看護・介護のための人間工学入門

看護・介護のための人間工学入門
著者 小川 鑛一
鈴木 玲子
大久保 祐子
國澤 尚子
小長谷 百絵
ジャンル 機械
出版年月日 2006/03/01
ISBN 9784501415907
判型・ページ数 A5・216ページ
定価 本体2,500円+税
在庫 在庫あり

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看護・介護分野を対象とした人間工学を初学者向けに解

 人間工学が日本に紹介されて40年以上がたちます。この学問は機械が発達し,人間がその機械を合理的に操るための境界領域として発達してきました。つまり,複雑なメカニズムの機械操作,速度の速い乗り物の操縦と人間との間をどのように結びつけるかということから急速に発展してきました。やがて,それが人間?物系,つまり人間が扱うものの形や扱いやすさ,使いやすい道具や器具の設計・製造と人間との関わりの考究に移ってきました。
 人間工学は,物や機械との境界領域から発達してきましたが,いまでは人間?人間系にも応用されるようになってきました。それは,患者や高齢者・身体障害者を対象とする看護,介護の領域です。当然,患者や高齢者の安全,安楽を確保する必要があります。その一方で,看護師や介護士が患者,高齢者,身体障害者をケアする場合の自身の姿勢,介助方法,介助に必要な力の大きさや方向を考え作業負担の軽減を図り,脊柱障害の防止に努める必要もあります。この分野では,ボディメカニクスが提案されており,それを学習することにより看護・介護する側の腰部負担の軽減あるいは障害発生の低減が図られてきました。
 医療では,医用工学(ME機器)という分野が発達しています。そこではバイタルサインの測定器(体温,脈拍,呼吸,血圧など),身体計測装置(身長,体重,胸囲など),人工呼吸器,心電計,除細動器,輸液ポンプ,自動血圧計など多くのME機器が設計・開発されます。そのような測定器は,いろいろな医師や看護師の方々が使いますので,取り扱いを間違えるとたいへんなことになります。そのために使用上のミスを起こしにくく使いやすい医療機器や器具には人間工学的な配慮がなされていることはいうまでもありません。本書では,特に看護,介護の分野に重点を置き,この人間工学が看護・介護にいかに有効であるかということ,看護師・介護士の身体的安全についての考え方などを解説します。ものの側に置かれていた視点を,人間側に移して見直すと意外に新しい価値観を発見できますし,人間工学からの発想は意外に貴重なヒントを与えてくれることがわかります。
 本書は以下の5章より構成されています。第1章では,上述した人間工学についてさらに詳しく述べます。第2章では人間の特性と能力について解説し,人間ともの,人間と人間との関わりについて説明します。第3章では看護・介護作業者の特徴と道具・器具の活用について述べます。第4章では,人間工学を看護・介護に活かす方法,活かされている事例について述べます。最後の5章では,看護・介護における情報・安全・教育について説明します。
 筆者ら5人はベッドの周りの問題点,それに関わる研究を重ねるためにベッド周り研究会という集まりをつくりその研究会は5年が経過しました。この研究会で得られた成果を重点的にまとめ「看護動作のエビデンス」を2003年に著しました。その後,看護や介護分野で人間工学を教科に取り入れるところが増え,筆者らの何人かも教団に立つことになり人間工学の教科書の必要性に迫られました。大型書店のインターネットで看護人間工学に関わる出版物を検索したところ,わずか4件でうち1件は絶版でした。これに対して,人間工学の名を冠した専門書を検索すると83件もありました。これらの書物は建築,産業,住宅,消費者,作業,安全,枕などに関わるもので,看護に関わる人間工学の書物はこのうちの4件です。ME機器で検索すると27件の書物がみつかります。このように看護人間工学に関わる書物はまだ少なく,これから発展する可能性を秘めた教科であるといえます。
 本書は看護・介護人間工学の基礎と応用の紹介に重点が置かれています。これから看護・介護人間工学を学ぼうとする人たちに益するところ大であると信じます。領域が広範囲にまたがるため,本書で取り上げられなかった分野もあり,紙面の節約の関係で説明不足の点も多くあります。ご批判やご意見がいただければたいへんありがたい次第です。執筆に当たり,東京電機大学出版局の石沢岳彦氏には大変お世話になりました。ここに執筆者一同心より会社いたします。
 2006年2月
 小川鑛一,鈴木玲子,大久保祐子,國澤尚子,小長谷百絵
第1章 人間工学とは
 1.1 看護に人間工学を活かす
 1.2 看護・介護人間工学の変遷
 1.3 看護・介護に関わるハイテク化
 章末問題
第2章 身体の働きを知る
 2.1 情報の取り込み,判断するメカニズム
 2.2 身体を動かすメカニズム
 2.3 負担のとらえ方
 2.4 年齢と人間の特性・能力
 章末問題
第3章 人間の特徴と機器の使用性
 3.1 熟練者と書学者の特徴
 3.2 動作や道具と個人差
 3.3 機器の使い良さ・悪さに影響を与える因子
 章末問題
第4章 人間工学を看護・介護に活かす
 4.1 患者・看護師の姿勢と動作
 4.2 看護・介護作業と人間工学
 4.3 患者・看護師を取り巻く環境と設備
 4.4 看護・介護のための機器・補助具
 章末問題
第5章 看護・介護における情報・安全・教育について
 5.1 情報の伝達と人間工学
 5.2 看護・介護の事故と安全
 5.3 人間工学教育の実践
 章末問題

章末問題解答
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