内燃機関

内燃機関

内燃機関の基礎事項について、歴史・動作原理・環境対策・トライボロジーを入門者向けに詳説。専門、大学、初級技術者向け。

著者 古濱 庄一
内燃機関編集委員会
ジャンル 機械
出版年月日 2011/11/01
ISBN 9784501419301
判型・ページ数 A5・320ページ
定価 本体3,800円+税
在庫 在庫あり

この本に関するお問い合わせ・感想

内燃機関の権威である故古濱庄一先生の集大成。編集委員により最新の知見を取り入れて編集。内燃機関の基礎事項について、歴史・動作原理・環境対策・トライボロジーを入門者向けに詳説。専門学校、大学学部生、初級技術者向けテキスト。

 人類はほんの100~200年前まで人力で,水を汲み上げ,人や荷物を運び,船を走らせ,また農耕作業をしていた。それを石炭や石油の熱エネルギーで機械的動力に変えて使うことは,長くて大きい願望であった。初めてそれに応えたのが蒸気エンジンであった。さらに小形・軽量で安全な熱原動機として「内燃機関」が研究開発,実用化された。それは人力ではとても及ばない大出力を便利で効率よく取り出し,たとえば飛行機で地球の裏側に一昼夜以内に旅行できるようになった。
 このように,内燃機関は人々の生活を一変させ,欠かせないものとなり,将来いっそう拡大されることは確かである。それは質的発展だけでなく,量も莫大な数に達している。現在,世界の白動車生産台数は年間数千万に達し,その数の増大は他方で排気の大気汚染や騒音などの公害を引き起し,社会的大問題となっている。さらに,石油資源も今後1世紀を経ずして枯渇すると言われている。従来の内燃機関の研究開発の主目的は高出力化と低燃費化であったが,今やそのような社会的問題の解決が至上命題となっている。
 問題解決に必要な基礎知識は,機械,電気,化学のほかに生物,医学などに及び,これらのあらゆる知識を駆使して斬新なエンジンの出現が望まれている。従来も多くの発明家による新しいエンジンが世間の注目を浴びたが,ほとんど消え去った。このような誤ちを繰り返さないためにも,エンジンの構造や性能の要点を基礎知識として持たねばならない。これらの知識は重要であっても理解されていないものや,経験的知識でそのメカニズムや理論が明確でないものがまだまだ無数にある。
 本書はその要請に応えるために主として大学や専門学校の教科書または講義の参考書として計画し,できるだけ簡明に,また筆者が経験して必要であるがわかりにくい事項に着目して解説した。しかし,筆者の浅学非才のため不十分のところが多く,講義担任や研究指導の諸先生の適切な指導を祈念するものである。
 また,多くの貴重な資料を下記の書籍や文献から引用させてもらった。それらはできるだけ出典を示したが,これらの著者に深甚なる謝意を表す。
  日本機械学会:機械工学便覧 新版
  エンジンの事典,朝倉書店
  長尾不二夫:内燃機関講義 上・下,養賢堂
  中島泰夫・村中重夫編著:新・白動車用ガソリンエンジン,山海堂
  村山正・常本秀幸:自動車エンジン工学,山海堂
  John B,Heywood:Internal Combustion Engine Fundamentals,Mc Graw-Hill
  Colin R.Ferguson:Internal Combustion Engines,John Wiley & Sons
  Charles F.Taylor:The Internal-Combustion Engine in Theory and Practice,Second edition,The M.I.T.Press
  Oscar Pinkus,and Beno Sternlicht:Theory of Hydrodynamic Lubrication,Mc Graw-Hill
 最後に,武蔵工業大学の山根公高および滝口雅章の両氏に多大なご協力を得たので深謝する。
 2001年
 古濱 庄一

