Webサイト入門シリーズ(1) Webサイトエンジニアリング入門 第2版

次世代型Webサイト構築のための体系的アプローチ

Webサイト入門シリーズ(1) Webサイトエンジニアリング入門 第2版
著者 T.A.パウエル
D.C.カッツ
篠原 稔和 監訳
D. L. ジョーンズ
ソシオメディア
ジャンル 情報・コンピュータ
出版年月日 2001/03/01
ISBN 9784501531805
判型・ページ数 B5変・296ページ
定価 本体2,500円+税
在庫 在庫あり

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新しいwebサイト構築のための本格的テキスト

 21世紀に勝ち残るための新しいWebサイト構築。Webサイトのソフトウェア開発方法論を適用した初の本格的テキスト。計画段階から,デザイン,実装,メンテナンス,評価まで一連のプロセスを体系的に解説。Webサイト,イントラネットのデザイン・構築に必要なすべての知識。

■序文
 Webサイトのデザインとは、グラフィックデザインのことではありません。実に多くの本が、Webサイトの開発を単に使いやすいインタフェースの選択や適切なマーケットの考え方、あるいは正しいHTML言語の記述の問題として扱ってしまっています。これはWebサイト開発を取り上げる際の最も単純な切り口です。そのような一般論に当てはまるサイトももちろんありますが、ではイントラネットはどうなるでしょうか。Web上で稼動するアプリケーションや商取引システムについてはどうでしょうか。こういった例はいくらでも挙げることができます。そこで本書では、Webサイトの持つビジュアルデザインやユーザーインタフェースを超えたもの、つまり機能性という可能性について検討しようとしています。サイトとはコンテンツばかりを指すわけではありません。それはしばしばアプリケーションでもあるのです。コンテンツのシンプルなナビゲーションを超えたより高度な機能に加え、システムデザイン、プランニング、テスト、その他あらゆる問題が登場します。エンジニアリング理論やその組織化は、このような混沌となり得る世界をコントロールする上で役立ちます。今やサイトは、いっそうソフトウェア開発プロジェクトに近づき、芸術プロジェクトという面は薄れています。実際、世界中の多くの企業では情報システム部とマーケティング部との間で、Webサイトの主導権を巡り日々争いが起きていますが、そんな必要があるのでしょうか。本書で、ソフトウェア的なアプローチが最善であると言い切るつもりはありません。デザイナーがプロジェクトを仕切ってはいけないといっているわけでもありません。サイトを構築するのにある特定のデザイン手法が最適とはいえないのと同様に、ソフトウェアエンジニアリング理論が万能であるということもないのです。本書をお読みになれば、サイトの構築は複雑な仕事であるということがよく分かるでしょう。グラフィックデザインやユーザビリティ(使いやすさ)、サーバのデザイン、その他数多くの専門家なしには、サイトは本来可能なはずの成功を収めることはできないでしょう。大学出のコンピュータ専門家にビジュアルデザイナーの仕事は分からないのと同様、熟練したビジュアルデザイナーがオブジェクト指向のコーディング技術が分かったところで仕方がないのです。サイトの構築のためにすべての分野に通じている必要はない、ということが本書を読めばよく分かるでしょう。事実、いろいろな分野の人々をよび集めてサイトを構築できれば、そのことこそが才能といえるのです。

