カーエアコン

熱マネジメント・エコ技術

カーエアコン
著者 藤原 健一 監修
カーエアコン研究会 編著
ジャンル 機械
出版年月日 2009/09/01
ISBN 9784501418403
判型・ページ数 A5・240ページ
定価 本体3,200円+税
在庫 在庫あり

この本に関するお問い合わせ・感想

真夏に窓を締め切って走っている車が珍しく,カーエアコンが羨望の的になった時代は,つい30年前のことである。いまや窓を開けて走っている車を見つけることは難しい。歴史を振り返ると,人類は火という”暖”をとる手段から始まり,エアコンという”冷暖”の手段を得て快適性を確保し,生活圏を充実してきたといえる。車がこんなに普及したのは,走る楽しさや移動の利便性だけでなく,安全性・快適性に大きく寄与しているカーエアコンによるところも多い。特に,高温多湿の日本においては,モータリゼーションとカーエアコンの普及は,ほぼ期を一にしてきたといっても過言ではない。
 カーエアコンは,安全・快適を達成するための空調技術から省エネ・環境対応技術や車両全面の熱マネージメントに至るまで,常に車の動向を先取りしながら多面的に進化してきた。そんなカーエアコンの技術をまとめるにあたり,留意したことは
 1)カーエアコンの基本原理から保守点検まで理解できる。
 2)カーエアコンにかかわる再審の技術動向に触れられる。
 の2点である。
 1)カーエアコンの基本原理から保守点検まで
 カーエアコンと一般のルームエアコンとは大きな違いがある。
 炎天下駐車後にいち早く冷やすための大きな冷房性能と,そのための動力はエンジンから,暖房熱源もエンジン廃熱から得ているなどの違いは多々ある。その役割・構成・作動は複雑であるが,本書で初めてカーエアコンに対面する読者でも理解できるように極力わかりやすくまとめたつもりである。特に注力したのは,なぜそうなっているかの基本原理である。原理を知ることから,カーエアコンをより深く理解して欲しい。
 冷房や空気調和の原理などは,高校物理の範囲で,一通りの冷凍サイクル・熱交換・空気調和などの熱力学の基礎知識が習得できるようにした。複雑な式や関連知識などは,”ミニ知識”として別枠に記載したので,参考にしてほしい。
 本書を通じて,カーエアコンを学ぼうとする学生諸君や,カーエアコン関連の職を得て,さらに知識を深めたいと思う読者に,少しでも役に立つことができるなら幸いに思う。
 2)カーエアコンの最新技術動向
 車の燃費向上に伴い,カーエアコンも大きく省エネを進めてきた。同時にエンジンからの廃熱が低下し,これまで豊富にあったヒータ熱源が不足してきている。その対応のため車両全体の熱マネージメントへのかかわりも重要課題になってきている。
 また,地球環境問題としての冷媒規制対応についても,カーエアコンは他分野に先駆けてきた。カーエアコンのCO2冷媒システムの研究からCO2ヒートポンプ温水給湯機(製品名:エコキュート)につながった事例もある。
 時代とともにカーエアコンおよび車への要求もどんどん変化している。ぜひカーエアコンの最新技術に触れて,新たなヒントをつかみ取ってもらえれば幸いである。
 本書は,1996年に山海堂より出版された『カーエアコン』の内容を最新技術や社会情勢を踏まえて大幅に見直し,新たに東京電機大学出版局より刊行することになったものである。出版の機会とともに親切なご指導と激励をくださった方々に感謝とお礼を申し上げたい。
 また,多忙の中,原稿をお書きいただいた巻末に紹介する各執筆者諸君に心から感謝します。
 最後に,冷凍空調工学の権威であり,メリーランド大学の環境エネルギー工学研究所の所長を務めるReinhard Radermacher教授から「刊行にあたって」のご寄稿をいただいた。本書に編者らによる翻訳を掲載した。この場を借りて御礼申し上げる。
 2009年5月
 藤原健一

