学生力を高めるeポートフォリオ

成功への再始動

学生力を高めるeポートフォリオ

eポートフォリオを導入・実践している組織が抱える悩みや失敗事例を共有し、今後の成功につなげるためのアイデアを紹介。

著者 松葉 龍一 編著
小村 道昭 編著
ジャンル 全て
社会科学
出版年月日 2018/02/20
ISBN 9784501631307
判型・ページ数 A5・160ページ
定価 2,310円(本体2,100円+税)
在庫 在庫あり

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eポートフォリオを導入・実践している組織が抱える悩みや失敗事例を共有し、今後の成功につなげるためのアイデアを紹介。eポートフォリオの基本に立ち返り、つまづきがちなポイントをピックアップ。各シーンにおける注意点を挙げ、現場での試行錯誤に基づく具体的なノウハウを伝授。現場の疑問に答える本音ベースのQ&Aも掲載。

<まえがき>
 本書は,先に刊行された『大学力を高めるeポートフォリオ──エビデンスに基づく教育の質保証をめざして 』(東京電機大学出版局,2012)の続巻として企画された。そのきっかけは,本書の執筆・編者の1 人である小村道昭((株)EMIT ジャパン代表取締役)が,顧客の多くから寄せられた,eポートフォリオ活用事例,海外機関におけるeポートフォリオ導入・活用の成功事例についての情報が欲しいという要望に応え,海外の先進・成功事例の紹介本を作りたいとの希望を持ったのが企画の始まりである。当初は,その希望に沿い,海外の先進事例,成功事例を集め,先進組織からの寄稿の翻訳をまとめた書籍を考えていた。しかし,その後の調査や,国内のeポートフォリオ実践者・システム管理者らの現場の声から,国内の組織でeポートフォリオ導入・実践に現状で成功している組織はほとんどなく,関係者は皆同じ悩みを抱えていることがわかった。そこで,海外の先進事例,成功事例ではなく,その悩み,失敗事例を共有し,今後の成功につなげるためのアイディア,(導入に失敗した)先達の学びを,eポートフォリオの導入を検討している組織,運用に不満を持ち改善を目指している組織に提供することへと目的を変更した。その主旨(野望と言ってもよいかもしれない)に賛同した本書の執筆・編者が企画,検討に加わり本書の作成に至った。
 本書は,ある種のソリューションコンサルティングを目指しているが,正答,つまり,こうすればeポートフォリオの導入,利用に成功するということは一切触れていない。本書の各章の視点はあくまでも「失敗しないため」「現状での失敗を受け止め,今後の成功を目指すため」のものである。そのため,本書を手に取られた諸氏,特に,eポートフォリオシステムや教育関連システムの導入・管理運営に携わっている諸氏にとっては耳の痛い話題を含んでいることと思うが,“Learning by Doing” の精神に基づき,本書を利用して,これまでの実践を振り返り(リフレクション),改善・改修点を見つけ今後の発展を目指してほしい。  本書の企画・制作にあたり,eポートフォリオ教育・実践の先進・成功組織に属する海外の実践者に依頼し,これまでの経験,組織として成功するために実践・トライしてきた事項に関する寄稿を受けた。寄稿文はすべて,日本国内の実践者, 今後の導入予定者に向けて,これまでeポートフォリオ実践における彼らの苦役,トライ&エラーにより修得した知見や視点,アドバイスが記述してあるのでぜひ参考にしてほしい。第4章から第6章はそれらの訳出である。訳文は執筆・編者 が,英文に不慣れな読者の一助になればと考えて訳出したものであるが,試訳(“超”意訳)であることを理解したうえでの笑覧をお願いする。寄稿文の原文はeポートフォリオ・コンサルティングのウェブサイト1)に掲載してあるので,訳文で大意をつかまれた後は,ぜひ,原文に触れ,読了していただきたい。原文には,我々が訳しきれなかった,eポートフォリオは学生のより深い学び(deeplearning)に役立ち,学生の成功を助けるという執筆者の熱い思いが込められている。それに触れることで読者各位の教育への熱意を強く加速するものと考える。
 本書の本書の発刊にあたり,東京電機大学出版局ならびに,編集の労をとっていただいた同社編集課・坂元真理氏に改めて感謝を申し上げます。加えて,各自の苦労,組織の抱える問題点,悩み,苦情などを忌憚なく我々に伝えていただいた「ポートフォリオ座談会」の参加者各位,ならびに,我々へポートフォリオラーニングの意義を教え,導いてくれた海外先進組織に所属する知人,友人へも心から感謝の念を捧げます。
 本書が今後の国内のeポートフォリオ,ICT活用教育の促進,実践啓蒙の一石になり得ることを期待して。
編者・著者一同
目次

第1章 日本の高等教育機関における課題
    ――eポートフォリオ実践を通して見えてきたもの
1.1 はじめに
1.2 手段を目的にしていないか
1.3 目的を共有できているか
1.4 運用方針を固めているか
1.5 まとめに代えて

第2章 eポートフォリオシステムの要件定義と学習活動
2.1 導入プロセスでの大学の役割と落とし穴
2.2 要件定義
2.3 eポートフォリオをここから始めよう
2.4 本当に必要なシステム

コーヒーブレイク1 ある大学でのシステム導入事例

第3章 あなたの大学に必要なeポートフォリオとは
    ――eポートフォリオ診断と構築レシピ
3.1 はじめに
3.2 eポートフォリオの導入目的を明確にする
3.3 eポートフォリオに必要な機能を明確にする支援:eポートフォリオシステムは必要か?
3.4 ポートフォリオ設計の支援
3.5 最後に

コーヒーブレイク2 eポートフォリオとルーブリック

第4章 ピアチュータリングプログラムにおけるポートフォリオ実践
4.1 はじめに
4.2 ポートフォリオ実践方略
4.3 学生視点でのチューター活動におけるポートフォリオ利用
4.4 技術的考察:ポートフォリオに“e”を加えるために
4.5 改善点
4.6 まとめ

コーヒーブレイク3 企業視点からのeポートフォリオへの期待

第5章 eポートフォリオ主導の学習を成功に導くための“ひけつ”
    ――21世紀型スキルの促進とともに
5.1 はじめに
5.2 6つの“ひけつ”
5.3 まとめ

コーヒーブレイク4 eポートフォリオは真正な学びと評価を与える?

第6章 成功へのプランニング
6.1 はじめに
6.2 eポートフォリオ実践を成功するための十か条
6.3 eポートフォリオ実践の成果を上げるために
6.4 成功するeポートフォリオプロジェクトとは
6.5 まとめ

コーヒーブレイク5 北米からの直輸入は成功するのか?

第7章 eポートフォリオとの折り合いこそ処世の道
    ――実践に立ちはだかる壁を乗り越える
7.1 はじめに
7.2 壁を乗り越えるためのQ&A
7.3 実践するにあたって心に留めておきたいこと

コーヒーブレイク6 ワークスペースからショーケースへの連携
    ――企業と大学の思惑の違い

第8章 eポートフォリオの将来展望
    ――フラット化する世界への処方箋
8.1 大学入試と大学教育の変化
8.2 高校教育の視点から
8.3 知識偏重からの脱皮
8.4 信用には金銭的価値がある
8.5 組織の評価から個の評価へ
8.6 すべての人や物が質保証を必要とする時代へ

むすびにかえて――教科書から実践への祈りを込めて


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