科学技術と教育を出版からサポートする

 この連載で何度か取り上げてきたMITオープンコースウェア(OCW)が、試験的ながらついに一般公開された。現在、全学部から17分野36講座の教材がサイトに掲載されている。来年9月には100講座を公開し、さらに95年からの5年間で2000を超えるほぼすべての講座の公開を目指していく。
 内容は、今まで教員が独自に公開していたものも含まれており、ともかく見た目を統一してHTMLに変換した段階といえる。学習管理システム(LMS)は、まだ開発中で、学内外の意見を求めながら今後1年間で開発を進めていく。教員に過度な負担をかけないLMSが完成すれば、さらに講座の充実を図っていく。

 現在、アメリカの大学ではLMSとしてウェブシーティー(WebCT)やブラックボード(Blackboard)など、民間企業の開発によるシステムが使われている。あわせて80%のシェアを占めるというが、その内訳に関しては両社とも自社が優位であると主張している。ただ、標準化に関してはブラックボードが進んでいる。ここでもMITが推進するOKIプロジェクトが標準化の鍵を握っている。
 大学にLMSが普及することで、当然のことながら、その上で使われる教科書はeBook化している。ピアソン、ロングマンを始め、ジョン・ワイリーなどの大手・中堅教科書出版社は自社の教科書をデジタル化してLMSに対応している。
 この結果、ウェブシーティー社やブラックボード社のサイトがeBookの新しい販売チャンネルとなっているのだが、このことは、あまり知られていない。
 ウェブシーティーはLMSであるとともに、eパックと呼ぶオンライン教材の製作システムでもある。そしてeBookやeパックのオンライン書店でもあることになる。
 eパックはその名の通り電子的な教材を統合したコースウェアであり、ビデオ、アニメ、詳しい講義概要、講義ノート、プレゼンテーション、クイズと演習問題集、宿題などを授業にあわせてカスタマイズしている。
 ウェブシーティー社としては、システム本体を販売することが主な収益であり、豊富なeパックをそろえることが、システムの販売を強力に後押しすると考えている。従って、教材については自主開発をせず取次・販売するだけである。収入の90%をシステム販売が占め、残りの10%が出版社かの販売手数料収入である。
 ウェブシーティー社によると、採用大学は2600校を超え、ウェブシーティーを用いた授業への受講者は5500万人を超えている。また40の学術分野で、1300のタイトルのeパックを出版社30社と協力して発行し、25万人の学生が利用しているという。
 優れたeパックが多くの教員に使用されるのは、本と同様である。デジタル教材の開発費は5000ドルから8万8000ドルで、医学、経営の分野において高い開発費をかけている。 ウェブシーティーの売り上げは半期毎に倍増以上であり、ブラックボードも昨年度4倍増である。どちらにも大手出版社の資本参加があり、後者には今年マイクロソフト社や米AOLが資本参加している。

 なお、日本では名古屋大学梶田将司先生を中心にウェブシーティーの日本語化や利用研究が進んでおり、ブラックボードはNTTデータが販売するとのことである。