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デジタルアポロ 月を目指せ 人と機械の挑戦

自然科学

デビッド・ミンデル(著) / 岩澤 ありあ(訳)

A5判  496頁 並製
 2,500円+税
ISBN 978-4-501-63040-9 C0040
在庫あり

奥付の初版発行年月 2017年01月
書店発売日 2017年01月20日
登録日 2016年11月28日

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解説

国の存亡やパイロットの生死を賭けた壮大なプロジェクト。失敗が許されない極限状態の中、人はどこまで「機械」に任せるのか。史実から未来を見つめる。

紹介

米国航空宇宙学会賞受賞作品。失敗が許されない極限状態の中、人はどこまで「機械」に任せるのか。史実から未来を見つめる。

2008年米国航空宇宙学会賞受賞作品。待望の翻訳。国の存亡やパイロットの生死を賭けた壮大なプロジェクト。失敗が許されない極限状態の中、人はどこまで「機械」に任せるのか。意思決定や最終判断は人が担うのか、「機械」が決めるのか。AIやIoTが一般的になりつつある現代において、人と機械、人とコンピュータはどうあるべきか、史実から未来を見つめる。

目次

第1章 宇宙開発競争における人と機械
 7月の月面着陸
 人と機械
 アポロ計画再考
 大空のヒーロー
 宇宙飛行とその象徴
 組込みコンピューターと思い込み
 史料から紡ぐ未来
 未来の宇宙飛行における人と機械
第2章 システム自動のショーファーとエアマン
 テストパイロットとサバイバル
 安定性と制御特性
 ショーファー対エアマン
 スキルと階層
 安定か不安定か
 製図版とコックピット
 飛行性
 大空が実験室
 短気なテストパイロット結社
 パイロットの意見
 電子安定化と超音速飛行
 システムの時代
 ”飛行機野郎”じゃない:正真正銘のパイロット
第3章 大気圏突入:X-15
 エドワーズでの会合
 偉大なる反対者
 X-15計画
 X-15とパイロット
 荒馬を乗りこなす
 NACAのアナログシミュレーター
 X-15制御システム
 大気圏再突入の制御
 X-15の適応制御
 適応制御が招いた死
 ブラックボックスとグレーマター
 培われたスキルの数々
第4章 宇宙のエアマン
 土壇場の変更
 二頭獣
 ダイナソーと遠心加速器
 マーキュリー計画とパイロットの役割
 ラングリーグループ
 マーキュリー制御システム
 とんでもないでたらめ
 宇宙で活躍するパイロット
 真の宇宙船
 ジェミニ計画における自動化
 ソ連の自動化
 飛行の聖地から
 人の役割のつくり込み
 ロケット操縦から電子機器まで
第5章 爆竹の先端に置かれた頭蓋:アポロ計画計算機
 自律性と正確度
 ポラリスミサイル
 机上から火星へ
 バティンの頭脳
 月までの誘導
 アポロ計画の初契約
 司令塔
 プロジェクトの設計
 月軌道ランデブー飛行の意思決定
 システムインテグレターとしてのMIT
 嘆かわしい光学式照準器
 ジンバル信頼性
 乗客として排除されたパイロット
第6章 信頼性向上か、修理か?アポロ誘導計算機
 有人月探査のための計算機
 トランジスタから半導体チップ
 パラシュートのような信頼性
 船内修理
 信頼性の懸念
 信頼性の設計とつくり込み
 シーアが考えたシステムアプローチ
 ブロックⅡの誕生
 お粗末なシステム思考
 デジタルオートパイロット
 ハードウェア設計製造の最盛期
第7章 プログラムと人
 月までのプログラミング
 システムインテグレーターとしてのソフトウェア
 ソフトウェアプログラムの設計
 コードの製造
 宇宙飛行士と自動化
 命令”月を目指せ”
 操縦機能の遷移
 ディスプレイとキーボード
 文化の変化
 火災事故からの復活
 初期のミッション
 アポロ8号:完全自動航法まであと一歩
 ソフトウェアの隆盛
第8章 月面着陸の設計
 宇宙船の制御
 ミッション計画
 システムとしての月面着陸
 月着陸船のデジタルオートパイロット
 月着陸船のユーザーインターフェース
 着陸態勢の準備
 ハイ・ゲート:月面高度2700m
 着陸の目印
 タッチダウン
 着陸訓練
 空飛ぶシミュレーター
 月面着陸の再現、リスク、自信
第9章 不具合を隠しもった計算機:アポロ11号
 動力降下開始
 分岐点
 警告の出現
 原因究明
 人と機械、どちらの誤り?
 手動操作に替わるソフトウェア
第10章 続いた5回の月面着陸
 探査機近傍への月面着陸
 月面への計器着陸
 計器と信用
 ハードウェア故障とソフトウェア修理
 パイロットのスキルと冗長系
 Jミッション:高度な月面着陸
 多様な月面着陸
 混乱とシミュレーション
 傾斜
 パイロットか科学者か?
 「君より賢くなった」
 視界、スキル、自動化
第11章 人と機械、未来の宇宙飛行
 ようやく登場した翼と車輪
 自動化されたコックピット:誰が責任をとっているのか?
 研究の課題
 仮想空間の探検家
著者・訳者紹介
カバーデザインについて
原注
用語一覧

