Webサイト入門シリーズ(2) Webサイトユーザビリティ入門 第2版

ユーザーテストから発見された「使いやすさ」の秘密

Webサイト入門シリーズ(2) Webサイトユーザビリティ入門 第2版
著者 J.M.スプール
T.スキャンロン
篠原 稔和 監訳
三田 仲人
W.シュローダー
C.シュナイダー
T.デアンジェロ
ジャンル 情報・コンピュータ
出版年月日 2002/07/01
ISBN 9784501531904
判型・ページ数 B5変・168ページ
定価 本体2,400円+税
在庫 在庫あり

この本に関するお問い合わせ・感想

テストを通し評価されるサイト構築を考える

 Webマスター必読の「使いやすさ」調査レポート。業界の最先端の調査結果を本邦初公開。「ウケる」サイトから「使いやすい」サイトへ,キーワードは「ユーザビリティ」。ユーザビリティ関連書の一冊。

■このレポートの目的
 このレポートで取り挙げるのはWebサイトデザインの理論ではありません。ここでは調査データをもとにして、ユーザーが特定の情報を探そうとするとき情報の詰まったWebサイトがいかに使いやすいか(または使いにくいか)を解説しています。

 調査を通じて、ユーザーはデザイナーが意図しているようにはサイトを使ってないようだ、ということがわかりました。調査では営業面やマーケティングに関してはほとんど触れず、サイトが当初の目的をどれほど達成できたかというデータはとっていません。実際のところ、私達はどういったサイトのデザインが良いのかという判断を下すことはできません。はっきりわかっていることは、ユーザーが情報検索する時に何が起こっているかということだけです。

 私達はWebサイトのデザインについて何でも知っているわけではありません。この調査は実験的なものであり、今後行われるWebサイトのユーザビリティに関する調査で私達の発見の意味が弱まったり、さらには矛盾する結果が出て来ることもあるでしょう。このレポートでは、私達の発見したこととそれが何を意味するのかという考察をまとめています。さらにあなた自身がWebサイトで情報を探す際のユーザビリティを評価し改善するための方法をいくつか紹介しています。けれども私達の見解を鵜呑みにせず、あなたのサイトは独自の方法で検討してみて下さい....そして発見したことを私達に教えて下さい!

■謝辞
 このレポートは多くの方々のハードワークの結晶です。彼らの協力がなければWebサイトのユーザビリティについて調査を始めるという私の夢は単なる夢に終わっていたことでしょう。

 このレポートでは一貫して「私達」という言い方(……私達は発見した、……私達は考える、など)をしています。このプロジェクトは共同作業で行われたので、どこまでがある人間の考えでどこからが別の人間の考えか判別できないからです。そのグループ作業の中でも特に中心となる人々に謝辞を贈ります。

 ウィル・シュローダーは調査の計画と調査結果の分析に大きく貢献してくれました。ウィルは小さなデータ群の扱いに精通した統計の達人です。ウィルの分析がなければ、このレポートは単なるエピソード集で終わっていたでしょう。

 このプロジェクトはマサチューセッツ・ソフトウェア評議会研究員プログラムの研究員であるテリー・デアンジェロがいなければ存在しませんでした。テリーの調査に関する知識は私達にとって重要でした。彼女は調査計画を手伝い、ユーザビリティに関するテストのほとんどを実行し、山ほどあるデータを解析し、苦労して分析結果を文章にまとめてくれました。これからも彼女の努力が実を結ぶことを祈っています。
 タラ・スキャンロンはちょうど私達がこの調査を検討し始めたときに入社したため、基本になる調査計画を立ててくれました。そのおかげで、私達は実際の調査で何をテーマとするかについて良いアイデアを出すことができたのです。

 調査後、ユーザビリティに関するテスト記録や分析結果の表計算データが山のようになりました。キャロリン・シュナイダーはタラと共同で記録、編集、事実確認、画面キャプチャ、レイアウト、校正といった作業を通じて、私達の無味乾燥な科学的調査結果を一貫したスタイルの文章と図に仕上げてくれました。マサチューセッツ・ソフトウェア評議会研究員プログラムの研究員であるリチャード・ダンカも編集と校正に手を貸してくれました。

