看護動作を助ける基礎人間工学

看護動作を助ける基礎人間工学
著者 小川 鑛一
ジャンル 機械
出版年月日 1999/03/01
ISBN 9784501414801
判型・ページ数 A5・242ページ
定価 本体2,800円+税
在庫 在庫あり

この本に関するお問い合わせ・感想

 従来の人間工学は、人間とモノとの関係を追求してきた。しかし、これからは高齢社会に入り、人間(看護者)が人間(患者)を直接操ることが多くなる。とすると、人間が患者という弱者を操る最適な方法があるかと思われる。そのひとつが、ボディメカニクスという動きを助ける技術である。本書は、この技術を念頭におき、看護初学者がその理屈を理解し、将来専門とする看護者になった場合に障害から自身の身を守ることができるよう、力学や体位変換についてやさしく解説した。

 働き、生活し、運動するといったあらゆる人間の行動や動作に、疲れない、負担が少ない、誤りが少ない、手触りがよい、使いやすい、操作しやすい、楽である、気持ちがいいなど安全、安楽、快楽を要求することが多い。このような要求を満たすために、人間の心理、生理、解剖など本来人間が持つ諸特性を考慮し、人が置かれた環境、モノ作りのための設計、製作、デザイン、取り扱う対象物に創意と工夫を盛り込む必要がある。そのために、人間工学は心理学、生理学、医学、工学、デザイン、経営、管理・・・・・などの広い分野を包含し、間口が広い学問となっている。
 間口が広いためか、人間工学という学問はどのようなことを学ぶ分野なのか分からないという声を聞く。最近では「人間工学的に設計された椅子」といった人間工学という文字で修飾された商品も見受けられる。このような商品は、人間工学の意味をふまえ、それに基づき設計、製作されたモノと思われる品々である。
 大学、短大、各種専門学校においても人間工学という科目を授業に取り入れるところが増えてきた。このようなわけで人間工学という学問分野は、年々少しずつではあるが広まりつつあることは事実である。
 上述したように人間工学が対象とするのはまずは人間である。しかし、その人間が使用する対象物はモノであるから、モノの設計、製作およびそのプロセスに対しても人間工学は関係する。こうした設計、製作は人間が行うわけであるから、人間工学はその手法や手順にも関係する。モノといっても文房具、工具、用具のような単純なモノもある。航空機や自動車などの乗り物、原子力発電所や工場の自動化装置などような極めて複雑なモノもある。こうしたモノを操る人間とモノとの関係を調べ、よりよいモノを作り、複雑なモノを誤りなく操れるようにすることは人間工学が果たすべき役割である。
 人が快適に生活でき、能率よく生産性をあげるためには、そこで生活する人や作業する人の環境(空間、温度、湿度、騒音、振動など)を整えたり、使用する機械、工具、道具類の使用を誤りなく、使いやすいように整えておかなければならない。こうした生活しやすい、働きやすい環境を整えることも人間工学の役割である。
 もともと人間工学は、人間と仕事(作業)、人間と機械、人間と道具に重点がおかれた境界領域の学問分野として発達した。これは作業のしやすさ、モノの使いやすさといった人間と仕事、人間とモノとの関わりの研究分野であった。
 患者の世話をする看護者の高齢化は進んでいる。面倒を看る側、看られる側の両者が年齢を重ね、力不足のため苦労されている。こうした場面を機械力で支援できないかと、人間工学者、機械工学者は研究をすすめている。そのためには、看護者が患者を介助する様子をよく観察し研究を行わなければならない。
 これまでの人間工学は、人間とモノとの関係(モノを操る作業者の動作も含む)を追求してきた。しかし、これからは高齢社会に入り、言葉は悪いが、人間(看護者)が人間(患者)を直接操ることが多くなる。とすると、人間が患者という弱者を操るうまい方法があるかと思われる。そのひとつが、ボディメカニクスという動きを助ける技術である。本書は、この技術を念頭において、看護初学者が、その理屈を理解し、将来、専門とする看護者になった場合、障害から自身の身を守るために役立たせていただければ本書の目的は達成できたと思っている。
 筆者は、1992年以来、看護者の看護動作に関する研究を行っている。それは、主に看護者の床反力、手に加わる力、重心に関しての実験的研究である。さらに、1994年から1995年にかけ日本および英国の看護者の腰部負担ならびに看護支援補助機器の現状に関するアンケート調査も行った。こうした研究成果の一端も紹介しながら、本書は人間を扱う力作業の問題点についても述べる。
 本書出版に当たり、東京電機大学出版の石沢岳彦氏には大変お世話になった。ここに心より御礼申し上げる。
1999年5月

