これ一冊でわかるeラーニング専門家の基本

ICT・ID・著作権から資格取得準備まで

これ一冊でわかるeラーニング専門家の基本

eラーニング専門家育成のため、eラーニングにおける共通言語といえる基礎知識を解説する。

著者 玉木 欽也 編著
大沼 博靖
権藤 俊彦
齋藤 長行
長沼 将一
山根 信二
石井 美穂
合田 美子
半田 純子
堀内 淑子
ジャンル 情報・コンピュータ
出版年月日 2010/03/01
ISBN 9784501547608
判型・ページ数 A5・304ページ
定価 本体3,400円+税
在庫 在庫あり

この本に関するお問い合わせ・感想

eラーニング専門家育成のため、eラーニングにおける共通言語といえる基礎知識を解説する。

 本書は,青山学院大学総合研究所内に2005年4月に設立されたeラーニング人材育成研究センター(eLPCO:Research Center for e-learning Professional Competency)に関わる教員と研究員が中心となって執筆された。このeLPCOの前身は,1998年に総合研究所内に発足したAML(Aoyama Media Lab.)プロジェクトであった。このときから,eラーニングを単なるツールとして活用するにとどまらず,効果的な教授法や教育システムの研究に裏付けられた「学習者主体の学び」を実現するものとして,それに向けた教育のパラダイムシフトへの挑戦が始まった。
 そのような経緯からeLPCOでは,幸いにも2005年度に文部科学省の現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)事業に採択され,様々な分野の知見を学際的・体系的に統合したeラーニング専門家の育成プログラム(26科目)を開講することができた。このプログラムを,本学の全学部・大学院生に向けた正規の教育課程として展開し,次の5種類の専門家のスキル要件を定義し,それらの専門家の資格認定制度を整備した。すなわち,「インストラクショナルデザイナ,コンテンツスペシャリスト,インストラクタ,メンタ,ラーニングシステムプロデューサ」である。
 本書の特色は,これらすべてのeラーニング専門家にとって基礎となる以下の4科目の内容がカバーされていることである。つまり,「eラーニング総論,インストラクショナルデザイン総論,eラーニングのための法的課題,eラーニングのためのITファンダメンタル」である。これらの育成プログラムは,本学学生のみでなく,2008年度から社会人基礎講座として社会に向けてすでに提供されている。この研修修了者には,日本イーラーニングコンソシアムとの資格相互認定制度により,社会通用性のある「eLPベーシック」資格が授与されることになっている。以上述べてきたことが,本書が命名された背景になった。
 本書の構成は,前述した4つの基礎科目に準拠した学習内容になっている。
 第Ⅰ部における第1章から第3章では,eラーニングの基礎知識,企業内教育および人材開発に関する基本とICT活用の現状と今後,プロジェクトマネジメントの基本概念とeラーニングコースづくりへの適用について述べた。
 第Ⅱ部における第4章から第9章では,インストラクショナルデザイン(ID)のプロセスを構成する5つのフェーズ,つまり分析・設計・開発・実施・評価フェーズについて示し,それぞれのフェーズに求められるタスクを実践できるよう具体的な記述内容になるよう工夫した。また,IDを支える学習理論に基づいた教材設計や授業の実施計画,学習理論と教授方略の関連性を体系的に整理した。
 第Ⅲ部の第10章から第11章では,eラーニングのための著作権と,個人情報保護法についてまとめた。eラーニングのための法的課題を体系的にまとめたのは,現在のところわが国の著書として初めての試みではないかと思われる。
 第Ⅳ部では,ITファンダメンタルの領域として,インターネット,ラーニングシステムとコンテンツ,セキュリティと情報セキュリティについて解説した。
 なお,本書を出版するにあたり,総合研究所より出版助成を賜った。現在までに,eLPCOが関連したeラーニングの著書は次に挙げる4冊で,本書は第5弾になる。すなわち,『eラーニング実践法』オーム社(2003),『eラーニング専門家のためのインストラクショナルデザイン』東京電機大学出版局(2006),訳本『ブレンディッドラーニングの戦略』東京電機大学出版局(2006),『eラーニングのためのメンタリング』東京電機大学出版局(2007)となり,このたび,本書の出版を実現できたことによりまた歴史を繋ぐことができた。このような歴史を支えてくれているのは,eLPCOで現在活躍してくれている教員と研究員ならびに研究協力者である学部生・大学院生に加え,かつてeLPCOから羽ばたいていった多くの仲間たちであり,心からの感謝を申し上げたい。最後に,東京電機大学出版局の松崎真理さんには,出版まで一貫してご支援を賜り厚く御礼を申し上げたい。
 本書の書名のごとく,この一冊が,それぞれの読者の教育現場において,eラーニング専門家としての基礎固めに役立ち,ICTを有効に活用した実践的な学びの場を創りあげていく一助となることを祈念したい。