■謝 辞
 本書に登場する数々のアイデアは、いくつもの興味深く楽しい共同作業の産物です。この作品を形作るために貢献してくれたすべての人に感謝したいと思います。まず二人の共著者、Powell internet Consulting, LLC (PINT)のDavid JonesとDominique Cuttsに感謝します。去年の夏、上司の私が別のプロジェクトに掛かり切りになった時もこの仕事を進めてくれました。Dan Whitworth、Rob McFarlane、Jimmy Tam、Tyde Richardsなど他のPINTのスタッフも大きな力になってくれました。特に、PulseのBerta Creter、AMCCのKelly Johnsonといった私たちのクライアントの方々からも、プロジェクトについて多くの経験と知識を得ることができました。本書の構想について助言をくれたカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)コンピュータ科学学科のBill Griswoldに対し、特別な謝意を表します。毎晩花火を打ち上げ、夜遅くまで働く私たちを楽しませてくれたSan Diego Sea Worldにもぜひお礼をいわなければなりません。Prentice HallのMary Franzは本書にかかわる幾多の困難に最も忍耐強く対処してくれました。Prentice Hallのみなさん、とりわけNick Radhuberの尽力により、本書は晴れて世に出ることができました。技術的な部分のチェックをしてくださった多くのみなさんにも非常に感謝しています。みなさんの意見が本書を形にする上で役立ちました。最後に、必要な時にはいつでも愛と助力を与えてくれた友人や家族、愛する人々に感謝の意を表したいと思います。
Thomas A. Powell
tpowell@pint.com
1998年1月

■監訳者まえがき
 Webという新しいメディアが世に登場してまだ数年しか経っていないにも関わらず、このネットワーク上に出現した「新しい現実」は激しい勢いで拡がっています。当初、このWebの果たすべき役割については、さまざまな予測がなされました。中でもハイパーテキストの研究で著名なRoy Rada博士は、「文化の歴史は、情報の再利用(Reuse)と人と人との調整(Coordination)にある」と捉えた上で、Webを「調整と再利用を実現するもの」と位置づけました(Groupware and Authoring, 1996)。
 この予測の通り、企業にとってのWebサイトは、企業理念(CI)を従業員やパートナーと共有したり、事業を顧客に向けて展開するためのいわば「調整のためのメディア」としての広がりを見せました。この機能を効果的に果たすためには、従来のメディアとの違いを充分に検討した上で、情報を抽出し組織化する方法や、効果的に伝えるためのさまざまな知識が必要とされています。すなわち、「組織構造のフレームワーク」(Organizational Framework)、「情報アーキテクチャ」(Information Architecture)などを捉える能力です。
 そして、今や企業のWebサイトはその黎明期における企業案内的な役割を超えて、企業データベースなどのバックエンドシステムとのシームレスな統合、電子商取引(EC)、それに関わるセキュリティ管理や顧客サポートシステムを含んだ企業システムの中核を担おうとしています。これはいわば、情報の総合的な「再利用を実現するメディア」としての役割と言えます。
 Webのこのような新しい役割を提供する分野のことを、米国では「戦略的インターネットサービス」(Strategic Internet Service)と呼んでおり、情報調査会社によると、2002年までに200億ドル規模にまで成長する、サービス分野における最大の市場となる、と予想されています(IDC, 1998)。
 この急成長の分野において、そのサービスの提供に際しますます重要となるのは、Webサイトを「ソフトウェア」として捉える視点です。また、こういった「ソフトウェア」を実現するには、一部の専門家達の技に頼るのではなく、より多くの人が理解し共有できるものとしていかなければなりません。そこで、必要とされるものが「手法」や「方法論」なのです。複雑なものに直面したとき、人はおそらく何らかの手法やメソッドに頼らざるを得ないでしょう。読者のみなさんにとって、「ソフトウェア」の視点と「メソッド」を同時に導入した本書こそ、まさに長く待ち望まれた本格的テキストとなるはずです。

■本書の特徴
 本書は、Webサイトのデザイン/構築の分野に「ソフトウェアエンジニアリング」の原理と方法論を適用する考え方を解説したもので、原題はWeb Site Engineering ミミ Beyond Web Page Design, 1998です。著者のThomas A. Powell氏は、米国でインターネット技術・Webサイトデザインのコンサルティング会社であるPowell Internet Consulting社(PINT)の社長を務める傍ら、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)において、インターネットに関する講座を担当しており、本書はそのテキストとしても活用されています。
 本書の特筆すべき特徴として、次の三つを挙げることができるでしょう。
 まず最初に、Webサイトをソフトウェアとして捉え、そのソフトウェアの知識をWebに応用し発展させようと試みている点です。特に、ソフトウェア開発ライフサイクル方法論をWebサイトへ適用させているのは、おそらく初の試みでしょう。
 第二に、Webに関わる技術や知識を総覧できることです。「方法論」という一定の軸に沿って解説されており、Webサイトのデザイン/構築に必要とされる知識のガイドとしても役立つに違いありません。
 そして第三には、Webサイトの「デザイン」が対象とする範囲を拡張している点です。これまで、「Webデザイン」と言った場合、「ページデザイン」に留まって解釈されることが多かったものを、本書では、「情報」「プログラム」「構造」「ナビゲーション」「グラフィック」「ネットワーク/サーバ」なども「デザイン」の範囲として解説しています(なお、本書では、「デザイン」という用語を広義に捉える主旨に沿って、訳出に際しても一貫して「デザイン」という語を採用しました)。

