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最近になって,全国紙にも「ブログ」関連の記事が登場するようになった。8月の朝日新聞には『ネットに表札「ブログ」の波紋』(8月17日夕刊)や『ネットの「プロ」味方に』(8月24日)と題した記事がある。
 前者は大衆社会の変化をテーマにした特集連載の一つである。匿名情報が主流だったインターネットに変化の兆しがあり,それがブログを用いた実名による情報発信であるとしている。後者はアメリカ大統領選挙の特集連載の第1回として,民主党がブロガー(自分のブログを開設して情報発信をしている人)を党大会の取材に受け入れたという記事である。
 2ちゃんねるのときもそうだったが,ネット現象についてはネットユーザーの間で常識となり,雑誌がひととおり取り上げてから,全国紙が取り上げることが多い。新聞は多くの読者を対象としているという意識のためか,ネットの話題に対して保守的で周回遅れになりがちである。つまり全国紙に登場したことで国民に認知されたといってよいだろう。

ブログとウェブ日記

ブログはWeblogの略で,インターネット上で文章を日付順に簡単に書き込めるウェブサイトである。掲示板のように閲覧者がコメントを書ける機能や,他人のブログに自分のブログのリンクを張ると自動的に相互リンクになるトラックバックが特徴である。HTMLを知らなくても誰でも始められる手軽さが受けて,大手プロバイダーがサービスを開始した昨年後半に日本でも急増している。
 ブログの前史としては,日本でもウェブ日記がある。身辺雑記をつづったサイトや毎日更新される個人ニュースサイトは,ウェブブームの初期の頃からあった。
 米国でブログという概念の中に日記的コンテンツが含まれるのに対し,どちらかといえば日本では日記の拡張としてブログが位置付けられて,短期間に各プロバイダーやポータルサイトの顧客サービスとして定着したという指摘もある。
 ただ,私的な日記と公的な発言は一つのサイトの中で渾然一体となっていて二つを分けることにあまり意味はない。個人的なメモ書きや心情を語ることもあれば,ときに他者が読むことを強く求める意見告知や情報伝達もある。それが今日的なインターネット上の情報発信でありブログである。

マスコミと比較されるブログ

ブログはマスコミやジャーナリズムと比較されることも多い。
 米国ニューズウィーク誌の2002年5月号に「ブログはオールドメディアを殺すのか」と題した記事が掲載された。ユーザーランド・ソフトウェア社のデイブ・ワーナーの「2007年には多くの人々がニューヨークタイムズではなくブログからニュースを読むようになる」という発言が話題となり,これに対してニューズウィークは「ブログはメディアの成果にとってのすばらしい付加物にはなるが,確立したオールドメディアの脅威にはならない」とコメントした。
 この記事の背景には,9.11事件の際に,ブログによって貴重な情報が提供され,ニュースメディアとしてのブログが注目されていた事があげられる。ただ新しいメディアの登場時には,変革に向けた過激な発言があり,それに対し体制維持の過剰反応が起こりがちである。ブログがマスメディアの将来に少なからず影響を与えるにせよ,紙のニュースメディアが短期間になくなるわけがない。
 いずれにせよブログの登場とともにマスメディアやジャーナリズムへの影響が指摘されいるが,日本では既存マスメディアがやっとコメントを始めたといったところである。