カラーマネジメント技術

拡張色空間とカラーアピアランス

カラーマネジメント技術
著者 画像電子学会
河村 尚登 監修
小野 文孝 監修
ジャンル 電子・通信
出版年月日 2008/07/01
ISBN 9784501326609
判型・ページ数 A5・284ページ
定価 本体3,600円+税
在庫 在庫あり

この本に関するお問い合わせ・感想

 近年,カラー画像機器の高画質化や色再現技術の進展はいちじるしく,標準色空間であるsRGBの色再現領域を超えた画像機器も登場しています。たとえば,入力系ではAdobe RGB対応のディジタル一眼カメラ,表示系ではLEDバックライトを用いた広色域の液晶ディスプレイ,そして,出力(記録)系では印刷製版用CMYKプロセスインクの広色域化やインクジェットプリンタでの濃淡複数インク利用による広色域記録などが実用化されるようになってきており,今後も,より鮮やかで高彩度な表現が可能な画像デバイスや印刷物が市場に次々と登場することが予想されます。
 しかし,これらの画像の入力・出力・表示機器間では,機器ごとの特性の相違により,再現される色が一般に異なってしまうという問題が起こります。一組の機器の色合わせだけであれば試行錯誤的に行なうこともできますが,すべての機器で統一性のとれた高品質な色再現を果たすことは容易ではありません。そこで,画像の入出力・表示機器間での色の整合性を管理する,いわゆるカラーマネジメント技術の役割はますますその重要性を増してきています。カラーマネジメントは,さまざまな入力・表示・出力機器の色管理を実現する技術であり,各装置の色の整合性をとるだけでなく,ネットワーク環境下での異機種間での画像データの互換性の確保や遠く離れた画像機器間における正確な色再現も行なうことができます。
 異機種間で色データの互換性を実現するうえでは,カラーデータを標準色空間やデバイス非依存の色空間(device independent color-space)に変換して受け渡していく必要があります。色空間に関しては,各種標準化団体で種々の色空間・拡張色空間の国際標準規格が提案されています。このため,使っている画像機器がどの色空間に対応しているのか,どのような変換処理を行なっているのかということを十分理解したうえでカラーマネジメントを行なわないと,逆に画質や色再現を低下させる要因にもなってしまいます。
 また,色の「見え」は,照明光(観察環境光)の影響を強く受けます。インターネットで画像配信した先の照明光が,配信元の照明光と異なると違った色に見え,ネットビジネスでのトラブルの原因となります。近年のカラーマネジメント技術は,これら観察環境光の変化に対する「順応」や「対比」といった人間の視覚特性を考慮に入れたカラーアピアランスモデル(CAM)をベースに再構築されてきており,さまざまな観察環境下でカラーマネジメントが可能となり,よりロバストな運用ができるようになりつつあります。さらに,三刺激値ではなく分光特性を用いて光源や物体色を表現する「分光画像処理」により,環境光補正のみならず物体の「質感」の再現を追究する技術の実用化に近づいております。
 カラーマネジメント技術はこのような,拡張色空間,カラーアピアランスモデル,分光画像処理技術などの導入により,さらに高精度で広範な領域への適用をめざし,従来の手法から大きな進化を遂げようとしているといえるでしょう。
 本書では,このようなカラーマネジメントに関するさまざまな取り組みを,①概論,②画像デバイスと広色域化,③国際標準化規格,④カラーマネジメントの応用,⑤将来技術に分類し,それぞれの分野の第一線の方々に執筆をお願いしました。本書が読者の皆さんの研究・開発業務のご参考になり,関連分野の今後の技術発展に寄与できれば幸いです。
 2008年6月
 キャノン(株)河村尚登
 東京工芸大学 小野文孝
第Ⅰ部 概論
 第1章 カラーマネジメント技術
  1.1 はじめに
  1.2 デバイスの色再現域
  1.3 カラーマネジメントシステム(CMS)
  1.4 GMM(Gamut mapping module)
  1.5 印刷におけるCMS
  1.6 カラーマネジメントの今後の方向
  1.7 おわりに
 第2章 視覚系と色評価
  2.1 はじめに
  2.2 視覚系の主経路
  2.3 網膜における視覚情報伝達経路
  2.4 色覚メカニズムとそのモデル
  2.5 色評価の手法
