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今年も東京国際ブックフェアに出かけてきた。平日の1日と家族連れが増える土曜日の2度,会場に足を運んだ。東京電機大学出版局も大学出版部協会の共同ブースで出展したが,ブース担当ではないので見学が中心である。これを機会にごぶさたした業界各社の仲間やデジタル出版の関係者に挨拶し,情報交換をせっせと行う。
 今年一番の話題は,Googleがフェアにあわせて発表した「ブック検索」である。これについては次回に取り上げることとして,今回は会場の話題を中心に取り上げることにしよう。

ブックフェア会場の変更

主催者によると出展者は過去最多の世界30カ国から770社,来場者数は昨年を1500人余り上回り,過去最大規模という。一昨年より会期を7月に変更し,さらに今年から会場を東京ビックサイトの東館から西館に変更した。
 人文社会科学書や自然科学書,児童書,デジタル出版と分野ごとにコーナーを設けたことは例年同様である。ただ,会場全体を一望できた東館と異なり「コの字」型会場のため,わかりにくく,会場内移動も明らかに不便になった。会場については,かなり不評である。確かに参加者の割に,土日の専門書コーナーが昨年よりまばらに感じられた。
 最近の参加者の増加は,家族連れなどの一般参加者によるところが大きい。その呼び水となったのが即売である。ブックフェア会場での割引販売は,再販制度の弾力的運用として出版業界が取り組んできた目玉の一つであった。絵本や児童書中心の品揃えが充実し,土日の増加にもつながった。
 ところが,今回は一般参加者は目的のコーナーに直接行き,会場内を回遊することなく帰る人が多かったようである。
 西館は東館よりも会場経費が安いと聞く。過去最大というもの,経費を削減して出展料を抑えないと出展者が集まらないのが現状である。実際,大手出版社が読者サービスとして即売にウェイトを置いたことでブース規模は小さくなり,名のとおった中堅出版社の出展も決して多くはない。

出版社と読者の交流

ブックフェアの魅力は,何も即売だけではない。中小出版社では社長以下,営業も編集も総出で対応することになる。出版社と読者が直接交流する,これがブックフェアの隠れた魅力でもある。
 出版社の営業は,普段は書店や取次に向けた営業であり,営業マンが書店店頭で読者と交流することはない。また編集者が,自分の編集した本が店頭でどのような人によって手に取るかを観察したり,さらに,その読者と意見交換ができる機会など,まずもってないのである。
 読者の中には,著者を巡って編集者の話が聞けることを楽しみにしている人もいるようである。

ブックフェアと版権取引

フランクフルトに代表される海外のブックフェアは,海外出版社との版権取引や,書店や取次に向けた次のシーズンの大型企画の発表の場となっている。日本では書店との直取引はないものの,読者に向けた企画の発表は積極的に行ってよいし,版権取引はもっと活発になってほしいところである。
 今年,主催したリードエグジビションジャパンは,「版権取引支援システム」を導入し,商談を円滑に進めるために版権情報や商談アポイントメントの仲介をウェブ上で行った。従来のファックスやメールに比べても利用しやすかったのか,主催社が積極的にシステムを紹介した結果か,電大出版にもアポイントメントが入った。
 インドや中国の出版関係者がかなり積極的に利用したようである。実際には連絡のないキャンセルなどもあり,必ずしも“円滑”には進まなかったようであるが,学術書中心の大学出版部の本が,海外から注目されたことは,今後に期待してよいだろう。