セマンティック技術シリーズ オントロジ技術入門

ウェブオントロジとOWL

セマンティック技術シリーズ オントロジ技術入門
著者 AIDOS 編著
ジャンル 全て
情報・コンピュータ
出版年月日 2005/09/01
ISBN 9784501540104
判型・ページ数 B5変・154ページ
定価 2,420円(本体2,200円+税)
在庫 在庫あり

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ウェブオントロジ言語を中心に解説

はじめに
 情報技術分野でオントロジ技術の話題が増えてきている.セマンティックウェブのためのキー技術としてオントロジが注目され,ウェブ技術の標準化を推進してきたW3C(World Wide Web Consortium)は,ウェブオントロジ言語(OWL)をW3C勧告として2004年2月に公表した.それに基づくオントロジ記述や処理系も報告され,2004年には国内でもセマンティックウェブ関連の書籍が出版された.オントロジ技術の応用検討も広がりを見せている.
 このような新技術の立ち上がりに興味をもつ読者に対して,本書はOWLを中心に解説する.オントロジ技術と関連の深いエージェント技術からオントロジを概観し,ウェブという分散環境でのオントロジ記述のためのOWLに関する解説を行う.解説をさらに具体化するためにOWL記述例を示す.その後の章において,オントロジ技術の応用に言及する.
 このOWL解説の目標は,OWLによるオントロジ記述が読めるようになることとし,RDFについての予備的な説明は行わない.つまりRDFやRDF?Sの要素は,たまたま別の名前空間ですでに定義されていたものを利用するという立場をとる.W3CのOWLの勧告の中では,ワインに関する説明例題が使われているが,それは国内の読者にとって必ずしも理解しやすい例題ではないため,本書では独自の例題を用意した.
 OWL解説の対象であるW3C勧告の内容は,W3C勧告の体裁を保存した翻訳として,添付のCD?ROMに収録した.翻訳に用いた訳語については,混乱を避けるため,(財)日本規格協会(JSA)からの出版が予定(2005年秋頃)されているOWLの標準仕様書(TS)の訳語との整合を,原則として図っている.例えば,”universal quantification”=「全称量化」,”orphan blank nodes”=「孤立空ノード」,”formal semantics”=「形式意味論」,”entailment”=「論理的帰結」などである.参考のため,主な訳語の一覧も添付のCD?ROMに含めている.
本書執筆の背景
 ウェブ上での文書情報交換が急速に普及しているが,将来はさらに動画,静止画,音楽,音声などの多次元多言語対話形文書のやりとりの実現が期待される.そこで,誰もが効率的にこれらの情報を生成,流通,管理,再利用できる環境を整備することが望まれ,関連技術の標準化の検討に着手する必要がある.
 このような要求に対応するという経済産業省の意向を受けて,(財)日本規格協会は情報技術標準化研究センター(INSTAC)に将来型文書統合システム標準化調査研究委員会(AIDOS)を設置して,次の項目について調査研究を行い,産業,公共分野などにおける情報化や個人の情報リテラシーの向上を図ることにした.

 (1)既存の電子文書関連規格の体系整理
 (2)多次元多言語対話形文書統合システムのモデル化,それらの標準化課題の抽出および規格の作成
 (3)関連ビジネスモデルおよびメタモデル

 AIDOSの活動は2001年度から開始され,複数の作業グループが次のような課題について調査研究を行うとともに,(財)日本規格協会が発行する標準情報(TR),標準仕様書(TS)などのいくつもの原案の作成を行ってきた.

 (1)ウェブ文書のAPI
 (2)ウェブ上に分散するトピック間の関連付け
 (3)文書統合検索プロトコル
 (4)メタデータ,メタモデル関連技術
 (5)オントロジ
 (6)文書共有

 オントロジ関連技術については,2001年?2002年度にはセマンティックウェブの動向調査の中で当時のOWLとDAML?Sの現状をまとめ,DAML+OILの規定内容を概観した.2003年度の活動では,W3CにおけるOWLの標準化をウォッチし,さらに着目され始めたオントロジ応用技術の動向を調査した,2003年度の末になって,W3CがOWLの規定内容を勧告として公表するに至り,AIDOSの作業グループはその勧告の翻訳に着手し,2004年度の活動として,W3Cとの調整のもとで次の4件のTSの原案を作成した.

 (1)OWLウェブオントロジ言語 ? 概要
    (OWL Web Ontology Language ? Overview)
 (2)OWLウェブオントロジ言語 ? 手引
    (OWL Web Ontology Language ? Guide)
 (3)OWLウェブオントロジ言語 ? 機能一覧
    (OWL Web Ontology Language ? Reference)
 (4)OWLウェブオントロジ言語 ? 意味論及び抽出構文
    (OWL Web Ontology Language ? Semantics and Abstract Syntax)

 これらのTSは,OWLの原勧告の規定内容の翻訳を経済産業省が推奨する標準仕様書様式に則って表記し,日本工業標準調査会の承認のもとに公表するものであって,決してOWLの使い方を解説するものではない.OWLの原勧告そのものも,抽象的な規定の域にとどまっていて,読者の理解を容易にするための配慮は必ずしも十分ではない.そこで,AIDOSにおいてOWLのTS原案作成に関与したメンバによるOWL利用の手引の作成が望まれていた.本書の執筆はこの要求に応えるものとして企画された.
第1章 セマンティックウェブとオントロジ技術
 1.1 オントロジ技術のセマンティックウェブへの適用
 1.2 ウェブオントロジ言語:OWL
 1.3 概念処理を指向するオントロジ技術
 参考文献
第2章 エージェント技術におけるオントロジ
 2.1 エージェントとは何か
 2.2 なぜエージェントにオントロジが必要か
 2.3 FIPA以前のオントロジ技術
 2.4 FIPAエージェントにおけるオントロジ
 2.5 エージェントとセマンティックウェブ
 参考文献
第3章 OWLウェブオントロジ言語
 3.1 OWLとは
 3.2 OWL文書の構造
 3.3 OWLの基本構成要素
 3.4 クラス
 3.5 クラス記述とクラス公理
 3.6 特性
 3.7 個体
 3.8 オントロジヘッダ
第4章 OWLウェブオントロジ言語の記述例
 4.1 オントロジエディタ
 4.2 ProtegeによるOWL文書の作成
 4.3 クラスの作成
 4.4 クラス階層の表示
 4.5 特性の作成
 4.6 クラス公理の作成
 4.7 推論機構の利用
 4.8 クラス階層の変更
 4.9 開世界仮説の影響
 参考URL
第5章 オントロジ技術の応用
 5.1 情報家電への応用
 5.2 博物館情報横断検索への応用
 5.3 書籍検索への応用
 参考文献
付章A オントロジ技術の背景と課題
 A.1 オントロジ技術の現状
 A.2 OWLの現状
 A.3 存在論の歴史
 A.4 情報メディアとデータ型
 A.5 データ型とオントロジ
 A.6 クラス階層による関係
 A.7 確率・統計とシミュレーションを用いるモデルの可能性
 A.8 セマンティックウェブの可能性と課題
 A.9 現状のオントロジ
 A.10 複合ドキュメント
 A.11 おわりに
 参考文献
CD?ROMについて
参考URL
索引

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