 私達の会社の社員であるシェリル・ホイットニー、ヘザー・バインそしてエニッド・コロンはユーザーのスケジュール調整をこなし、1冊の本のための膨大なレポート作成につきあってくれました。私達は心から彼らに感謝の意を捧げます。

 最後になりましたがデータを提供して下さったユーザーの方々に感謝します。ユーザーの努力とフィードバック、そしていただいたご意見がこのレポートの土台となりました。
ジャレッド・スプール
1997年6月

■監訳者まえがき
 本書は、Webサイトがその利用者たちにとってより使いやすくなるためには、どのような点に留意すればよいかについて平易にまとめられたもので、原題は『WebSiteUsability:ADesigner'sGuide』です。著者の一人であるJaredM.Spoolは、米国でWebサイトやソフトウェアのユーザビリティに関するコンサルティング会社であるUserInterfaceEngineering社(以下、UIE社)の社長を務めており、本書も、同社が行ったWebサイトのユーザビリティテストとその分析結果がベースとなっています。

 そもそも「ユーザビリティ」とは、一言で表すと「さまざまな製品をその利用者にとって使い勝手のよいものにするために、利用者の反応や意見をデザインワークに取り入れていく活動そのもの」ということができます。このようなユーザビリティの考え方を反映することは、プロダクツやソフトウェアなどの使い勝手が向上するだけではなく、それらに関わる余分なコストを削減する効果につながるとも言われています。

 「ユーザビリティ」を向上させるための活動は、もともとハードウェアなどの製品開発やその評価の現場で長年にわたって培われてきました。たとえば、鉄道の自動発券機や銀行のATMなどの公共機械を少しでも利用者にとって使いやすいものにするために開発を続けるメーカーなどでは、数百にも及ぶユーザビリティのチェック項目を発見しています。
 また、ユーザビリティの権威で、最近ではWebサイトのユーザビリティを追求しているヤコブ・ニールセン博士は、ユーザーがシステムを受け入れる可能性を定義した上で、ユーザビリティの特性を5つにまとめています。すなわち、「学習しやすさ」(すぐに使って簡単に学習できるかどうか)、「効率性」(一度使うと高い生産性を上げられるようになるかどうか)、「記憶しやすさ」(しばらく使わなくても再び使うときに覚え直さなくてすむかどうか)、「エラー」(エラーを少なくし、たとえエラーが起こっても簡単に回復できるかどうか)、「主観的満足度」(個人的に満足できて、使うことが楽しくなるようにできているかどうか)です(参考:ヤコブ・ニールセン著『ユーザビリティエンジニアリング原論』、東京電機大学出版局)。

 このような取り組みを背景にして、近年急速に発達してきたWebサイトという新しいメディアに対しても、その使い勝手を向上させるための動きが欧米を中心に活発となってきました。その様子は、米国のWebデザイン関係のイベントや関連雑誌などで、必ず「ユーザビリティ」といった言葉が見受けられることにも象徴されています。では、Webサイトのユーザビリティといった場合、具体的にはどのような取り組みがあるのでしょうか。 まず第一に、これまでのユーザビリティの経験則に加え、Webデザイン特有のユーザビリティ研究の成果を反映した「ガイドライン」の作成を挙げることができます。ガイドラインについては、Webサイトへの取り組みの先駆者であるベンダーや大学などが作成した「デザインガイドライン」が数多く公表されており、広く学ぶことができるようになりました。今やガイドラインは、ますます大規模かつ複雑化しつつあるWebサイトに対して、その一貫性を確立するために欠かすことのできない「Webサイトのバイブル」的な存在になろうとしています。

 そしてもう一つが、実際の利用者の声を引き出すことでWebサイトの使い勝手を向上させる「ユーザビリティテスト」の実施です。これは、さまざまな角度から検討された質問をWebサイト利用者に投げ、その結果を分析しながらWebデザインに反映していくテクニックを指しています。まさに本書は、この「ユーザビリティテスト」の数々の実施事例と、その分析方法について詳細に明かされた初めての書籍と言えるでしょう。