 本書の刊行にあたって
 本書の草稿は古濱庄一(武蔵工業大学[現東京都市大学])名誉教授(元武蔵工業大学学長)が執筆したものである。古濱先生は,エンジントライボロジーや水素エンジンの研究分野において多大なる功績を残された方であり,その集大成としてこの内燃機関の原稿をまとめ上げた。刊行に向けた校正作業を行う直前の平成14年1月10日,残念ながら永眠された。
 我々は古濱先生のご遺志を引き継ぎ,古濱研究室のメンバーを中心とした内燃機関編集委員会を組織して内容の確認や校正作業を行った。内容については,最新の動向や事例を取り入れ,未完であった一部原稿の加筆を行っている。
 本書の刊行に際しては,金沢工業大学加藤聡先生,千葉大学古山幹雄先生に多くのご助言やご協力をいただいた。当初から本書刊行に携わった瀧口雅章先生が,刊行準備半ばで他界されてしまい完成を見られなかったことは誠に残念である。多大なご尽力に感謝する。また,日本陸用内燃機関協会LEMA編集長の八木国夫氏,東京電機大学出版局の石沢岳彦氏には大変お世話になった。関係各位に心よりお礼を申し上げる。また,奥様の古濱光子様は,古濱先生の研究や教育活動を長年にわたり陰から支えてこられた。本書がこのように完成したのも奥様古濱光子様のご尽力の賜である。本書を古濱光子様に捧げます。
 2011年10月
 内燃機関編集委員一同
第1章 緒論
 1.1 内燃機関ができるまで
  1.1.1 蒸気エンジンの出現
  1.1.2 内燃機関への期待
  1.1.3 内燃機関をつくった先達の業績
 1.2 現状と将来展望
  1.2.1 問題点
  1.2.2 予想される新原動機
 1.3 分類とそれぞれの特徴
  1.3.1 火花点火と圧縮着火エンジン
  1.3.2 4サイクルと2サイクル
  1.3.3 冷却法
  1.3.4 シリンダ数および配列
  1.3.5 間欠燃焼と連続燃焼方式
第2章 出力とサイクル
 2.1 出力に関する定義
 2.2 出力測定
 2.3 変速機
 2.4 空気サイクル
  2.4.1 その意義
  2.4.2 状態変化
  2.4.3 サイクル
 2.5 実際のサイクル
  2.5.1 作動物質としての燃焼ガス
  2.5.2 熱解離
  2.5.3 断熱火炎温度
  2.5.4 空気と燃料の混合比
  2.5.5 残留ガスの影響および分子数の変化
  2.5.6 仮定の異なるオットーサイクルの計算値
  2.5.7 熱の発生
  2.5.8 壁への伝熱損失
  2.5.9 実働サイクルの解析
  2.5.10 ポンプ損失
  2.5.11 インジケータ
第3章 往復動機関の燃焼
 3.1 特徴
 3.2 燃料
  3.2.1 燃料に要求される条件
  3.2.2 燃料の種類
  3.2.3 発熱量
  3.2.4 気化性
 3.3 混合気
  3.3.1 空気
 3.4 燃焼の経過の概要
 3.5 反応速度
  3.5.1 温度の影響

  3.5.2 混合比の影響
  3.5.3 ガス流動の影響
 3.6 排気の主成分
  3.6.1 完全燃焼の場合
  3.6.2 不完全燃焼の場合
 3.7 火花点火エンジンの燃焼
  3.7.1 点火の条件
  3.7.2 燃料の点火性
  3.7.3 空気の不活性ガスを変えたとき
  3.7.4 火花発生システム
  3.7.5 点火栓
  3.7.6 点火時期
  3.7.7 異常燃焼
 3.8 ディーゼル機関の燃焼
  3.8.1 着火の条件
  3.8.2 燃焼の経過
  3.8.3 ディーゼルノック
  3.8.4 着火遅れの特性
  3.8.5 すすの発生
第4章 混合気生成法

 4.1 混合気への要求

 4.2 火花点火機関の混合気生成法
  4.2.1 点火
  4.2.2 性能
 4.3 単純な気化器
  4.3.1 気化器の補助装置
 4.4 電子制御吸気管ガソリン噴射
  4.4.1 システム
  4.4.2 噴射弁
  4.4.3 空気流量計
  4.4.4 排気酸素センサ
 4.5 シリンダ内ガソリン噴射
  4.5.1 特徴
  4.5.2 システム
  4.5.3 作動

