理工学講座 精密工学

理工学講座 精密工学

本書は精密工学を「高精度な機械を実現するための知識や諸原則を体系化したもの」という位置づけでまとめた。

著者 中沢 弘
ジャンル 機械
シリーズ 理工学講座
出版年月日 2011/04/01
ISBN 9784501418700
判型・ページ数 A5・286ページ
定価 本体3,300円+税
在庫 在庫あり

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本書は精密工学を「高精度な機械を実現するための知識や諸原則を体系化したもの」という位置づけでまとめた。大学で教鞭をとっていた著者の経験を生かし,初学者でも理解できるようできるだけ難しい数式を使わず,図と文章でわかりやすくまとめた。

 製造業の第一線で活躍されている技術者・研究者の方々の中には,高精度な機械を作るには,どのように設計し,どのように加工すればよいのかわからずに困惑された経験をお持ちの方が多いのではないだろうか.
 わが国には精密工学会という大きな学会があるが,そこでも精密工学とはどういう学問であるかということはいまだに不明確であり,また学問としてもまだ体系立てられていないと理解している.私は大学で精密工学を教える立場の者として,何をどのように教えるべきかいままで悩んできたし,熱力学とか制御工学とかいうほかの体系立てられた理路整然とした学問をうらやましく思っていた.精密に関係する断片的な知識や事例を教えることにある種のうしろめたさも感じていた.なぜならこのような断片的な知識を与えても,社会に出て数年も経つとそれらは古くて使いものにならなくなってしまうからである.
 そのような背景のもとに,私は1985年頃から精密工学もほかの学問のように体系立て,学生が社会に出て仕事をするときにいつまでも役立つ原理的なものを教えることができるのではないかと考え始めて,浅学非才を顧みず学問らしくまとめようと思い立った.その結果が本書である.
 精密工学とは「高精度な機械を実現するための知識や諸原則を体系化したもの」として私は理解している.そこには設計,加工,計測がからんでくるが,本書では主として設計論と加工論を扱っている.
 できるだけむずかしい数式を使わないで,図と文章でわかりやすくまとめたつもりである.むずかしく書くことはそれほど嫌いではないし,格好良いものだが,敢えてやさしく書いて,誰にでもどこででも(たとえば電車の中ででも)読んでいただけることを考えた.普段忙しくて落着いて本なんか読んでいる暇などないという方々でも,本書の原理や系をさっと目を通していただくだけで,もしくは図を見ていただくだけでも,大変役に立つと考える.
 本書はもちろん,ほとんどの大学にある精密工学系の講義科目の教科書や参考書として使える.学部では本書をベースに理論,数式的な解説を補足してもらうのがよいと考える.大学院では本書の該当個所をあらかじめ学生に読ませておいて,それに関係した内外の研究論文や講義論文を用いてさらに深く議論し理解させるという方法も採用できると考える.
 本書が精密工学の体系化の端緒になれば著者としてこれほどうれしいことはない.今後,本書改訂の機会があればさらに原理を充実していきたいと考えるが,もし読者諸兄がお気付きの新しい原理があれば,ぜひご教示いただきたい.次回に引用させていただく.
 本書をまとめるに際しては,大変多くの方々のご協力をいただいた.特に(株)ツガミ,松下電器産業(株)中央研究所,三菱電機(株)生産技術研究所の方々にお世話になった.また製造現場で詳しくご教示いただいた安田工業(株)の徳毛滋明氏,原稿をお読みいただき貴重なご意見をいただいた東芝機械(株)の田中克敏氏,本書の出版を実現して下さった(株)工業調査会の新谷滋記氏に感謝する.
 さらに原稿を整理し何度も修正してくれた三吉史子さんと沼上悦子さん,私の仕事や家庭を陰で支えてくれている妻美智子にも感謝したい.
 1991年1月
 中沢 弘