小川鑛一
1章 人間工学とは
1.1 人間工学のあらまし
1.2 人間工学と″……らしさ″の追求
1.3 人間能力の拡大と″モノ″との関わり
1.4 人間と機械との関わり
1.5 制御とはなにか,また,そのご利益はなにか
1.6 人間が″モノ″を操るということ
1.7 人間工学の活躍分野
練習問題

2章 人間の諸特性と姿勢・動作
2.1 五感とセンサーと制御
2.2 手の到達寸法と発揮できる力
2.3 人間と道具・機器の共存
2.4 姿勢と動作
練習問題

3章 人間工学とボディメカニクス
3.1 ボディメカニクスの意味
3.2 脊柱障害を防ぐために
3.3 人間の動きの中での姿勢のあり方
3.4 ボディメカニクスを理解するための力学
3.5 人間が急に動くと大きな力が発生する
練習問題

4章 人間工学の応用
4.1 人間工学応用の考え方
4.2 家庭と人間工学
4.3 仕事と人間工学
4.4 人間工学的改善とその効果
練習問題

5章 看護への人間工学応用(患者介助法)
5.1 看護と人間工学
5.2 人間工学的介助の方法
5.3 腰部に危険な介助動作
練習問題

まとめの問題

あとがき

参考図書

練習問題解答

索引

ご注文

2,800円+税

カートに入れる

外部サイトで調べる

シェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加

おすすめ書籍

お知らせ

一覧

2018.05.30 NEWS

『コンピュータとは何か?』読売新聞にて紹介!

2018.05.25 NEWS

平成30年度 東京電機大学学術振興基金「研究成果出版費援助」募集中!

2018.05.10 NEWS

『Inventorによる3D CAD入門』ロボコンマガジンに紹介

2018.05.09 イベント

『良書を誇る大学出版部特集』フェア開催

2018.05.02 NEWS

『スティーブ・ジョブズIV-楽園追放とピクサー創立-』毎日新聞に掲載!

2018.04.25 NEWS

『Inventorによる3D CAD入門』日刊工業新聞に掲載!

2018.04.13 NEWS

『学生力を高めるeポートフォリオ』 全私学新聞に掲載されました。

2018.03.28 NEWS

『学生力を高めるeポートフォリオ』 日刊工業新聞にて書籍紹介されました。

2018.03.20 NEWS

新刊情報 3月10日刊行『第一級陸上特殊無線技士試験 集中ゼミ 第3版』

2018.03.16 NEWS

新刊情報 3月15日刊行『Inventorによる3D CAD入門』

2018.03.15 NEWS

新刊情報 3月15日刊行『スティーブ・ジョブズⅣ』

2018.03.09 PR

『アマゾン・コムの野望』の著者 脇 英世氏がテレビ出演いたしました

2018.03.07 NEWS

『学生力を高めるeポートフォリオ』 ニュースリリース

2018.03.07 NEWS

新刊情報 2月20日刊行『学生力を高めるeポートフォリオ』

2018.03.07 PR

計測自動制御学会誌「計測と制御」書評掲載 『バッテリマネジメント工学』

2018.02.16 NEWS

2月23日,2月24日 試験本番! 航空無線通信士試験を突破しよう!!

2018.02.15 NEWS

新刊情報 2月20日刊行『電気法規と電気施設管理 平成30年度版』

2018.02.15 NEWS

本日2月15日より、HPをリニューアルいたしました。

2018.02.14 イベント

「築地本マルシェ」に東京電機大学出版局が出店いたします!

2018.02.02 PR

小局の書籍を,日刊工業新聞(2018年1月31日発行)に広告掲載しました。

2018.01.18 NEWS

航空無線通信士試験 定番対策本 2冊発売!

2018.01.08 PR

『社会シミュレーション』が2017年12月20日「化学工業日報」にて紹介

2017.12.17 PR

『社会シミュレーション』が、「日経エコロジー」2018年1月号にて紹介

2017.12.10 NEWS

ジュンク堂書店池袋本店:『スティーブ・ジョブズ』『スティーブ・ジョブズⅡ』紹介

2017.12.10 NEWS

情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験を突破しよう!! 厳選問題集発売!