前書きなど

 ハードカバーの『Digital』が出版されてから3年、有人宇宙飛行の世界は様変わりした。ブッシュ政権の宇宙開発指針の産物といわれたコンステレーション計画が2009年前半、オバマ政権によって廃止された。その代わり、ラグランジュ点を拠点として、いずれ小惑星や火星をめざそうという漠然とした方針が瞬く間に採択された。現代の宇宙開発では、宇宙飛行士の低軌道打ち上げサービスを提供する民間企業が注目され、今後の活動についてもアメリカ連邦議会で激しい討論が交わされている。新しい展望は不透明で、多くの人にストレスをもたらしている。しかし、アポロ計画の偉業、ロボット工学、仮想現実技術の発達を背景に、新しい有人宇宙時代の分岐点に立つアメリカにとって、このように議論を闘わせることは重要だ。
 大統領選挙前の2008年秋、私はマサチューセッツ工科大学の同僚と一緒に『Digital Apollo』の内容を一部引用し、『有人宇宙飛行の未来』と題した白書を執筆した。有人宇宙飛行の目的と併せて、仮想現実技術、政策について再考した。2008年12月、私たちはNASAのオバマ政権移行チームにその概要を伝えた。
 宇宙飛行における人の役割を根本的に再考した『Digital Apollo』は、議論を形成するのに大いに役立った。その貢献が称えられ、本書はアメリカ宇宙航行学会(American Astronautical Society)からEmme賞を受賞した。本書はアポロ計画で月面歩行した宇宙飛行士、NASA幹部、現役宇宙飛行士に愛読されている。ヒューストンの宇宙飛行士室には回し読みされている1冊があると聞いている。あるアポロ計画の船長は最近、当時の着陸状況について、本書から一部学んだと教えてくれた。また、国際宇宙ステーションの船長を含む現役の宇宙飛行士数人が、どうしたら国際宇宙ステーションでの運用を『Digital Apollo』のように解析してもらえると私に尋ねてきた。もちろん、予算さえあれば可能だ。あるときは人の操作、あるときは遠隔操作、あるときは自動操作でドッキングされる国際宇宙ステーションの補給船を題材にして、人と機械の役割を本書と似たように分析することができるだろう。
 本書は、パイロットやリアルタイムに自動制御された複雑なシステムを運用する作業当事者など、幅広い層から予想以上の反響があり、歴史家であり技術者でもある私はことのほか驚いた。読者は『Digital Apollo』が有人宇宙飛行のみならず、操縦士とコンピューター、自動制御、ネットワーク、そして現代の遠隔探査ミッションの運用担当者から、アポロ計画の計算機と管制官のやり取りを参考にして、自身のミッションと比較したと報告を受けた。また、欧州主要エアラインのチーフパイロットからは、新しい旅客機を導入するうえで、自動着陸システムよりパイロット用の最先端警告表示ディスプレイを採用したと手紙が届いた。さらに、ある技術者からは次のような手紙を頂戴した。「生憎、私は宇宙船の設計者ではありませんが、あなたの本の内容は解析ツールや情報の可視化に取り組む私たちの仕事にも当てはまることがあります。自動化とヒューマン解析/意思決定の問題には深い繋がりがあります」。組込みシステムズエンジニア、ヒューマンマシンインターフェース設計者、地球軌道での遠隔操作実験を計画する科学者からも似たような感想が寄せられた。
 これらの反響は、マサチューセッツ工科大学で”自動制御、ロボット工学、社会”を対象とする新しい研究室を発足させた。研究領域は有人宇宙飛行、航空、米空軍の遠隔操作ロボット、海底探査システムといった分野を横断し、共通の課題を研究している。それぞれの分野で、人、遠隔操作技術、自動制御システムが共存・協働作業し、作業手順、人の役割、職業プロフェッショナルのアイデンティティを絶えず変えている。私たちはいずれ、手術といった医療分野や自動車分野にも進出していきたいと考えている。ある意味、アポロ11号月面着陸における人と機械の関係性は、これらの分野で日々繰り返されている。たとえば、自動車業界では、安全を確保する新しい自動制御技術が瞬く間に誕生している。果たして、これらの技術は、人の運転寿命を引き伸ばしてくれるのか?運転手が高速道路で本を読んだり、昼寝したりすることを実現させてくれるのか?人の代わりにブレーキをかけるコンピューターとソフトウェアが搭載された自動運転の車をいざ運転するとき、あなたはどう思うのだろうか?

著者プロフィール

デビッド・ミンデル(デビッドミンデル)
岩澤 ありあ(イワサワ アリア)

上記内容は本書刊行時のものです。

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