■本書の読者
 本書は、Webサイト、イントラネット、エクストラネットの構築に携わる現場の開発者やユーザーから、プロジェクトをまとめるリーダーや経営者まであらゆる人を対象にしています。また、Webサイト開発の方法論とその全容を整理するという主旨から、大学や専門学校、会社等での教育の現場でも大いに活用することができるでしょう。

■本書の構成
 本書は、全体で10章から構成されていますが、その内容は大きく三つ(第1章?第3章/第4章?第9章/第10章)に分けられます。
 まず、第1章から第3章まででは、「Webサイトエンジニアリング」プロセスの説明に入る前に、Webサイトやソフトウェアに関する基礎的な知識を整理しています。「第1章:Webサイトデザインの進化」では、Webサイトデザインの進化過程について、その発展世代ごとに見た特徴がまとめてあります。そして、現在のWeb開発に最適とされる開発モデルが紹介されます。「第2章:ソフトウェアエンジニアリング理論の適用」では、Webサイトをソフトウェアとして捉えた上で、その位置付けや適切なWebサイトを判断する上でのポイントが述べられます。また、この章では、ソフトウェアエンジニアリング分野におけるプロセスモデルの解説とその適用について詳述しており、ソフトウェア分野の知識があまりない読者の方は、この章を読むことで補うと有効でしょう。「第 3章:メディアとしてのWeb」では、Webサイト技術全般を理解する上で必要な知識がまとめてあります。特に、Webメディアの構成をクライアント、ネットワーク、サーバの観点に分けて解説しており、Webメディアの特徴を整理する明確な視点を与えてくれます。
 そして、第4章から第9章までが、本書の核となる「Webサイトエンジニアリング」の段階ごとの説明です。それぞれの章は、エンジニアリングライフサイクルである「問題定義→要求分析→デザイン(設計)→実装→テスト→プロモーション/メンテナンス」の各段階に対応しています。「第4章:問題定義と課題探求」では、問題の理解の仕方から始まり、問題点の定義の方法や効果測定法の確立について述べられます。「第5章:要求分析と機能仕様」では、環境によるサイトの分類(インターネット、イントラネット、エクストラネット)を行った上で、それぞれに対する要求分析の違いや機能仕様の定義について解説します。「第6章:WebサイトとWebシステムのデザイン」では、Webデザインの対象となる範囲を定義した上で、それぞれのデザインの特徴が詳述されます。「第7章:Webサイトの実装と構築」では、Webサイトの実装および構築に際して、必須となる技術面を中心に解説しており、第3章で述べられたWebメディアの特徴をさらに詳しく整理しながらまとめています。また、この段階で行う「開発テスト」についても述べられます。「第8章:Webテスト」では、 Webデザインの過程で行うべきテストについての全体像が述べられます。これまでWebデザインやその開発に関する書籍では、あまり説明されることのなかった「テスト」という領域について、その問題点や実際の範囲について詳しく説明しています。特にユーザーの意見を反映させるための「ユーザビリティテスト」のWebデザインへの適用は、これからのWebデザインの鍵となるテーマでしょう。「第9章:プロモーションとメンテナンス」では、プロモーションやメンテナンスの段階を一連の開発プロセスの中に組み込む「エンジニアリングライフサイクル」の利点を、Webに適用する方法について述べています。ここでは、Webの種類ごとに異なるプロモーションの方法やメンテナンスの考え方、さらに次のデザイン、開発に活かすためのフィードバックについて説明されます。
