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アマゾン・コムの野望 ジェフ・ベゾスの経営哲学

社会科学

脇 英世(著)

四六判  336頁 並製
 2,200円+税
ISBN 978-4-501-62680-8 C0034
在庫あり

奥付の初版発行年月 2011年06月
書店発売日 2011年06月10日
登録日 2011年04月06日

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紹介

世界最大の書店アマゾン・コムはどのようにして誕生し成長してきたか、創立者のジェフ・ベゾスに焦点をあて、謎を解き明かす。

いまや世界最大の書店となったアマゾン・コム。この書店はどのようにして誕生し成長してきたか、創立者のジェフ・ベゾスに焦点をあてて、それらの謎を解き明かす。虚飾や伝説が多い中で、株式上場の目論見書や証券取引委員会への年次報告書、裁判資料、特許資料など出典が確実な資料をもとに、ジェフ・ベゾスの生い立ちや思考過程などを時系列に沿って克明に追跡。電子ブック端末の先駆けとなったキンドルの開発を通して、アマゾン・コムの将来と電子書籍の今後を見通す、出版社・編集者・読者必携の一冊。

目次

第1章 ジェフ・ベゾスの神話
 1 アイゼンハワーとキューバ
 2 ケネディの失策
 3 鷹は飛び立った
 4 カソリック神父のペドロ・パン作戦
 5 ジェフ・ベゾスの家系
 6 ジェフ・ベゾスの誕生
 7 大好きなおじいさん、ローレンス・プレストン・ガイス
 8 先進研究計画局ARPA
 9 原子力委員会と核兵器製造
 10 ジェフ・ベゾスの幼年時代
 11 モンテッソーリ・プレスクール
 12 科学少年と宇宙への憧れ
 13 牧場レイジーGと宇宙旅行基地
 14 レイジーGとロングフェローランチ
 15 インフィニティキューブ
 16 フロリダのペンサコーラへ
 17 宇宙からコンピュータへの転進
 18 金融通信会社ファイテル
 19 バンカーズトラスト社への転進とハルゼイ・マイナーとの出会い
 20 D・E・ショウとの出会い
 21 アメリア島コンビニ襲撃事件
第2章 インターネット時代の幕開け
 1 革命児マーク・アンドリーセンの登場
 2 打ち上げ花火のようなネットスケープ
 3 ヤフーと二人の創業者
 4 ヤフーの設立から上場へ
 5 マイクロソフトのヤフー買収提案
第3章 シアトルへ一路爆走する男と女
 1 インターネットラッシュとデビッド・ショウの調査命令
 2 後悔を最小にするフレームワーク
 3 出発、西へ
 4 ガレージからの出発
 5 社員第一号、シェルダン・カファン
 6 社員第二号、さすらいのポール・デイビス
 7 開発のはじまり
 8 アマゾン・コムのビジネス哲学
 9 アマゾン・コムの経営戦略
 10 アマゾン・コムの本屋の特徴
第4章 アマゾン・コム、いよいよ営業開始
 1 足りない資金
 2 地元の個人投資家からの資金調達
 3 アン・ウィンブラッド
 4 ジョン・ドーア
 5 スコット・クックも役員に
 6 卓越したマーケティング戦略
 7 巨人マイクロソフトの接近
 8 司法省の独占禁止法訴訟
 9 株式市場による資金調達へ
 10 アマゾンの上場
第5章 アマゾン・コムの源流
 1 運用経験が浅い
 2 累積赤字の問題
 3 将来の歳入が予測できない
 4 四半期ごとの運用実績の潜在的な変動と季節性
 5 通信トラフィック容量の制限
 6 社内で開発したシステムに依存していること、システム開発のリスク
 7 システムの故障のリスク、単一のサイトと注文のインターフェイス
 8 潜在的な成長可能性、新しい管理チーム、経験豊富な上級管理者が限られている
 9 ジェフ・ベゾス個人への過剰な依存性
 10 オンライン・マーケットでの競争
 11 特定の卸業者への依存性
第6章 バーンズ&ノーブル・コムの栄光と悲惨
