業部会の主要メンバーは重複する)が開発した”日本語の組版方法”を基に,小林敏が日本語での記述を行った.
 ・小野澤賢三を中心として,内容を批判的に検討した.
 ・Felix佐々木,阿南康宏,小林龍生が英語への翻訳を行った.その際,内容に対する疑問を解消するため,日本語版の記述そのものの変更をいとわなかった.
 ・英語版については,適宜同タスクフォースの国際チームおよび日本チーム合同でのミーティングの機会を設け,相互に内容理解の確認を行った.
 ・英語版をRichard Ishida及び加藤誠一が精読し,英語としての正確さ,読みやすさを高めた.
 ・英語版に対する疑問については,国際チームと日本チームが英語版と日本語版のメーリングリストで共有し,疑問の解消のためには,冗長になることをいとわず説明し,最終的には,Richard Ishidaが英語場のテキストを,小林敏が日本語版のテキストを作成した.
 ・図版は,主として小林敏が日本語版を作成し,枝本順三郎とFelix佐々木が英語版を作成した.
 ・本文書の普及に積極的に取り組んだ.英語版については,Felix佐々木が担当し,折に触れてW3Cの集まりで内容説明を行い,広くコメントや質問を募った.日本語版については,千葉弘幸が担当し,折に触れてセミナー等での紹介を積極的に行った.

 謝辞:JLreqの開発にあたっては数え上げればきりのない,多くの方々にお世話になった.紙幅の都合で,すべての方々のお名前を挙げるわけにはいかないが,ここにお名前を挙げることのできなかった方々も含め,心からお礼を申し上げる(敬称略)
 Sharon Adler,Klaas Bals,Anders Berglund,Jeff Caruso,Martin Durst,Elika Etemad,Tony Graham,Edward Jiang,Chris Lilley,Eric Muller,Paul Nelson,Addison Phillips,Liam Quin,Doug Schepers,Najib Tounsi,Steve Zilles
 江本博治,藤沢淳,石井宏治,木達一仁,小林徳滋,村上真雄,村田真,中野雅之,小笠原治,大野邦夫,高橋徹也,矢倉眞隆

 書籍版の発行にあたっては,東京電機大学出版局長植村八潮氏,浦山毅氏のお手を煩わせた.本タスクフォースの運営にあたっては,財団法人日本印刷技術協会に会議室や機材の提供など,格段の支援をいただいた.また,同協会には,セミナー等での本文書紹介の機会を多く与えていただいた.

 Japanese Layout Task Force
 阿南康宏,千葉弘幸,枝本順三郎,Richard Ishida,石野恵一郎,加藤誠一,小林敏,小野澤賢三,Felix佐々木,塩澤元,小林龍生(chair)
日本語書籍版への序文
第1章 序論
 1.1 この文書の目的
 1.2 この文書の作成方法
 1.3 この文書の執筆方針
 1.4 この文書の構成
 1.5 用語の参照その他
第2章 日本語組版の基本
 2.1 日本語組版に使用する文字と配置の原則
 2.2 日本語文書の基本となる組体裁
 2.3 組方向(縦組と横組)
 2.4 基本版面の設計
 2.5 基本版面の設計要素の各ページに対する適用
 2.6 柱とノンブル
第3章 行の組版処理
 3.1 約物などの組版処理
 3.2 和欧文混植処理(縦中横処理を含む)
 3.3 ルビと圏点処理
 3.4 割注処理
 3.5 段落整形,そろえ及び段落末尾処理
 3.6 タブ処理
 3.7 その他の行組版処理
 3.8 行の調整処理
 3.9 文字クラスについて
第4章 見出し・注・図版・表・段落の配置処理
 4.1 見出し処理(改ページ処理も含む)
 4.2 注の処理
 4.3 図版の配置処理
 4.4 表の処理
 4.5 行・段落などの行送り方向の配置処理
附属書
 A 文字クラス一覧
 B 文字間の空き量
 C 文字間での分割の可否
 D 行の調整処理で詰める処理が可能な箇所
 E 行の調整処理で空ける処理が可能な箇所
 F 熟語ルビの配置方法
 G 用語集
 H 参考文献
 I 変更記録
 J 謝辞
索引
あとがきに代えて―または,もう一つの戦記へ

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