 そして、「第10章:Webサイトエンジニアリングを超えて」では、「Webサイトエンジニアリング」の各サイクルを超えた問題点が指摘されます。この章では、現実のWebサイトプロジェクトで直面し、しばしば、その技術面以上に難しいテーマとなりかねない組織的な問題や、人的な問題に焦点があてられています。実際の企業における問題の現場を知る著者ならではの、まさに示唆に満ちた内容となっています。
 さて、以上が本書の構成ですが、各章の終わりにはその章の内容の「要約」とともに、その章で引用した「参考文献」や、さらに詳しく調べたい読者のための「推薦図書」が紹介されています。これらは各章の理解を深めるために有効であると同時に、この「Webサイトエンジニアリング」の分野を理解する際に必要な知識を整理する上でも役立つに違いありません。
1999年2月
篠原稔和
shino@sociomedia.com
1 Webサイトデザインの進化
1.1 Webデザイン
1.2 世代ではなく、目的が問題
1.3 Web版RAD手法の初期の失敗
1.4 Web開発のモデル:改良型ウォータフォールモデルとスパイラルモデル
1.5 要 約
2 ソフトウェアエンジニアリング理論の適用/TD>
2.1 ソフトウェアとしてのWebサイト
2.2 最近のWeb開発
2.3 プロセスの必要性
2.4 プロセスモデル
2.5 プロセスを超えた先にあるもの
2.6 Webサイトエンジニアリングとソフトウェアエンジニアリングの違い
2.7 要 約
3 メディアとしてのWeb
3.1 ネットワーク上のコミュニケーション
3.2 Webセッションの概略
3.3 Webメディアを構成するもの
3.4 要 約
4 問題定義と課題探求
4.1 問題の理解
4.2 問題点の書き出し
4.3 コンセプトの追求と実現性の考察:渦巻き法
4.4 問題定義に対する回答:全体の目的
4.5 効果測定法の確立
4.6 ロジスティックス
4.7 要 約
5 要求分析と機能仕様
5.1 サイトの分類
5.2 要求分析
5.3 機能仕様
5.4 見積もりとリソース要求
5.5 要 約
6 WebサイトとWebシステムのデザイン
6.1 Webデザインに含まれるもの
6.2 情報デザイン
6.3 Webサイト:アプリケーション vs 情報
6.4 プログラムデザイン
6.5 構造化デザイン
6.6 デザインアプローチの選定
6.7 ナビゲーションデザイン
6.8 グラフィックデザイン
6.9 ネットワーク/サーバのデザイン
6.10 要 約
7 Webサイトの実装と構築
7.1 プログラミングテクノロジー
7.2 クライアントサイドのテクノロジー
7.3 クライアントサイドテクノロジー利用のタイミング
7.4 サーバサイドテクノロジー
7.5 サーバサイドテクノロジー利用のタイミング
7.6 コンテンツテクノロジー
7.7 開発ツール
7.8 ベータサイトの組み立て
7.9 実装プロセス
7.10 開発テスト
7.11 要 約
8 Webテスト
8.1 テストに関する問題点
8.2 現実的なテスト
8.3 テスト計画と手順
8.4 機能性テスト
8.5 コンテンツテスト
8.6 ユーザーテスト:ユーザビリティテストとベータテスト
8.7 テスト結果
8.8 要 約
9 プロモーションとメンテナンス
9.1 プロモーションとサイトや情報の見つけ方
9.2 メンテナンス
9.3 Webサイトの成長または修正に対するフィードバックの利用
9.4 要 約
10 Webサイトエンジニアリングを超えて
10.1 現実の世界:あらかじめ計画のできないもの
10.2 Webプロジェクトの防御
10.3 社内抗争
10.4 組織に影響を及ぼすWebサイト
10.5 領分にとどまること
10.6 要 約
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