 1 バーンズ家と書店業
 2 ノーブル家と書店業
 3 バーンズ&ノーブルの成功
 4 レオナルド・リッジオ
 5 ショッピングモールへの展開
 6 スティーブ・リッジオが脚光を浴びる
 7 ベルテスマンAGのトーマス・ミドルホフ
 8 バーンズアンドノーブル・コムの衰退
 9 バーンズ&ノーブル・コムの敗北
第7章 ワンクリック特許 奇妙なビジネスモデル特許
 1 インターネットで注文するシステム
 2 26個のクレーム
 3 そもそも特許とは何だろう
 4 特許の底流となる基本的な考え方
 5 数字や物理の公式は特許にならない:GV訴訟
 6 数式だけでは特許にならない:PV訴訟
 7 コンピュータに関連していても特許になる:DD訴訟
 8 投資信託に関する特許:ステートストリート訴訟
 9 連邦巡回控訴裁判所の判決
第8章 か細きダビデ、ゴリアテに変身
 1 アマゾン・コム、バーンズアンドノーブル・コムを告訴
 2 連邦巡回控訴裁判所の判決
 3 リチャード・ストールマン
 4 教祖と聖イグナチウス
 5 リチャード・ストールマンの檄文
 6 ティム・オライリーの公開書簡
 7 ジェフ・ベゾスの返事
 8 ミッチー・ケイパーとEFF
 9 ジェリー・カプラン
 10 電子フロンティア財団EFF
 11 ブルーリボンはためく
 12 アマゾン・コムの裁判はどこまでも続く
 13 突如現れたピーター・カルバリーの一撃
 14 SNSの特許も獲得してしまったアマゾン・コム
第9章 勢いを増すアマゾン・コム 連続する企業買収
 1 欧州進出と本以外の分野への進出の始まり
 2 ネットバブルの到来と転換社債による資金調達
 3 アマゾン・コムの戦線拡大と打ち続く買収・投資
 4 食料品、スポーツ用品、工具、宝飾品までも
 5 ネットバブル崩壊
 6 イーベイの創立者ピエール・オミディア
 7 PEZに関する伝説とイーベイの立ち上げ
 8 偶然の帝国、運も実力である
 9 女帝メグ・ウィットマンの社長就任
 10 アマゾン・コム、オークション市場で敗退
 11 アマゾン・コム無敗の神話のほころび
 12 買収と投資の再開
 13 アマゾン・コムのアマゾン・コムの買収戦略の総括
 14 第三の進出方向は大規模小売店
 15 J・C・ペニーに勤務する
 16 バラエティストアの経営にたずさわる
 17 ベントンビルに店を開く
 18 他の店を覗いてまわる
 19 ウォルマートの誕生
 20 ロジスティックスの整備
 21 株式の上場
 22 ウォルマートの功罪
 23 アマゾン・コム対ウォルマート
 24 高級品市場
第10章 アマゾンのコンピュータ化されたビジネスのしくみ
 1 アマゾン・アソシエイトプログラム
 2 プロダクト・アドバタイジングAPI
 3 アマゾンの市場に集まる登場人物
 4 プロダクト・アドバタイジングAPIでどんなことができるか
 5 アマゾン・コムの商品はどう組織化されているか
 6 検索インデックス
 7 商品の集まりのさまざまな形態
 8 少しむずかしい話、RESTとSOAP
 9 セキュリティとアクセスキー
 10 買いたい商品を検索する
 11 カスタマーが購入したくなる工夫
第11章 電子ブック端末キンドル
 1 キンドル発売
 2 キンドル2の発売
 3 キンドルDXの発売
 4 70%のロイヤルティ
 5 ビッグブラザー
 6 キンドルの課題
 7 本は悠久の歴史を持つ
 8 本はなくならないだろう
 9 携帯型読み出し機が必要な場合もある
 10『もうする絶滅するという紙の書物について』
第12章 アマゾン・ウェブサービスAWS
 1 アマゾン・ウェブサービスAWSとは
 2 AWSの利点
 3 AWSの提供するサービス
 4 アマゾンEC2を使うには
終章 アマゾン・コムの将来
 1 独特の美学に裏打ちされたカルチャー
 2 厳しい選別
 3 インベントリー物流
 4 創業以来の株高
あとがき
事項索引
人名索引

