ネットワークと出版

デジタル出版よもやま話

日本印刷学会誌『印刷雑誌』に連載中の解説記事です。紙とデジタルの出版に関する話題を中心に,日々考えたり感じていることを気軽に書いています。

eBook市場を創出する教育の情報化

文化通信 短期不定期連載開始。
教育現場での教材の電子化が急速に進んでいます。たとえば電子辞書の点数が事実上,紙の辞書点数を超え,また東京電機大学の新学部では使用教科書が激減しています。MITやWebCT社の訪問調査などアメリカの状況を盛り込んで,短期不定期(?)連載です。

eラーニングと「本」の将来

教育のIT化は日本にも及び,昨年頃より語学,資格,情報リテラシーを三本柱にeラーニングが急速に普及しています。インターネットによる学習システムをWBTと呼ぶことが多く,さらに通学制の大学と同じ単位制度を設けた高等教育機関をバーチャル大学と呼んでいます。
 eラーニングではデジタル化されたコンテンツがテキストとして主に使われます。このことが「本」の本質的な変化を強く促す事は明らかで,新しい教育方法論とともに教材コンテンツ制作システムや編集手法を編み出しつつあります。
 教育における紙の「本」は減らざるを得ません。eテキストブックが最も現実的で対応が急がれる電子出版だと思っています。

少部数専門出版とデジタル技術を考える

 出版界は4年連続のマイナス成長ですが,さらに今年の上半期も前年同期比で3.2%減と相変わらず厳しい不況が続いています。専門知識を持った書店の転廃業や高い返品率,さらに新古書店など課題も山積みです。
 少部数専門出版社は,生き残っていくことができるのでしょうか。それは出版社の淘汰のことではなく,出版文化の継承が問われているのだと思います。

 オンデマンド出版やデジタル出版は「新たな市場創出」というバラ色の夢を描く前に,将来に対する「生き残り策」ととらえるべきであり,さらに言えば,市場原理の導入により見失った本づくりの原点回帰ではないでしょうか。

コンピュータリゼーションと本造り

 第4回 日韓中大学出版部協会合同セミナー分科会
 2000年8月 日韓中大学出版部協会合同セミナー分科会の発表予稿です。
 三国の出版環境の違いはありますが,共通項として学術専門出版におけるデジタル出版の意義について考えてみました。

植村八潮(うえむらやしお)

■プロフィール

1956年千葉県出身 78年、東京電機大学工学部卒業、同年4月、東京電機大学出版局に配属。主に理工系専門書単行本や電子出版物の編集業務に携わる。2007年4月から2012年3月まで局長。 2000年から日本出版学会理事・事務局長、現在は副会長。そのほか、国内の標準化委員や電子ペーパーにかかわる調査委員を務める。