モデル予測制御

制約のもとでの最適制御

モデル予測制御
著者 ヤン M. マチエヨフスキー
足立 修一
管野 政明
ジャンル 電子・通信
出版年月日 2005/01/01
ISBN 9784501324605
判型・ページ数 A5・416ページ
定価 本体5,200円+税
在庫 在庫あり

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基本概念から将来の展望までを網羅して解説

予測制御(Predictive Control)(あるいはモデルに基づく予測制御(Model?Based?Predictive Control,MPC,MBPC)とも呼ばれる)は,産業プロセス制御に広範囲にわたって大きな影響を与えた唯一の(標準的なPID制御よりも進んだという意味で)高度な制御法である.そうなった主な理由は,予測制御が,
 ・装置や安全性の制約をルーチン化して取り扱うことができる唯一の包括的な制御技術
だからである.多くの場合,装置や安全性の制約上において,あるいは制約近傍でプラントを操業することによって最も利益がもたらされる.あるいは,最も効率よく稼動するためには制約付近での操業が必要となる.
 予測制御が産業界の現場に浸透していった理由は,つぎのような事実にもよる.
 ・予測制御の基本的なアイディアは非常に理解しやすい.
 ・ほとんど何も修正せずに,予測制御の基本的な定式化を多変数プラントに拡張できる.
 ・制約がなく単一ループではあるが,長いむだ時間を有するような「困難な」ループに対して,予測制御はPID制御に比べて強力であり,しかもその調整はそれほど困難でない.
 予測制御は,大学の制御コミュニティから大きな注目を浴び始める約20年前に産業界で開発され,用いられてきた.大学の制御コミュニティは,予測制御の大きな特徴である制約を取り扱えるという潜在能力を意識的に無視するきらいがあり,さらには,制約が無視されたとき,予測制御は一般には「高度」ではあるが,従来の線形制御と等価であり,何も目新しいものではないという事実を強調した.この点は正しいものの,少なくともプロセス制御の分野では,ある制御技術が受け入れられるためには,チューニングの容易さや理解のしやすさなどが極めて重要な事項であるという点が指摘されずにいた.幸運にも,いまでは,大学のコミュニティも,予測制御は制約が存在する制御に対して何か新しいものを提供すると正しく理解するようになり,現在の産業界が実際行っているレベルを超える解析や新しいアイディアを多く供給するようになった.また,現在よりもはるかに広範囲な(潜在的には,ほとんどすべての)制御工学問題に対する予測制御の応用基盤・土台を築こうともしている.計算速度と計算パワーが絶え間なく増加した結果,これが真に実現することになるだろう.
 本書では,予測制御を包括的に述べることを試みる.予測制御の根底にある概念の明解さはもとより,既存の制御理論とどのように関連しているかについても示す.実際,状態推定,外乱モデリング,周波数応答といった標準的な制御技術の知識を併用することにより得られる予測制御の応用可能性も示す.予測制御は最適化も伴うので,必要となる最適化問題のいくつかに関してその解法を詳細に記述する.また,予測制御の現在の研究の主要な方向性,および研究と応用の双方に関して,将来の方向性についても示したいと思う.
 本書は,読者が制御の初歩と状態空間モデルの知識を有しているという前提の下で書かれている.システムと制御を学ぶ大学院生にとって本書は適切であろうが,実際の産業界のエンジニアにとってもまた有益であることを願ってやまない.学生以外の読者の利便を考え,また,学生の理解を助けるために,多数の「ミニ解説」をつけた.これらは,たとえば,観測器あるいはリアプノフ方程式といったトピックスを簡潔にまとめたもので,それぞれの箇所で取り扱われている題材の理解に必要なものである.このミニ解説の説明は,読者が本書の理論展開についていくのに十分なものであると信じているが,もちろんこれだけでそれぞれの重要なトピックスを詳細に学習する必要がなくなるというわけではない.

 単純でない予測制御問題を解き,予測制御が実際にどのように動作するかを実感するためには,適切なソフトウェアを利用することが非常に重要である.本書では,読者がMATLABと,そのツールボックスであるControl System ToolboxとModelPredictive Control Toolboxを利用できると想定している.簡単なMATLABファイルをいくつか作成し,またModel Predictive Control Toolboxに準備された関数を拡張するファイルもいくつか作成する.ファイルの中にはOptimization Toolboxを必要とするものもある.作成されたソフトウェアはすべて本書のウェブサイトである
 http://WWW.booksites.net/maciejowski/
 から入手可能である.なお,本書を準備するために用いたソフトウェアのヴァージョンは,以下のとおりである.
  MATLAB 5.3.1
  Control System Toolbox 4.2.1
  Model Predictive Control Toolbox 1.0.4
  Optimization Toolbox 2.0
第1章 はじめに
 1.1 動機づけ
 1.2 後退ホライズンの考え方
 1.3 最適入力の計算
 1.4 簡単なMATLABプログラム
 1.5 オフセットなし追従
 1.6 不安定プラント
 1.7 初期の歴史と専門用語
 1.8 制御階層の中での予測制御
 1.9 一般的な最適制御の定式化
 1.10 本書の構成
 1.11 演習問題

第2章 予測制御の基本的な定式化
 2.1 状態空間モデル
 2.2 基本的な定式化
 2.3 制約つき予測制御の一般的な特徴
 2.4 状態変数のその他の選択
 2.5 演算遅れの考慮
 2.6 予測
 2.7 例題:航空機モデル
 2.8 演習問題

第3章 予測制御問題の解法
 3.1 制約なし問題
 3.2 制約つき問題
 3.3 QP問題の解法
 3.4 制約の緩和
 3.5 演習問題

第4章 ステップ応答と伝達関数を用いた定式化
 4.1 ステップ応答モデルとインパルス応答モデル
 4.2 伝達関数モデル
 4.3 演習問題

第5章 予測制御のその他の定式化
 5.1 測定可能な外乱とフィードフォワード
 5.2 予測の安定化
 5.3 不安定モデルの分解
 5.4 非二次評価
 5.5 領域,じょうご,一致点
 5.6 予測関数制御
 5.7 連続時間予測制御
 5.8 演習問題

第6章 安定性
 6.1 終端制約による安定性の保証
 6.2 無限ホライズン
 6.3 偽代数リカッチ方程式
 6.4 Youlaパラメトリゼーションの利用
 6.5 演習問題

第7章 チューニング
 7.1 われわれは何をしようとしているのだろうか
 7.2 特殊な場合
 7.3 周波数応答解析
 7.4 外乱モデルと観測器動特性
 7.5 参照軌道と前置フィルタ
 7.6 演習問題

第8章 ロバスト予測制御
 8.1 ロバスト制御の定式化
 8.2 LeeとYuによるチューニング手順
 8.3 LQG/LTRチューニング手順
 8.4 LMIアプローチ
 8.5 ロバスト実行可能性
 8.6 演習問題

第9章 ケーススタディ
 9.1 シェル石油蒸留塔
 9.2 NewellとLeeの蒸発器
 9.3 演習問題

第10章 展望
 10.1 予備の自由度
 10.2 制約の管理
 10.3 非線形内部モデル
 10.4 移動ホライズン推定
 10.5 おわりに

付録A MPC製品
付録B MATLABプログラム?basicmpc
付録C MPC Toolbox
参考文献
索引

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