 追 記
 本書は1991年の初版発行以来,(株)工業調査会から刊行され,幸いにも長きにわたって多くの読者から愛用されてきました.このたび東京電機大学出版局から新たに刊行されることとなりました.本書が今後とも,読者の役に立つことを願っています.
 2011年4月
 中沢 弘
第Ⅰ部 序論
 第1章 精密工学序説
  1.1 高精度な機械を実現するには
  1.2 精密さ,正確さ,微細
  1.3 どうして高精度か
  1.4 現在の技術レベル
  1.5 加工精度の進歩してきた歴史
 第2章 高精度化の基本的評価項目
  2.1 基本的評価項目
  2.2 4つの測定原理
  2.3 評価項目の測定
  2.4 評価項目間の関係
第Ⅱ部 設計論
 第3章 情報量最小の公理
  3.1 概念化
  3.2 実体化
  3.3 評価
  3.4 従来の評価法
  3.5 情報積算法
  3.6 システムレンジの幅がゼロの場合
  3.7 応用例
 第4章 機能の独立性の原理
  4.1 理論
  4.2 応用例
 第5章 トータル設計の原理
  5.1 理論
  5.2 応用例
 第6章 遊びゼロの原理
  6.1 原理
  6.2 遊びゼロの案内機構(弾性指示法)
  6.3 拘束
 第7章 アッベの原理
  7.1 原理
  7.2 アッベの原理の適用例
  7.3 レーザ干渉計の利用
 第8章 コンプライアンスの原理
  8.1 原理
  8.2 コンプライアンスと断面利用率
  8.3 力線の最短化
  8.4 予圧によるコンプライアンス最小化
  8.5 静圧案内におけるコンプライアンス最小化
 第9章 熱変形最小化の原理
  9.1 原理
  9.2 熱源分離
  9.3 熱の機外排出
  9.4 ゼロ膨張材料
  9.5 熱対称性
 第10章 運動円滑化の原理
  10.1 原理
  10.2 案内の種類
  10.3 ロングスライダ
  10.4 抵抗力重心
  10.5 バランスウェート
  10.6 付着すべり(スティックスリップ)
 第11章 補正の原理
  11.1 原理
  11.2 補正法の分類
  11.3 理論計算法
  11.4 静的モデル法
  11.5 動的モデル法
  11.6 フィードバック制御法
 第12章 フィルタ効果の原理
  12.1 原理
  12.2 フィルタ要素の例
 第13章 縮小原理
  13.1 原理
  13.2 縮小機構の例
  13.3 拡大原理
第Ⅲ部 加工論
 第14章 加工精度の上界原理
  14.1 原理
  14.2 寸法精度の上界値
  14.3 形状精度の上界値
  14.4 仕上面粗さの上界値
  14.5 加工変質層の上界値
 第15章 要素技術の原理
  15.1 原理
  15.2 高精度な平面を実現する技術
  15.3 高精度な長さを実現する技術
  15.4 高精度な円筒を実現する技術
  15.5 高精度な円周分割(角度)を実現する技術
  15.6 高精度な球・球面を実現する技術
 第16章 加工単位の原理
  16.1 原理
  16.2 加工単位と加工精度
  16.3 小さな加工単位の加工法の例
  16.4 強制加工と加工単位の原理
 第17章 母性原理
  17.1 強制加工と母性加工
  17.2 創成法と成形工具法
  17.3 強制加工法の高精度化
 第18章 進化の原理
  18.1 選択的圧力加工と進化の原理
  18.2 ラッピング
  18.3 ホーニングと超仕上げ
  18.4 乾式メカノケミカルポリシング
 第19章 異方性原理
  19.1 エネルギ加工と異方性原理
  19.2 物理的エネルギ加工
  19.3 物理化学的エネルギ加工
  19.4 電気化学的エネルギ加工
  19.5 化学的エネルギ加工
  19.6 熱的エネルギ加工
  19.7 加工精度
 第20章 アッベの原理
  20.1 原理
  20.2 実際例
 第21章 被削材原理
  21.1 原理
  21.2 被削材の均質性
  21.3 被削材の安定性
  21.4 ブロックゲージの加工例
 第22章 無歪支持の原理
  22.1 原理
  22.2 無歪支持例
 第23章 多段階加工の原理
  23.1 原理
  23.2 加工法の違いによる前歴誤差
  23.3 砥粒加工と前歴誤差
  23.4 加工変質層
 第24章 組込加工の原理
  24.1 原理
  24.2 セルフカット
  24.3 部品ペア法
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