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前回紹介したようにケータイコミック市場が急進している。代表的なコミック誌を発行している大手総合出版社も,ケータイコミックサイトを開いて積極的に市場拡大に取り組んでいる。
 この背景にはコミック誌の部数減少がある。原因として,よく指摘されるのが少子化である。確かにコミックの中心読者である若年層の人口減少は影響力も大きい。しかし,詳細に見ていくと問題はもっと根深いところにある。

若者のコミック離れ

コミック読者の高齢化は今に始まったことではないのである。小学生のバイブルであった「少年ジャンブ」ですら,その例外ではなく,さらに上の若者世代もコミック離れをおこしている。
 超人気コミックに雑誌の売上げを依存するが余り連載が長期化し,その結果,新しい読者が読み始める機会を奪ってきたといわれている。また週刊連載が今の読者のテンポにあわないという指摘もある。何よりもコミックが子どもたちの娯楽の王者ではなくなったということだろう。アニメやゲームに続き,コミックの国際化が注目されてはいるが,その相対的地位は下がる一方である。

ケータイコミックの読者層

ケータイ電子書籍のサイト状況は,凸版印刷の子会社であるビットウェイ資料によると昨年11月でNTTドコモ,KDDI,SoftBankの3キャリア合計で220サイト,そのうちコミックが105である。今年8月現在では,同じく3キャリア合計でほぼ倍増の409サイト,コミックが202サイトである。サイト数を押し上げてきたコミックであるが,これからは新規参入が頭打ちとなり,収益性の悪いところから撤退が始まるという。
 利用者増がサイト数増加の一番の理由であるが,なかでも女性の増加が目立っている。ケータイコミックの業界最大手にNTTソルマーレがある。サービスを開始した2004年は利用者の80%が男性であったが,その後,女性利用者が急増し,昨年頃から男女半々になってきたという。
 ビットウェイのケータイサイト「Handyコミック」では,ユーザーアクセスは20代前半の女性が一番多く,次いで10代後半の男女,20代後半女性となる。ところが購入金額で見ると,圧倒的に20代の女性となる。10代前半の男女は極めて少ない。これは,どのコミックサイトにも共通の傾向である。
 小学校上級生から中学生といえば,男女を問わず大部数を誇るコミック誌の読者層である。彼らの携帯電話所有の絶対数が少ないこともあるが,メディア特性の違いにも注目したい。

ケータイコミックは日陰の身か

ケータイコミックのベストセラーランキングを見ると,この分野の購入傾向がはっきり現れている。少年・青年コミック誌連載で人気のある作品は,ほとんど登場していない。男性誌の成人向けコミックが一部にあるものの,そのほとんどがレディースラブやボーイズラブである。どちらも過激な性表現のある女性の成人向けコミックである。
 都条例により「不健全図書」と指定された雑誌は,他の雑誌と分けて陳列されている。このことで店頭で手にしにくくなっていたことが,ケータイコミックに飛びついた背景かもしれない。
 当初は電車の中での暇つぶし読書と予想されていたが,午前の時間帯の購入はむしろ少ない。その多くは夜8時以降で0時前後にピークとなる。ケータイノベルと同様に,ベットに入ってバックライトで読むといわれる読書行動である。深夜なこともコンテンツの内容と関係するだろう。
 誰かが不健全と指定したところで,個人のレベルで不健全かどうかなんて,わかることではない。カメラもビデオもネットも新しいメディアの普及は「不健全」パワーが牽引してきたのだ。