PIC16トレーナによるマイコンプログラミング実習

PIC16トレーナによるマイコンプログラミング実習

PICのプログラム作成に主眼をおき解説。ソリトンウェーブより発売されている「PIC16トレーナ」だけで動作確認が可能。

著者 田中 博
芹井 滋喜
ジャンル 全て
電子・通信
出版年月日 2013/11/01
ISBN 9784501330101
判型・ページ数 B5・148ページ
定価 2,090円(本体1,900円+税)
在庫 在庫あり

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PICマイコンのプログラム作成に主眼をおいて解説する。全ての回路は、ソリトンウェーブより発売されている「PIC16トレーナ」だけで動作確認ができ、回路の製作が不要である。回路図を記載してあるので、「PIC16トレーナ」がなくても、ブレッドボード等を使用して学習可能。使用するPICは、ミッドレンジのPIC16F690である。

 初期のコンピュータは,倉庫ほどの場所に設置され,膨大な電力を消費するものであった。現在は,当時の性能をはるかに凌ぐコンピュータが,手のひらに乗るサイズまで小さくなっており,消費電力も各段に少なくなっている。このことより,あらゆる電気製品が「組込みシステム」としてコンピュータを内蔵する時代になった。そして,従来では実現できなかった様々な機能をユーザに提供している。これらの小型内臓コンピュータはマイコン(マイクロコンピュータ)と呼ばれるものであり,マイコンのプログラミング開発手法は,通常のパソコン上で動作するプログラミングとは異なるところがあるため,マイコンのしくみや構造をふまえたプログラミングが必要である。このことが,マイコンプログラミングの初学者にとって学習にとりかかりにくい一つの要因ではないかと思われる。
 多くのマイコン関連書が出版されているが,ほとんどのものがプログラムの動作確認するための回路の製作と必要な電子部品の入手を学習者が行う必要がある。これは,初学者にとっては必ずしも容易なものとはなっていないと思われる。また,自作の回路を用いたマイコン学習では,希望通りの動作をしないとき,回路自体の不具合によるものと,プログラミングの不具合によるものの,問題の切り分けが難しいことが学習を妨げる大きな要因である。マイコンベンダー各社より,評価キットという形でマイコン動作検証のための基板が提供されているが,基本的にプログラミング技術者向けのものがほとんどであり,初学者にとって敷居が高いものと考えられる。
 本書は,初学者が効率よくマイコンプログラミングを学習できるように,マイコンが実装された検証用回路基板を用いて学習を進められる構成としている。検証用回路基板には,ソリトンウェーブから発売されているPIC16トレーナを用いる。このPIC16トレーナには,スイッチ,LED,ボリューム,7セグメントLEDなどが実装されているので,すぐにマイコンプログラミングの学習に集中することができる。ブレッドボードや汎用基板上に回路を構成する場合,製作に時間を要するために所定時間内での学習目標の達成が難しい場合も多い。検証用回路基板の利用を前提としていること,ハードや基礎知識がない読者のためにそれらの説明を加えていることにより,初学者の自学自習書だけではなく,一定人数を超える授業やゼミ形式での学習にも本書が有用であると考えている。もちろん,すべての回路図を記載してあるので,自分でブレッドボードなどに回路を製作して学習を進めることも可能である。また,プログラミング言語はC言語の利用を前提にしており,C言語の学習経験があることが望ましいが,C言語の学習をしながら本書を利用することも可能である。
 本書の基本構成は,前半はマイコンの説明や開発環境の構築方法とし,後半にマイコンプログラミングの説明,その関連技術と具体例を示している。記載しているプログラムをマイコンに書き込み,検証用回路基板を用いるとその動作を確認することができる。自分自身で開発環境を構築し,実際にプログラムの作成とマイコンへの書き込みを行い,動作の確認を行うことを薦める。それらを通して,マイコンプログラミングとマイコン動作への理解が深まると筆者は考えている。本書がマイコンプログラミングを学ぼうとする読者の一助となり,より本格的な実用レベルのプログラミングへと進展していくことのきっかけとなれば,本書の目的は十分に達したものと言える。
 執筆にあたり,一部の例題,図面の作成やプログラムの動作検証は,㈱ソリトンウェーブの小泉知士氏と当時神奈川工科大学大学院修士課程の秋山征己君に協力をいただいた。また,東京電機大学出版局の石沢岳彦氏には,本書の執筆の機会とともに方針策定,出版までの進捗管理,原稿のチェックをいただいた。ここに,関係各位のご協力に深く謝意を表したい。

平成25年10月
著者しるす
第1章 マイコンの基礎
 1.1 マイコンとは
 1.2 マイコンのプログラミング開発
第2章 PICマイコンと開発環境
 2.1 PICマイコンとは
 2.2 本書で用いる実習環境
 2.3 開発環境と開発手法
第3章 I/Oポートの出力のプログラミング
 3.1 I/Oポートとレジスタ
 3.2 I/Oポートからの出力
 3.3 LEDの点滅制御
 3.4 複雑な点滅制御
第4章 I/Oポートの入力のプログラミング
 4.1 スイッチ入力
 4.2 チャタリングとトグル出力
 4.3 スイッチ以外の入力方法
第5章 割り込みのプログラミング
 5.1 ボーリング
 5.2 割り込み
 5.3 信号機の作成
第6章 周波数と音のプログラミング
 6.1 音の高低と周波数
 6.2 コンペアマッチ割り込み
 6.3 電子オルゴールの作成
第7章 表示器のプログラミング
 7.1 7セグメントLED
 7.2 キャラクター液晶表示器
 7.3 数取器の作成
第8章 A/D変換のプログラミング
 8.1 A/D変換とは
 8.2 内臓A/D変換器
第9章 シリアル通信のプログラミング
 9.1 シリアル通信の基礎
 9.2 シリアル通信の伝送フォーマット
 9.3 シリアル通信のためのレジスタ設定
 9.4 ターミナルソフトによる確認
第10章 温度センサを使った温度測定のプログラミング
 10.1 温度センサとA/D変換による温度変換
 10.2 ブレッドボードを用いた実験用回路追加
 10.3 LEDを用いた温度表示
 10.4 LCDへの温度表示
 10.5 計測温度のパソコンへの取り込み
付録A. PICトレーナーとPIC16F690
付録B. 各種レジスタ
索 引

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