  2.6 色評価法実験の例
  2.7 おわりに
第Ⅱ部 画像デバイスと広色域化
 第3章 入力デバイスと広色域化
  3.1 はじめに
  3.2 視覚系の基本色空間(fundamental color space)
  3.3 入力デバイスの色彩設計と評価
  3.4 入力デバイスの色校正
  3.5 入力デバイスの進化と色空間の拡張
  3.6 おわりに
 第4章 表示デバイスと広色域化
  4.1 はじめに
  4.2 ディスプレイの広色域化のための課題
  4.3 広色域ディスプレイの開発事例と最近の動向
  4.4 まとめと今後の展開
 第5章 記録デバイスと広色域化
  5.1 はじめに
  5.2 異種デバイス間での色合わせと広色域化の意義
  5.3 インクジェットプリンタの高画質化と多色化
  5.4 インクジェットプリンタの色管理技術
  5.5 色再現モデルに基づく色分解処理構築技術
  5.6 画質・色再現性の定量化手法
  5.7 おわりに
 第6章 印刷の色標準と広色域化
  6.1 はじめに
  6.2 印刷における色標準
  6.3 印刷における広色域化
  6.4 おわりに
第Ⅲ部 カラーマネジメントの国際標準規格
 第7章 sRGB色空間と国際標準化
  7.1 はじめに
  7.2 国際標準化の経緯
  7.3 PCS色空間としてのsRGB
  7.4 sRGB規格内容
  7.5 sRGBへの入力条件
  7.6 L*a*b空間から見たsRGB色空間
  7.7 10ビット系sRGB
  7.8 sRGBの応用
  7.9 sRGBに対する課題
  7.10 おわりに
 第8章 拡張色空間と国際標準化
  8.1 はじめに
  8.2 カラーマネジメントの技術と標準概要
  8.3 拡張色空間の評価に関する標準
  8.4 おわりに
 第9章 ICCと国際標準化
  9.1 ICC概要
  9.2 ICCプロファイルフォーマット
  9.3 ICCの委員会構成と各ワーキンググループの活動
  9.4 ICCの普及活動
 第10章 カラーアピアランスモデルと国際標準化
  10.1 はじめに
  10.2 異なる色空間の概念
  10.3 CIECAMO2の概要
  10.4 CIECAMO2の画像色再現への応用
  10.5 今後の国際標準化動向
第Ⅳ部 カラーマネジメントの応用
 第11章 印刷・製版とカラーマネジメント
  11.1 はじめに
  11.2 ディジタルカメラ入稿
  11.3 デザイン・DTP
  11.4 製版・印刷
  11.5 印刷における色再現領域の拡大
  11.6 おわりに
 第12章 ディジタル複写機とカラーマネジメント
  12.1 はじめに
  12.2 sRGBとICCプロファイルフォーマット
  12.3 プリンタ共通色空間
  12.4 オフィス用カラープリンタ
  12.5 IEC61966-7-1
  12.6 CIE TC8-03ガイドラインと実験結果
  12.7 カラープリンタ標準色再現モード
  12.8 おわりに
 第13章 電子送稿とカラーマネジメント
  13.1 はじめに
  13.2 統一色規準
  13.3 運用状況
  13.4 課題と将来の方向性
 第Ⅴ部 未来技術:分光画像とカラーマネジメント
 第14章 分光画像の入出力システム
  14.1 はじめに
  14.2 マルチスペクトル画像入力システム
  14.3 分光プリンタ
  14.4 多原色ディスプレイ
  14.5 応用,試作例
  14.6 おわりに
 第15章 分光情報に基づく投影画像の質感再現
  15.1 はじめに
  15.2 質感とは
  15.3 投影型ディスプレイ
  15.4 色再現と質感
  15.5 分光画像再現手法
  15.6 光沢情報の再現
  15.7 視線追従システムの構築
  15.8 おわりに
第Ⅵ部 まとめ
 第16章 CMS各技術の相互関係と今後の動向
  16.1 はじめに
  16.2 拡張色空間とCMS
  16.3 CIECAMO2とGamutマッピング
  16.4 iCAMとS?CIELAB
  16.5 分光画像処理
  16.6 多ビット・多チャンネル圧縮符号化技術
  16.7 image state
  16.8 おわりに

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