Mathematicaによる材料力学

Mathematicaによる材料力学
著者 小峯 龍男
ジャンル 機械
出版年月日 1997/11/01
ISBN 9784501414207
判型・ページ数 B5・168ページ
定価 本体2,900円+税
在庫 品切れ・重版未定

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 材料力学とは,機械材料に作用する力の強弱によって材料内部に生ずる現象を自然科学の力学を用いて明らかにするものであり,従来,材料力学の問題を解く場合には,与えられた条件から組み立てた式を変形して計算処理を行うという手続きをとっていた。式の展開や計算を確実に行うことも材料力学の問題解法の中で大きな役割を占めていた。しかし,本書では数式処理ソフトであるMathematicaを用いることによって,比較的多くの時間を占める式の展開や計算処理の大部分が,「理論を記述すれば解が求められる」という大変あっさりとしたものになった。

 "Chain is not stronger than the weakest link"「チェーンは,最も弱いコマ以上には強くなれない。」「チェーンの強度は最も弱いコマの強さで決定されてしまう。」以前に学んだ材料力学の専門書で紹介されていたものですが,残念ながら書名は忘れてしまいました。単に鎖だけでなく,どんなに優れた機械や装置でも,それを構成する要素部品や筐体の強度が不十分であれば目的の仕事を行う前に壊れてしまうかもしれません。the weakest linkを的確に探し出し,システム全体として強度的調和をとるものが機械工学の基盤ともいえる材料力学と呼ばれる分野です。材料力学は,機械材料に作用する力の強弱によって材料内部に生ずる現象を,自然科学の力学を用いて明らかにするものです。
 実学である材料力学で用いる計算式は自然科学の定理・公式や経験的な実験式を基に構成されたものが多く,最終的に実際に必要とする材料の寸法や強度を導き出すためのものです。従来,私たちが材料力学の問題を解く場合には与えられた条件から組み立てた式を変形して計算処理を行うという手続きをとっていました。式の展開や計算を確実に行うことも材料力学の問題解法の中で大きな役割を占めていました。本書ではMathematicaという数式解析ツールを用いて数式の展開や計算処理を行っています。これまでの伝統的な材料力学の教科書で学んだ方からすれば,式を展開して電卓の結果を書き写しながら,コツコツと問題を解いていたことが嘘のように思われるほど,Mathematicaはいとも簡単に答を誘導してくれることに驚かされると思います。反対に,材料力学の分野に初めて触れる方は,意外に簡単そうだなという感想を持たれるかもしれません。例題は材料力学の問題解決に要する手順の中で,比較的多くの時間を占める式の展開や計算処理の大部分をMathematicaで行ったために,理論を記述すれば解が求められるという大変あっさりとしたものになりました。これは,筆者自身が従来のメモ用紙や電卓で問題を解決していく手順と比較して,最も大きく感じた点であります。
 Mathematica大変便利で心強いツールです。計算尺という,いかにもプロフェッショナルを連想させる道具から,電卓という便利な機械に移行する過渡期に,教育の現場では有効数字の概念が薄れることや計算能力の低下等が危惧されたことがあります。しかし現在では電卓による計算は大前提として考えられています。マイコンからパソコンへと発展して,プログラム言語やいろいろな数式処理ツールが開発され,単に計算処理だけでなく思考の支援までをも行う Mathematicaのようなツールが供給されてきました。電卓の台頭期と同様に,教育現場ではこれら高性能なツールを用いることへの弊害を危惧する声も全くない訳ではありません。本書で扱う範囲の例題では特別難解な計算技術を必要とするものはありません。従来の方法で問題解決を行っていた方にご覧いただければ,Mathematicaをどのように導入すれば効果的かがご示唆いただけることと思います。
 本書ではMathematicaの機能のうち数式計算と代数計算を主として活用し,わずかにグラフィクス機能を用いて大部分の例題を解きました。
 また,Wolfram Reserchのご厚意でMath Readerというビュワーツールを使用させていただき,Mathematicaをインストールしていない方でもMathematicaファイルであるノートブックを見ることができます。
 第0章でMathematicaの概略を紹介するとともに,本書の範囲内で必要と思われるSI単位や材料などについてまとめました。第1章以降は,材料力学で一般的に用いられる分野としました。各章末の問は巻末に解答をまとめました。
 本書は計算ツールとしてMathematicaを用いた材料力学の紹介書と考えてまとめました。いたらぬ点はご教示いただければ幸いです。
 文末になりましたが,快くMath Readerをご提供下さった株式会社Wolfram Reserchの皆様,出版まで多くのご無理をおかけした石沢岳彦氏をはじめとする東京電機大学出版局の皆様に心からお礼申し上げます。
 1997年11月

小峰龍男
第0章 序
0.1 Mathematicaについて
0.2 SI単位について
0.3 規格寸法について
0.4 金属材料の分類
第0章 問

第1章 応力
1.1 材料に作用する力
1.2 応力
1.3 組合せ応力
1.4 主応力と任意面上の応力
1.5 モールの応力円
1.6 モールの応力円の基本型
第1章 問

第2章 材料の強さ
2.1 ひずみ
2.2 応力とひずみの関係
2.3 弾性係数
2.4 材料の壊れ方
2.5 応力集中
2.6 クリープ
2.7 疲れ
2.8 変形によるエネルギ
2.9 熱応力
2.10 安全率
第2章 問

第3章 はり
3.1 はりの種類
3.2 はりの支点反力
3.3 はりのせん断力
3.4 はりの曲げモーメント
3.5 せん断力図と曲げモーメント図
3.6 はりの曲げ変形
3.7 はりの強さ
3.8 はりのたわみ
第3章 問

第4章 軸
4.1 軸のねじりモーメント
4.2 ねじり応力と変形
4.3 断面二次極モーメントと極断面係数
4.4 軸の強さ

第5章 柱
5.1 座屈
5.2 短い柱と長い柱
5.3 ランキンの式
5.4 オイラーの式
第5章 問

第6章 トラス
6.1 トラスとラーメン
6.2 トラスにはたらく力と内力
6.3 トラスの部材に作用する力
6.4 トラスの図式解法
6.5 トラスの例
第6章 問

第7章 圧力容器
7.1 圧力容器の強度
7.2 円周方向に力を受ける薄肉円筒
7.3 軸方向に力を受ける薄肉円筒
7.4 内圧を受ける球体容器
7.5 回転する円環に作用する力
第7章 問

各章の解答

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