医用音響工学

医用音響工学

「音」を学ぶための入門書。血流計測や超音波診断装置を例に挙げ、理論や仕組みについてわかりやすく解説した。

著者 伊東 正安
望月 剛
ジャンル 電子・通信
出版年月日 2014/02/01
ISBN 9784501330200
判型・ページ数 A5・274ページ
定価 本体3,000円+税
在庫 在庫あり

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本書は「音」を学ぶための入門書である。理工学部や医療学部、医用生体工学部などを専攻する学生が、順を追って、音の基本事項を学び理解できるようまとめた。「音」を利用した応用技術として、血流計測や超音波診断装置を例に挙げ、理論や仕組みについてわかりやすく解説した。

 我々の身の回りには自然の音から人工的な音まで多種多様な音が存在する。音は万物の情報源であり,自然界には災害や生命の危険や予兆を知らせる音,癒しの音もある。
 また音は,音声,鳥のさえずり,動物の鳴き声など情報の伝達手段でもある。
 文明が発達するにつれ,音は歌,楽器,音楽へと広がり,劇場の設計には音響的なアプローチが導入された。さらに音への関心は音響物理学を起こし,音の発生や録音・再生が可能になると,電子技術の進歩と相まって積極的に音を活用する研究や開発が行われるようになった。
 現代社会では,音の発生,聴覚,音声,建築音響,機械振動など音にかかわる分野が広く多岐にわたり,音を計測し解析する技術や騒音対策なども必要となりつつある。高度な音声認識や音響生理・心理学も音声処理を中心に研究されている。また音波の送受波による映像化技術も進み,機械,材料の検査や生体の診断においても不可欠である。このように現在では音は生活から産業まで広く多種多様に応用されており,産業,メディア,音楽,医療など広範囲な専門分野で音に携わる人達が多く活躍している。
 本書は初めて音を学ぶための入門書として企画した。理工学部や医療学部,医用生体工学部などを専攻する学生諸氏が順を追って音の基本事項を学び理解できるように編集を心がけた。そのためにできるだけ図を用い,また式が誘導される過程や意味をさらに理解できるよう文章中に演習問題を配置した。
 本書は8章からなる。第1章では,音の歴史と発達過程を述べ,音がどのように活用されているかを説明した。第2章では,音波と電波(電磁波)や光との相違と類似を理解し波の基本要素を学んだ後に,音の伝わり方を学習する。また,この章では波動方程式についてまとめてある。なお,本書の大部分はこの方程式の結果だけを用いて理解できるように編集してあるが,今後音響工学を専門にする諸氏は音圧と粒子速度の関係およびそれらの伝搬についても十分理解してほしい。第3章では,音の物理特性と聴覚特性について学ぶ。主な内容は,音に基本的な性質,音を議論するのに必要な物理量および音に対する人間の感度特性である。第4章では,弦や笛の振動メカニズムや機械と電気変換による音の発生と検出方法を学習する。電気磁気学の基礎理論や考えを用いてマイクロフォンやスピーカの機構や動作原理を理解するのが目的である。第5章では,音の特性を表わす物理量とそれらの具体的数値を説明する。また音圧が高くなり,音圧と密度変化が比例しなくなる非線形特性について解説する。第6章では,超音波の指向性について述べる。波の性質として周波数が高くなるに従って直進性が増し,特定の方向に選択的に音波を伝搬される特性,すなわち指向性が生じる。この性質を,数式を用いて解析する。第7章では,超音波は動物でも利用されていることを紹介し,超音波の技術的な応用について述べる。超音波の鋭い指向性を利用した映像化技術およびドプラ効果と血流計測が主な内容になる。最後の第8章では,音響エネルギーとそれの測定法について述べ,さらに超音波診断装置など人体に直接超音波を照射して検査を行う場合などでは特に検査の安全性が重要となることから,安全基準について解説する。

 巻末には,公式や一部の誘導式と問題の略解を付録として掲載した。本書を足がかりにさらに専門書や参考文献をご覧いただいて,もっと深い音響工学の理論と応用力を高めていただければ幸いです。
 おわりに,東京電機大学出版局の石沢岳彦課長,吉田拓歩主事に,原稿から出版に至るまで大変お世話になりました。厚くお礼申しあげます。

 2013年12月
 著 者
第1章 音響工学の発達
 1.1 音響学の歴史と発達
 1.2 音響工学の応用分野
 参考文献
第2章 波と音
 2.1 色々な波
 2.2 波と波形
 2.3 波動方程式と音の伝搬
第3章 音の性質
 3.1 音の種類と性質
 3.2 音の周波数
 3.3 音波の性質と物理量
 3.4 聴覚の特性
第4章 音の発生と検出
 4.1 音の発生
 4.2 振動音
 4.3 電気・機械変換
 4.4 圧電振動
第5章 音の物性特性
 5.1 音波の伝搬
 5.2 音速
 5.3 音波の減衰
 5.4 反射,透過と屈折
 5.5 拡散と回折
 5.6 波の重ね合わせと干渉
 5.7 非線形特性
 第5章 演習問題
 引用文献,参考文献
第6章 音場の計算
 6.1 点音源モデル
 6.2 レイリーの速度ポテンシャルの式
 6.3 円形平面振動子の音場
 6.4 円形平面振動子の中心軸上の速度ポテンシャル
 6.5 方形平面振動子の遠距離音場
 6.6 円形凹面振動子の音場
 6.7 点音源によるアレイ振動子
 6.8 有限幅素子を有するアレイ振動子
 6.9 グレーティングローブの発生メカニズム
 6.10 主ビームの偏向
 第6章 演習問題
 参考文献
第7章 音波の応用
 7.1 動物の音波利用
 7.2 パラメトリィクスピーカ
 7.3 音による映像化
 7.4 ドプラ効果
 7.5 超音波ドプラ法による血流計測
 7.6 超音波ドプラ偏移周波数の検出
 第7章 演習問題
 参考文献
第8章 音響エネルギーとその応用
 8.1 音響エネルギー
 8.2 超音波ビームの音響エネルギー
 8.3 音響出力測定
 8.4 安全の考え方と指標
 8.5 安全規格
 8.6 強力超音波応用
 第8章 演習問題
 引用文献,参考文献
付録
 付録1 フーリエ級数
 付録2 フーリエ積分
 付録3 大気圧
 付録4 ベッセル関数の性質
 付録5 テイラー展開と近似誤差
演習問題解答
索引

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