 <刊行にあたって>
 自動車は,我々の生活にとって欠かすことができない存在である。車やトラックは,信じられないほど柔軟に,必要な時に必要な場所へ人と物を運ぶことができる。今や車両製造関連やインフラ整備にかかわる産業は,世界経済を動かす巨大な原動力となっている。
 自動車は,社会の経済的側面で大きな影響を与える立場にあるため,責任と重責を担う必要がある。一方で,これまでにない高い機能・能力も求められており,車室内を常に快適に保つという期待もその一つである。
 その一方で,自動車の使用はローカルな影響だけでなくグローバルな影響を与える。燃料消費によるエミッションによりスモッグや地球温暖化に影響を与えるだけでなく,エアコンの作動流体も環境に影響を与える。
 これらの課題に立ち向かうためには,ニーズを先取りしたビジョン構築と創造性が必要であるが,自動車産業とデンソーは技術革新に甚大なる努力を行った。自動車関連では,新開発の高効率エンジン,ハイブリッド技術,燃料電池などのほか,新素材や製造プロセスが開発された。エアコン関係では,さまざまな革新技術が開発された。作動流体そのものが環境に与える影響を最小限に抑えるために,化学メーカーと自動車サプライヤーが共同で新しい作動流体を開発して,ローカルおよびグローバルな課題を解決している。
 作動流体はエアコン使用期限内において十分に安定でなければならないし,同時に車室内では危険を起こさず(ローカルな危険の最小化)そして一度大気中に放出されると急速に分解する必要がある(グローバルな環境への影響の最小化)。もちろん,新しい作動流体はエアコンシステムの最大効率と小型化を達成できるものでなければならない。
 しかし,これらの挑戦にとどまることなく,この本で取り上げている蒸気圧縮サイクルは,原型を残しつつ,今後大きく変化していくであろう。将来的には,全車両の最高効率で車室内空間を快適に保つヒートポンプシステムエアコンが導入されるであろう。
 進化した車両と空気調和する高効率エアコンをつなぐための挑戦は,”デンソースピリット”によって成り立っている。エアコン技術課題を先取りしたビジョン構築と創造性発揮(先進)によって,顧客満足が得られる高品質基準をクリアするために”現地現物確認”と”改善”を通じて達成している(信頼)。そして最後は,生産との密接なコミュニケーションによって達成している(総智・総力)。
 以上のことにより,自動車関係者もしくは興味のある人にとっては,最新のエアコン技術の基礎を習得することは有意義であるが,本書『カーエアコン』は1996年に刊行された。第2版は,自動車産業と最新技術開発に対応した最も重要な最新環境規制を追加し,英訳版も発行された。
 本書は,第2版を見直し最新技術開発を反映させたものである。前半では冷媒システムとエアコンの基礎知識を提供し,中盤ではエアコンシステムの制御や付属部品について詳細に説明している。後半では代替冷媒開発・規制,最新技術に関することがまとめられている。
 著者一同は,本書が学生,メカニック,新しいエンジニア達がカーエアコンの基礎を勉強する際に役立つことを期待しているであろう。
 今回の出版に際し,本書の執筆に関わった諸君に心より敬意を表する。
第1章 カーエアコン概説
 1.1 カーエアコンの歴史
 1.2 カーエアコンの特徴と構成
第2章 冷房の基礎
 2.1 冷房の基礎原理
 2.2 カーエアコンの冷凍サイクル
第3章 空気調和の基礎
 3.1 自動車用空気調和の基礎原理
 3.2 カーエアコン空調システム
 3.3 空気の清浄化
 3.4 快適性向上技術
第4章 エアコンユニット
 4.1 エアコンユニットの種類
 4.2 ブロアユニット
第5章 カーエアコンの制御
 5.1 カーエアコンの基本制御
 5.2 車両連動制御
 5.3 オートエアコンの制御
第6章 カーエアコン主要構成部品
 6.1 コンプレッサ
 6.2 動力伝達装置
 6.3 熱交換器
 6.4 ウォータバルブ
 6.5 レシーバ
 6.6 冷媒制御部品
 6.7 配管
 6.8 電気制御部品
第7章 熱源技術
 7.1 補助熱源対応
 7.2 一部内気利用
 7.3 燃焼式ヒータ
 7.4 ビスガスヒータ
 7.5 電気ヒータ
 7.6 ヒートポンプ
 7.7 ホットガスヒータ
第8章 カーエアコンの環境対応
 8.1 オゾン層保護対応
 8.2 地球温暖化対応
第9章 故障診断と対策
 9.1 冷凍サイクルの故障診断
 9.2 その他の故障診断
 9.3 対策・修理
第10章 カーエアコンの将来
 10.1 熱マネジメント技術
 10.2 減圧エネルギー回収技術

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