バイオメカニズム・ライブラリー 表面筋電図

バイオメカニズム・ライブラリー 表面筋電図
著者 バイオメカニズム学会
木塚 朝博
増田 正
木竜 徹
佐渡山 亜兵
ジャンル 電子・通信
出版年月日 2006/03/01
ISBN 9784501325107
判型・ページ数 A5・178ページ
定価 本体2,500円+税
在庫 在庫あり

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基礎から応用まで種々のノウハウをまとめた

 ヒトが歩いたり走ったりという運動を行っているとき,そのもとになっている駆動力は筋の収縮によって生み出される.このような筋の活動状態を知る方法として,筋電図法(Electromyography:EMG)がある.動作解析で主に用いられるのは,皮膚上に電極を貼り付ける表面筋電図である.電極を通じて筋電位を導出し,それを筋電図として視覚化することにより,動作に対応してどの筋がどの時点で,どの程度活動しているかを知ることができる.
 筋電位ではなく,ビデオカメラや関節角度計を用いた動作解析から関節トルクの規準のもとで最適に調整されているという条件が必要である.たとえば,拮抗筋が同時に働いている場合や等尺性収縮の場合には,外部からみえるような運動は生じないが,筋は活発に活動している.このような違いは,筋電位を計測すれば識別できる.
 近年,筋電位計測装置が高性能化,低コスト化し,ソフトウェアも含めた使い勝手も向上したため,筋電位の計測自体は容易になってきた.また,汎用の信号処理ソフトを用いることにより,パーソナルコンピュータ(Personal Computer:PC)を用いてさまざまな信号処理も簡単に実行できるようになってきた.その結果,従来から用いられてきたスポーツ動作解析やリハビリテーション分野での応用に加えて,工業製品の人間工学的評価においても利用できるようになった.しかしながら,この副作用として,日頃筋電図になじみのない利用者が,不適切な結果の解釈を行ったりという事例も多くなってきた.
 そこで,本書は,そのような筋電図の利用者に対して,的確な計測ができるように,基礎から種々のノウハウまでをとりまとめて,バイオメカニズム学会誌に4回にわたって連載した解説記事をもとに,大幅に加筆修正を加えて作成したものである.このなかで,著者らが研究を行ってきた,電極と神経支配帯(神経筋接合部)が集中している筋内の領域)との関係については,これまで十分に注意が払われていなかったので,重点をおいて説明した.
 国際電気生理学的動作学会(International Society Electrophysiological Kinesiology:ISEK)の機関紙で,筋電図関係の論文が掲載されるJournal of Electromyography and Kinesiology(JEK)には,毎号巻末に筋電位の標準的な計測法(Standards for Reporting EMG Data:以下EMG Standards)がまとめてある.このなかには,フィルタの選択や,スペクトル解析における窓関数の適用など,これまでの筋電図の利用者にとっては見慣れない事項も含まれている.本書では,このEMG Standardsの内容が十分に理解できるように説明を行った.この内容を理解できれば,論文としても批判を受けないような的確な筋電位計測を実践することができるようになると期待される.また,筋電位計測手法をさらに発展させたい方々のために,最近の研究動向や計測装置の開発についても述べた.
 神経筋疾患の臨床診断に用いられる針筋電図については,教科書と呼べる本が多数出版されているが,表面筋電図については,心電図や脳波を含めた生理計測関係,あるいは動作分析などの本で一部取り上げられているのみで,内容的に上記EMG Standardsが理解できる程度に掘り下げたものはみられなかった.日常の研究や開発に筋電図を用いている方,特に体育・スポーツ分野における運動の仕組み,リハビリテーション分野における動作の改善,人間工学や感性工学分野における筋負担の評価に関係する方々にはぜひ活用していただきたい.また,人間を対象とした種々の計測手法の1つとして筋電図を用いる必要がある場合,とりあえず筋電図が利用可能かどうかを知りたい場合などにも本書を活用していただければ幸いである.
第1章 表面筋電図とは
 1.1 筋収縮のメカニズム
 1.2 筋電位の発生メカニズム
 1.3 筋活動をとらえる
 1.4 表面電極のしくみ
 1.5 ダイナミックな運動時での計測
 1.6 なにが計測できるのか
 1.7 まとめ
第2章 計測とその準備
 2.1 電極を貼る前に
 2.2 記録方法の選定と設定
 2.3 電極の貼付
 2.4 諸問題対策
第3章 処理と解析
 3.1 フィルタの種類
 3.2 平均振幅
 3.3 パワースペクトル
 3.4 筋線維伝導速度
 3.5 筋疲労
 3.6 まとめ
第4章 応用の事例
 4.1 感じられない筋活動の認識
 4.2 過剰な筋活動の定量化
 4.3 筋線維組成と筋線維伝導速度
 4.4 各種スポーツ競技選手の筋線維伝導速度
 4.5 操作に対する上肢上方作業域
 4.6 厨房作業における最適作業面高
 4.7 感性工学分野における筋電図の利用
 4.8 自転車エルゴメータの負荷制御
 4.9 スキー運動にみられる運動形態の違い
第5章 適用とその限界
 5.1 運動時の筋活動
 5.2 動作を識別する
 5.3 運動単位の分離
 5.4 スペクトル解析の限度
 5.5 筋張力の減少と筋疲労との区別
 5.6 表面筋電図は万能ではない
 5.7 まとめ
第6章 開発の動向
 6.1 プロジェクト研究
 6.2 計測装置
 6.3 最近の信号処理法
 6.4 新たな応用
第7章 役立つ情報
 7.1 ISEKのEMG Standards
 7.2 神経支配帯の実際の位置
参考文献
索引

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