 本書は、「ユーザビリティテスト」に関して3つのパートから解説されています。まず最初に、UIE社が9つのサイトに対して実施したユーザビリティテストの「調査結果」の分析です。ここでは、テスト結果からWebサイト制作に関する5つの推論を導き出した上で、ナビゲーション、リンク、検索、比較、読みやすさ(リーダビリティ)とページレイアウト、グラフィック、ユーザーの好み、といったそれぞれの観点からWebサイトの法則を探り出します。次に、「サイト・アラカルト」では、テストを行ったWebサイトを評価の高い順から紹介し、個別の分析とその特徴を捉えています。そして最後に、「サイトをテストする」では、UIE社によるユーザビリティテストの具体的な実施方法について学ぶことができます。

 Webサイトが、いよいよビジネスやコミュニケーションの本格的な手段となろうとしている現在、ますます多くの人たちがWebサイトのデザインに取り組もうとしています。しかし、巷に溢れるWebデザインに関する書籍は、そのほとんどが見栄えのするWebサイトの作り方などに終始しているのが実状ではないでしょうか。本書が提唱する「ユーザビリティ」の考え方の実践を通して、使い勝手のよい、わかりやすいWebサイトをデザインするためのヒントを掴んでいただけたら幸いです。
2000年1月
篠原稔和

