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今、最もホットな検索サービスといえばGoogleの新サービス,グーグル・マップとグーグル・アースだろう。米国では今年初頭に地図検索サービスであるグーグル・マップがスタートした。
 さらに4月になって日本国内でもサービスを開始、同じ頃、米国では地図と衛星写真のサービスを統合した。これは昨年買収したばかりのキーホール社の衛星写真地図データベースを無料化したものである。魅力あるサービスなだけに、日本のユーザーを長く待たすことなく7月には同じサービスが追加されている。

ネット地図の市場を活性化

グーグル・マップの公開はデジタル地図業界を震撼させた。それは詳細な地図情報を個人が無料で利用できるというだけではない。GoogleがAPIと呼ばれる地図の一部技術を無料公開したことによって商用・非商用利用に限らず他のサイトでGoogleの地図情報を利用できるのである。
 地図会社と高額な利用契約を結ぶ必要がないので、これまで地図ビジネスとは無縁だったITベンチャーが、次々と新しい地図サービスを始めている。住宅情報、求人情報、映画情報、オンライン百科などのオンライン地図検索サービス。表示させた地図の範囲内で、関係した最新のブログ記事を表示するブログ検索サービス。
 アイディアとスピード勝負の新サービスが、国内外で次々と登場し人気を博している。

ボランティアによる利用

グーグル・マップAPIが公開される前にも、米国とカナダの都市の住居情報を提供するサイトや、地元の渋滞情報を表示する英国のウェブサイト、犯罪とその場所を検索できるサイトなどで、グーグル・マップが利用されてきた。その需要はあったのである。
 グーグル・マップがうながした地図マーケットは巨大である。注目したいのは地図ビジネスだけではない。例えばボランティア活動として、グーグル・マップを利用したさまざまなカトリーナ被害地図サイトがある。ここには一般市民から提供された膨大な数の被害情報が、メキシコ湾沿岸の地図上に書き込まれている。
 これらのサイトを開設したのも個人のボランティアである。グーグル・マップAPIが手軽なシステムなので、わずか数時間で立ち上げ、被害直後の31日に開設されたものもあるという。

地図情報の標準化と相互利用

もともと、地理情報のデジタルシステムであるGISが地図会社などで開発が進められてきた。これに位置を特定するGPS(全地球測位システム)を組み合わせたのがカーナビである。GPS情報の精度が上がったこともあって、2000年代にめざましく普及している。
 地図各社も地図情報のデジタルビジネスに対して,躍起になって取り組んできた。電子地図の市場は急成長し、地図会社によっては売上げの半分を超えている。一方、地図を紙で見たいという要求は、まだ強いものの地図帳の売上げは急落した。
 地図製作システムのデジタル化,CD-ROM地図,カーナビへの提供と着実な道を歩んできたものの,ネットの地図検索サービスについては、どれもが各サービス内にとどまっていて地図情報の相互利用は行われていない。
 また地理情報の記述方法も標準化も検討されてきた。しかし、世界規格はISOのGMLだが、国内標準はJISのG-XMLとダブルスタンダードである。5年の標準化活動でプロトコルの統一を図ってきたが、グーグル・マップは、わずか数ヶ月で地図情報の相互利用を促進したのである。
 グーグル・マップは地図コンテンツを無料化することで、新しい地図サービスを呼び込びこんだ。ここでも既存コンテンツを無料にして、付加サービスで利益を生み出すという図式がある。