Squeakプログラミング

簡単に作れるビジュアル教材

Squeakプログラミング
著者 福村 好美
湯川 高志
五百部 敦志
ジャンル 情報・コンピュータ
出版年月日 2007/10/01
ISBN 9784501543709
判型・ページ数 B5・184ページ
定価 本体2,300円+税
在庫 在庫あり

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「動く教材」の作成方法を実例をもとに解説

 近年のインターネットの普及・発展により,情報通信技術(ICT)は社会基盤として欠かせない資源となっている.すなわち,電子メールやブログなどの日常生活での情報化のほか,電子政府などに代表される行政の情報化,電子商取引・インターネット広告・ネット証券・インターネットオークションなどの新しいビジネスモデルの出現,遠隔医療・電子カルテなどの医療の電子化,さらにはITS,ETCなどの交通における高度化が急速に浸透してきている.この情報化の波は,教育分野にも波及してきており,ICTツールを活用した対面講義あるいは研修,高速広域網を経由した遠隔講義,ウェブによるeラーニングなどが高等教育機関や企業を中心に普及の兆しを示している.
 ICTの活用は,時間と距離の制約の解消に役立つとともに,効果的な教育・研修の実施にも大いに貢献できるものと期待されている.すなわち,コンピュータの急激な処理能力向上とソフトウェア技術の発展により,従来の教室・研修室では体験できなかった実験環境をディスプレイ上に仮想的に実現でき,その環境を用いた技術・技能の訓練をいつでも・どこでも実施することが可能となった.オブジェクト指向の考え方に従って,仮想実験の部品を揃えておき,それらの部品を組み合わせて課題設定をし,教室内のパソコンや学生自身のパソコンで実験条件を変更しながら問題点・解決策をシミュレーションすることは,教育内容の理解を促進・深化するのに効果的である.この教育効果は,最近先進国を中心に受講生の増加が進んでいるeラーニングにおいても同様であり,いつでも・どこでも実験的な学習ができるため,時間的制約のある社会人の技能向上策などへの適用性が非常に高いと言える.
 一方,教材製作の観点からは,ICTを利用した教育の実践にはICTリテラシーが要求され,特に図形・画像を用いたシミュレーションなどの「動く教材」を開発するには,高度なプログラミング言語の知識が要求されるのが通例であった.本書で紹介するSqueak eToysはビジュアルな開発環境で,基本的にはドラッグ&ドロップ操作を行うことによりシミュレーション環境を構築できるため,プログラミングの専門知識がない教員・学生や,企業の訓練担当でも「動く教材」を作成することが容易となる.これにより,教育効果の高い教材を適材適所に活用することが可能となる.高等教育機関あるいは先進的な企業と言えども,すべての教員・学生・研修担当者が高度な情報リテラシーを習得しているわけではなく,教育効果の高いeラーニングを日常的に実践するためには,情報リテラシーのレベルに依存することなく,簡易な手順・操作で動く教材の作成ができるSqueak eToysの重要性がますます高まってくる.
 私たちが本書を執筆するに至った契機は,高等教育,特に工学において,プログラミングの専門家ではない多くの教員・学生が,従来のプログラミング言語の経験にかかわらずに,ICTを活用した学習環境を構築したい,と考えたことに始まる.例えば,安全工学の専門教育では,さまざまな危険物を実際に教室に持ち込み,それを用いた実験により安全設計条件の確認をする必要が出てくる.同様の状況をスクリーン上で仮想的に再現できれば,実際の危険物を準備せず,いつでも,どこでも学習を進めることが可能となる.私たちは,Squeak eToysを活用して上記のeラーニング環境を構築することにより,スクリーン上で危険物と身体の相互位置と動作を試行的に変更しながら安全性の確認をすることを可能とした.このように,自由にサイズ・位置を変えてスクリーン上の物体・身体を動作させることが簡単な操作で実現できれば,工学教育の多くの分野でICTを活用した教育効果の高い授業あるいはeラーニングを実施することができる.
 本書では,実験・実習を伴うICTを活用した授業・研修あるいはウェブベースのeラーニングにおける「動く教材」作成へのSqueak eToysの応用を念頭に置き,Squeak eToysの基本から応用までを総合的に解説する.第Ⅰ部「基礎編」では,Squeak eToysの特徴であるタイルプログラミングを書くための基本的事項を解説する.第Ⅱ部「実践編」では,工学分野への活用例として,基本的な単一部品の直線移動と回転運動,複数の部品を同時に動作させる複合運動,あるいは部品の複製,動作主体の切り替え制御などについて,機械設計と待ち行列理論のシミュレーション例を用い,Squeak eToysのプログラミングの実際を詳細に解説している.さらに,Squeakの応用範囲を拡張するため,標準装備されていない関数のタイルを作成する方法について,物理現象のシミュレーション例として光学を取り上げて解説している.第Ⅲ部「ノウハウ編」では,第Ⅱ部から得られるSqueak eToysプログラミング上のノウハウを紹介する.
 本書が,これからICTを活用した教育・研修の教材作成を考えている教育機関の教員・学生,あるいは企業の皆様のお役に立てば,大変な幸せだと考えている.
 最後に,本書の発行にあたりご指導・ご協力をいただいた皆様に深謝いたします.
 2007年8月 著 者
第Ⅰ部 基礎編
 第1章 Squeak eToysとは
  1.1 SqueakとSqueak eToys
  1.2 Squeakの歴史と背景
 第2章 起動するまで
  2.1 Squeakの配布元および情報源
  2.2 Squeakを利用する環境について
  2.3 Squeakのダウンロードとインストール
  2.4 Squeakの起動
  2.5 Squeakの終了
 第3章 基本的な構成要素とそれらの操作
  3.1 フラップ
  3.2 コンテクストメニューとワールドメニュー
  3.3 プロジェクト
  3.4 オブジェクト
  3.5 モーフ
  3.6 ハロー
  3.7 ペイントボックス
 第4章 タイルプログラミング
  4.1 スクリプトエディタ
  4.2 ビューア
  4.3 タイル
  4.4 タイルとスクリプトエディタ
  4.5 スクリプトの作り方
  4.6 モーフを動かすスクリプト
  4.7 Squeakにおける制御構造
第Ⅱ部 実践編
 第5章 基本動作?部品の直線移動
  5.1 はじめに
  5.2 部品を用意する
  5.3 部品を動かす
  5.4 スライダーを使って部品を動かす
  5.5 仕上げをする
  5.6 使ってみる
  5.7 まとめ
 第6章 複合運動?サブモーフ
  6.1 はじめに
  6.2 部品を用意する
  6.3 部品を動かす
  6.4 仕上げをする
  6.5 使ってみる
  6.6 まとめ
 第7章 数学関数による動作制御?タイルの定義
  7.1 はじめに
  7.2 部品を用意する
  7.3 関数タイルを作る
  7.4 部品を動かす
  7.5 仕上げをする
  7.6 使ってみる
  7.7 まとめ
 第8章 動作を動的に変化させる?プレイヤ変数
  8.1 はじめに
  8.2 部品を用意する
  8.3 部品を動かす
  8.4 仕上げをする
  8.5 使ってみる
  8.6 まとめ
第Ⅲ部 ノウハウ編
 第9章 Tips集
  9.1 Squeak全般について
  9.2 Squeakと外部とのやりとり
  9.3 オブジェクト全般について
  9.4 個々のオブジェクトについて
  9.5 スクリプトについて
索引

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