■第2版の刊行にあたって
 本書(日本語版)の初版が出た2000年1月の約半年後、ヤコブ・ニールセン博士による"DesigningWebUsability"(邦訳『ウェブ・ユーザビリティ』)の出版が起爆剤となって、日本におけるWebサイトのユーザビリティに対する関心は、飛躍的に高まりました。今では、数多くの考え方やその取り組みが書籍や雑誌を通じて紹介され、実際のビジネス上のサービスも数多く登場しています。
 これは、日本のWebサイトにおけるサイクルが、デザイン・開発といった実装の段階から、企画や戦略を重視するサイクルを経て、既存のWebサイトをしっかりと評価・分析してあらたなサイトを構築するタイミングにあったこと、そして、マネジメントの領域における顧客やユーザーを中心に据えて一連の関係性を構築していく、いわゆるCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)や、顧客満足を第一におく経営スタイルを志向する流れとも密接な関係があること、として捉えることができるでしょう。
 そのような中、本書は日本のみならず欧米の中にあっても、ひときわ異彩を放った存在として登場しました。それは、すべてにおいてユーザーの行動が第一であるという一貫した姿勢をとる本書の基本的な考え方に始まって、そもそもが著者の1人であるジャレッド氏率いるUIE社の日頃の成果をまとめた自費出版として世に登場し、結果としてWebサイトにおける初のユーザビリティの書となった経緯などが物語っています。そして現在では、著者のジャレッド氏は、ニールセン博士と並んで、ウェブ・ユーザビリティのグル(導師)として全米を中心に活躍し、ユーザビリティのコミュニティ活動の中でも重要な役割を果たしています。
 ここで、読者の皆さまにおことわりがあります。当初、本書が欧米におけるWebサイトのユーザビリティを題材にした初の書籍であった経緯から、その日本語タイトルにおいても「入門」というタイトルをつけることで、より多くの方々にその全容を知っていただこうと企画しました。しかし実のところ、本書は Webサイト上のユーザビリティに関する全ての知識を網羅しているわけではありません。むしろ、ユーザビリティの中でも一番基礎的な技法であるユーザビリティ・テスティングを中心に据え、そこから導き出される解釈やその方法を紹介した「実践書」として使うことができる貴重な書籍なのです。そのため第2版の刊行にあたり、サブタイトルを「ユーザーテストから発見された『使いやすさ』の秘密」とし、より内容に沿ったタイトルとしてご紹介することにいたしました。その趣旨をご理解いただけましたら幸いです。
2002年2月
篠原稔和
shino@sociomedia.co.jp
www.sociomedia.co.jp
はじめに
 このレポートの目的
 謝辞
 監訳者のまえがき
1部 調査結果
第1章 Webサイトのユーザビリティ:概観
  Webにおける「ユーザビリティ」とはどういうものか
  調査したサイト
  「宝さがし」テスト
   テスト結果
   ランキング
   改善の余地について
   ランキング以上に重要なものとは?
  注目すべき推論
   推論1:グラフィックデザインは役に立たないが害にもならない
   推論2:テキストリンクが最も重要
   推論3:ナビゲーションとコンテンツは切りはなせない
   推論4:情報検索とサーフィンは異なる
   推論5:ソフトウェアのようなわけにはいかない
第2章 移動する:ナビゲーション
  ドメインの知識とナビゲーション
   旅行業界のドメイン
   投資関連のドメイン
   自動車業界のドメイン:コンテンツとナビゲーションの統合について
   Webサイトのユーザーはさまざま
  サイトの構造
   ユーザーはサイトのイメージモデルを持っていない
   コンテンツとナビゲーション:シェル
   サブサイト
  ナビゲーションのためのツール
   ツール1:フレーム
   ツール2:目次
   ツール3:ナビゲーションバー
   ツール4:階層マップ
   ツール5:「現在位置」
   ツール6:サイトマップ
  ユーザーがナビゲーションする際の行動パターン
   検索機能を利用する
   FAQのページのみに頼る
   「戻る」ボタンについて
   前進するための後退
第3章 移動する:リンク
  対照的な2つの事例:リンクの比較
  説明があると内容が予測しやすい
   リンクに使われているあいまいな用語
   あいまいさをコントロールする
  「違いをはっきりさせること」がナビゲーションに役立つ
   リンクの数
   イメージリンク
  リンクのレイアウト
   組み込み型リンク
   改行のあるリンク
  リンク先
   ページ内リンク
   他のページへ飛ぶリンク
  経験は役に立つか?
第4章 サイト内検索
  不明瞭な検索範囲
   複数の領域
   「泥沼」での検索
   検索分野を決める際の混乱
  検索結果
   検索結果の配列
   不十分な検索結果
   重複している検索結果
   意味のない情報
第5章 比較の難しさ
  ユーザーは比較作業をどうこなしたか
   覚えておく
   書き留めておく
   印刷する
   いくつものウィンドウを開く
  大量の比較と「ホッピング」
   ホッピングをしなくてすむデザイン
   カタログ的な手法
  ユーザーの選択を支援してくれるサイト
第6章 読みやすさとページレイアウト
  私達の提唱する理論:飛ばし読みこそ有効
  読みやすさとWeb
   FogIndexを算出する
  飛ばし読みのしやすさ
  余白にまつわるジレンマ
   余白とテキストの密度
   余白と飛ばし読み
  スクロールと「折り目」
   行き止まりと誤解される罫線
  ボタン重力の法則
第7章 Webにおけるグラフィックデザイン
  グラフィックデザインの役割
   ユーザビリティを左右する唯一の要素:リンクの色
  ダウンロードに要する時間
   待つべきか、待たざるべきか
  アニメーションと動き
   動きがもたらす注意散漫
   動きのある広告
第8章 ユーザーの好み
  課題達成度とユーザーのお気に入り度
  課題達成度とユーザーの嫌悪感
  Webサイトはちょっと様子が違う
第2部 サイト・アラカルト
第9章 エドモンズ
第10章 ヒューレット・パッカード
第11章 Webセーバー
第12章 トラベロシティ
第13章 Inc.
第14章 C┃net
第15章 フィデリティ
第16章 ディズニー
第3部 サイトをテストする
第17章 どのようにして私達はサイトをテストしたか
  質問の種類
   1.単純な事実についての質問
   2.判断の必要な質問
   3.事実の比較についての質問
   4.比較および判断の必要な質問
  質問の難しさ
  ユーザビリティテストの方法論
  データの蓄積
   中間アンケート
  サイトのランキングを集計する
   テスト終了後のアンケート
   テスト終了後のアンケートの結果
  どれだけ良ければ十分なのか
ユーザー・インタフェース・エンジニアリング社
  詳しいご紹介
   Eye For Design ニュースレター
   UIEチップス・E-mail出版
   ユーザー・インタフェース・エンジニアリング社のWebサイト
   詳しくはこちらまで
訳者あとがき
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