  4.5.4 排気対策
 4.6 ディーゼル機関の燃料噴射に対する要求
  4.6.1 噴霧特性
 4.7 ディーゼル機関の燃料噴射装置
  4.7.1 概要
  4.7.2 噴射量の調節法
  4.7.3 ボッシュ式噴射装置
  4.7.4 分配式ポンプ
  4.7.5 噴射管内の圧力波
  4.7.6 噴霧の特性
  4.7.7 高圧噴射
 4.8 ディーゼル機関の燃焼室とガス流動
  4.8.1 直接噴射式燃焼室
  4.8.2 副室式燃焼室
第5章 排気の環境対策
 5.1 意義
 5.2 排気の法規制
 5.3 ガソリン機関を代表とする予混合燃焼のCO,HC,NOxの発生
  5.3.1 CO
  5.3.2 HC
  5.3.3 NOx
 5.4 ガソリン機関の排気対策
  5.4.1 触媒
  5.4.2 三元触媒の実際
  5.4.3 低温HCの低減
 5.5 ディーゼル機関の排気対策
  5.5.1 概要
  5.5.2 PM対策
  5.5.3 NOx対策
第6章 吸・排気系統
 6.1 基本的事項
  6.1.1 概要
  6.1.2 ガスの流れ
  6.1.3 弁の運動
 6.2 4サイクル機関の場合
  6.2.1 体積効率
  6.2.2 吸・排気系の圧力および音速
  6.2.3 弁のタイミング
 6.3 動弁機構の力学
  6.3.1 揚程・加速度
  6.3.2 弁のおどり
  6.3.3 動弁機構の実例
 6.4 吸・排気の動的効果
  6.4.1 概要
  6.4.2 脈動効果
  6.4.3 慣性効果
  6.4.4 排気管の場合
  6.4.5 実用上の問題
 6.5 過給
  6.5.1 意義
  6.5.2 機械式過給
  6.5.3 排気タービン過給
 6.6 2サイクル機関の掃気
  6.6.1 掃気作用の意義
  6.6.2 掃気法の分類
  6.6.3 構造および作動
  6.6.4 掃気作用の効率
第7章 クランク機構の力学
 7.1 クランク機構の特徴
 7.2 ピストンの力学
  7.2.1 ピストンの運動
  7.2.2 慣性力
  7.2.3 連接棒
 7.3 ピストンスラップ
  7.3.1 現象とその障害
  7.3.2 スラップ運動
  7.3.3 ピストンピンオフセット
 7.4 平衡
  7.4.1 クランクの慣性力
  7.4.2 慣性力の平衡
  7.4.3 回転体の平衡
  7.4.4 直列機関の往復質量の平衡
  7.4.5 単シリンダ機関
 7.5 トルク変動とその対策
  7.5.1 概要
  7.5.2 はずみ車
 7.6 クランク軸のねじり振動
  7.6.1 基礎式
  7.6.2 クランク機構の簡略モデル
  7.6.3 ねじり振動の求め方
 7.7 ロータリエンジンのロータの力学
  7.7.1 二葉エピトロコイド曲線
  7.7.2 揺動角
  7.7.3 行程容積Vs
  7.7.4 アペックスシールの運動
第8章 内燃機関のトライボロジー
 8.1 内燃機関におけるトライボロジーの意義
 8.2 基本的現象
  8.2.1 固体潤滑状態
  8.2.2 境界潤滑状態
  8.2.3 流体潤滑状態
  8.2.4 混合潤滑状態
  8.2.5 摩耗の種類
 8.3 潤滑油
  8.3.1 粘度

  8.3.2 添加剤
  8.3.3 潤滑油の分類
  8.3.4 潤滑油の供給
 8.4 ピストンリングのトライボロジー
  8.4.1 ピストンリングの機能
  8.4.2 ピストンリングのガスシール機能
  8.4.3 ピストンリングの潤滑論
  8.4.4 オイル消費
  8.4.5 ピストンの温度
 8.5 動弁系のトライボロジー

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