前書きなど

 2011年3月11日にフォーブスの世界の億万長者リストが発表された。
 第1位は、メキシコの電気通信事業者のカルロス・スリム(71歳)で740億ドル。ラテンアメリカの電気通信事業を押されているといわれているが、ふだんあまり報道されることのない人だ。第2位が、有名なマイクロソフトのビル・ゲイツ元会長(55歳)で560億ドル。第1位をすべり落ちて2年目である。第3位が、バークシャー・ハサウェイの最高経営責任者のウォーレン・バフェット(80歳)で500億ドル。世界一の投資家としてたいへん知名度が高いが、どうしてもビル・ゲイツを抜けない。第5位に、データベースで有名なオラクルのラリー・エリソン(66歳)で395億ドル。第7位に、既製服ファッションで有名なZARAアマンチオ・オルテガ(75歳)で310億ドルである。読んでいくと、興味の尽きないリストである。
 このリストの第30位に、アマゾンのジェフ・ベゾス(47歳)がいる。181億ドルである。為替レートによって日本円での評価が違うが、1兆円を超えることはまちがいない。多くの大富豪がすでに功成り名遂げて現役を引退した形となっているが、ジェフ・ベゾスはバリバリの現役で業界に影響力の強い人である。
 ジェフ・ベゾスを追撃する若い世代には、198億ドルで第24位のグーグルのラリー・ページ(38歳)とセルゲイ・ブリン(37歳)や、135億ドルで第52位のフェイスブックの創業者マーク・ザッカバーグ(26歳)がいる。ジェフ・ベゾスは、若い世代にも負けずに頑張っている。
 ジェフ・ベゾスのアマゾン・コムは1994年に創業され、1997年に株式を上場したが、2001年まで利益を計上しなかった。米国の口やかましい株主たちが、その間、何も不満や文句を言わなかったのが不思議である。ジェフ・ベゾスの人柄のどこかに、将来を期待させるなんらかの魅力があったのだろう。
 ジェフ・ベゾスは取材するのが非常にむずかしい人といわれている。大新聞や大放送局の権威をもってしても、なかなか会ってもらえない。いく例か私の友人のマスコミ関係者がシアトルに行ってインタビューを申し込んで、かなわなかったのを記憶している。仮に会ってくれるとしても、ジェフ・ベゾスのほうに新製品の仕掛けがあったりして、うまく乗せられてしまうという危険性もある。
 また、ある裁判で、裁判長が、「(ジェフ・ベゾスらが)きわめて選択的な記憶を持っており、ある詳細部分について『思い出せません。確かではありません。それについてはまったく記憶にありません。』を乱発するのに驚いた。これと対照的に、他の詳細部分については、きわめてはっきりした鮮やかな記憶をもっている」と記録している。
 ジェフ・ベゾスは魅力もあるが、きわめてしたたかな人である。ジェフ・ベゾスはどういう人なのか、どういうビジネス戦略を持っているのか、私なりのやり方で考えてみたのが本書である。かなりよく調べて書いたつもりだが、浅学非才の私のこと、予想しなかったまちがいがあるかもしれない。その際は読者のご寛恕を賜れば幸いである。
 本書の読み方について一言。本書はどこから読んでも結構である。全部を最初から通読するのは多少つらいかもしれない。興味のある所から読んで、むずかしそうな所は後回しにしていただいて、また気の向いたときに読み直していただければ幸いである。
 2011年 4月
 脇 英世

著者プロフィール

脇 英世(ワキヒデヨ)

上記内容は本書刊行時のものです。

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