青山学院大学総合研究所eラーニング人材育成研究センター
センター長 玉木 欽也

◆正誤表◆


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第Ⅰ部 eラーニングとビジネス
 第1章 eラーニングの基礎知識
  1.1 eラーニングとはどのような学びなのか
  1.2 eラーニングの学習形態
  1.3 ブレンディッドラーニングとは
  1.4 eラーニングを支える専門家
  1.5 eLPCOが提唱する5職種のeラーニング専門家
  参考文献
 第2章 ICT活用による企業内教育と新たな人材開発
  2.1 職務遂行能力の開発と企業内教育
  2.2 企業内教育におけるeラーニングの動向と今後の動向
  2.3 学習環境デザインとこれからのeラーニングの利用可能性
  2.4 多くの職務経験によるキャリア開発
  2.5 組織学習とこれからのeラーニングの利用可能性
  参考文献
 第3章 プロジェクトマネジメントとeラーニング
  3.1 プロジェクトマネジメントの概要
  3.2 プロジェクトとプロジェクトマネジメントの定義
  3.3 マネジメントプロセスおよびマネジメントタスク
  3.4 マネジメントタスクのワークフローに対応したプロジェクトマネジメントの手法
  3.5 IDプロセスに対応したeラーニング専門家同士さらに教員との協働プロジェクトマネジメント
  3.6 協働プロジェクトマネジメントのための各eラーニング専門家の役割とそれぞれの連携
  注
  参考文献
第Ⅱ部 インストラクショナルデザインと学習理論
 第4章 インストラクショナルデザインとは
  4.1 インストラクショナルデザインの概要
  4.2 IDプロセス
  参考文献
 第5章 分析フェーズ
  5.1 企業提案書をつくろう
  5.2 ニーズ分析
  5.3 対象者分析
  5.4 学習目標分析
  5.5 技術分析
  5.6 環境分析
  5.7 コスト分析
  5.8 本書のまとめ
  参考文献
 第6章 設計フェーズ
  6.1 設計仕様書をつくろう
  6.2 設計仕様書の例
  6.3 学習目標詳細化
  6.4 学習目標構造化
  6.5 学習目標系列化
  6.6 テストの作成
  参考文献
 第7章 教材設計と実施計画
  7.1 ARCSモデル(John M.Keller)
  7.2 成人学習理論(Malcolm Knowles)
  7.3 欲求階層説(Abraham Maslow)
  7.4 IDの第一原理(M.D.Merril)
  7.5 9教授事象(Robert M.Gagne)
  7.6 対面研修のレッスンプラン
  7.7 ビジネスマナー研修の実施計画
  7.8 近年の学習理論
  7.9 本章のまとめ
  参考文献
 第8章 教授方略
  8.1 インストラクショナルデザインにおける学習理論の重要性
  8.2 学習理論の概略と教授方略
  8.3 学習理論の2つのモデル:方向性教授モデルと構成主義的学習モデル
  8.4 学習目標の分類と課題に対応した教授方略
  8.5 eラーニングの教授方略を考えるうえで役に立つ理論と手法
  参考文献
 第9章 IDにおける評価
  9.1 形成的評価
  9.2 総括的評価
  参考文献
  資料
第Ⅲ部 eラーニングにおける著作権と個人情報保護
 第10章 eラーニングと著作権
  10.1 著作権法
  10.2 著作者人格権
  10.3 eラーニング教材コンテンツ開発・運営における著作財産権への配慮
  10.4 権利制限規定による著作物の利用
  10.5 著作物の利用に関して
  10.6 大学・企業におけるeラーニング実践例
  注
  参考文献
 第11章 eラーニングと個人情報保護法
  11.1 個人情報保護法
  11.2 大学におけるeラーニング実践例
  11.3 eラーニングとプロバイダ責任制限法
  注
第Ⅳ部 ICTとラーニングシステム
 第12章 コンピュータネットワーク
  12.1 コンピュータネットワークの定義
  12.2 コンピュータネットワークのモデル
  12.3 コンピュータネットワークの規模による分類
  12.4 ネットワークの階層
  12.5 インターネット
  参考文献
 第13章 通信プロトコル
  13.1 TCP/IP
  13.2 IP
  13.3 TCP
  13.4 その他のプロトコル
  13.5 TCPにおける主要なサービス
  参考文献
 第14章 ネットワークの構成要素
  14.1 データリンクとトポロジー
  14.2 イーサネット
  14.3 ネットワークに用いられる機器
  参考文献
 第15章 ラーニングシステム
  15.1 広義のラーニングシステム
  15.2 学習管理システム(LMS)
  15.3 学習管理システムの種類
  参考文献
 第16章 ラーニングコンテンツ
  16.1 SCORM
  16.2 SCORM対応コンテンツの作成
  参考文献
 第17章 セキュリティと情報セキュリティ
  17.1 情報セキュリティ
  17.2 情報セキュリティの特性とeラーニング
  17.3 情報セキュリティの不可的な特性
  17.4 情報セキュリティマネジメント
  17.5 セキュリティ対策
  17.6 eラーニング専門家と情報セキュリティの体制
  参考文献
 補足資料 eラーニングを活用している組織の実例
  ヤマハ株式会社
  株式会社デジタル・ナレッジ
  財団法人日本サッカー協会
索引
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