情報デザインシリーズ 情報デザイン原論

「ものごと」を形にするテンプレート

情報デザインシリーズ 情報デザイン原論
著者 ロバート ヤコブソン
篠原 稔和 監訳
食野 雅子
ジャンル 全て
情報・コンピュータ
出版年月日 2004/01/01
ISBN 9784501536602
判型・ページ数 B5・316ページ
定価 4,180円(本体3,800円+税)
在庫 品切れ・重版未定

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現場のデザイナーのプランニングにも最適

編者まえがき
 本書の企画が持ち上がり,完成するまでの時期は,ちょうど編者である私が公私ともにゴタゴタした時期でもあった。仕事が変わり,職場が変わり,ライフスタイルが変わり,実際,何もかもが変わった。友人や家族の話から察するに,これは私に限った話ではなさそうだ。私が知っている人は皆,程度の差こそあれ,同じような冒険をしている。大きな変化は,生活のあらゆる面に影響を及ぼす。われわれはそうした変化の共謀者なのだ。そして,すべての運動に反動があるのは,火や水に限らず,知的活動も同じだ。
 本書『情報デザイン原論』はそうした世の中の知的変化とそれに伴う新しい学問分野の出現に対するわれわれの総合的“反動”である。われわれは本書が形式的,内容的に,今後の変化を先取りしたものになることを願う。
 ここで,情報デザインという概念の形成に寄与した,この分野の先人に敬意を払いたい。くり返し頭に浮かぶのは,本書に巻頭緒言を寄せてくれたリチャード・ソール
 ・ワーマンをはじめ,ウィリアム・ジェームズ,マーシャル・マクルーハン,ジーン
 ・ヤングブラッド,J・J・ギボンズといった名前である。ほかにも大勢いる。私たちと縁の深い美術,デザイン,社会科学などで活躍した先人の名前を全部挙げようと思ったら,それだけで1冊の本になってしまうだろう。いずれ彼らは全員,この新しい分野の先駆者とみなされ,多くは大思想家として名を残すだろう。
 現在,重要な役割を果たしている人たちの中では,次の二人の名前を挙げたい。一人はInfoDesignというコンピューター・メーリングリストを主宰しているユーリー・エンゲルハート(infodesign@wins.uva.nl),もう一人はデルフト工科大学で学生らとUI-Design Webページを作っているラグー・コーリー(www.io.tudelft.nl/uidesign)である[訳註:現在は,Meru Research(www.meru.nl)に引き継がれている]。

本書を何とか形にするために,大勢の人が協力してくれた。編者として率先して仕事をしなければならない私が,本書とは無関係の困難な問題に押し潰されそうになったり,あまりにも多くの変化に対応しなければならず,お手上げになりそうになったことが何度もあった。本書が読者の何らかのお役に立つとすれば,そんな私の背中を押してくれた執筆者,MIT出版局のスタッフ,友人,家族などのおかげである。
 本書がスタートしたのは,MIT出版局のコンピューター・サイエンスおよび工学担当編集者のボブ・プライアが声をかけてくれたからである。彼は,こういった仕事に不慣れな私を忍耐強く,賢明に導いてくれた。
 シアトルで開かれた環境グラフィックデザイン協会の1994年度年次総会を準備してくれた同会元専務理事サラ・スピアおよびポーラ・リース,リンダ・スーコップの名も挙げたい。この総会で,私は主な執筆者の承諾を得ることができた。
バーチャルワールドに関するデザイン会社,ワールドデザイン社を一緒に始めたアビ・バージーブ,チェト・デイジット,ピーター・ワン,私が退いた後参加したシャノン・スミスからは,役に立つヒントをたくさんいただいた。
 また,最初から最後まで応援してくれた家族にも感謝したい。
 もちろん,情報デザイナー??看板を掲げていようがいまいが,ただ,世の中を少しでもわかりやすくしようと活動しているだけであっても??全員に感謝する。われわれの未来は彼らの掌中にある。
目次

翻訳版に寄せて 「ことば」の新たな“場”に向けて 須永剛司 ⅲ
『情報デザイン原論』出版に寄せて リチャード・ソール・ワーマン ⅴ
編者まえがき ロバート・ヤコブソン ⅸ

第1章 序論??情報デザインはなぜ重要か ロバート・ヤコブソン 1

第I部 情報デザインの理論的裏づけ 9
 
第2章 新しい職種??情報デザイン ロバート・ホーン 11
 情報デザインの定義と目的 11
 情報デザインの必要性 12
 職業分野としての情報デザイン 12
 情報デザインの歴史 13
 構造化ライティング 18
 待たれる統合的研究 18
 緊張関係 19
 価値観の相違 19
 プロとアマ 20
 情報デザインと視覚言語 21
 変わってきた視覚的要素と言葉の割合 22
 結論 22

第3章 混沌,秩序,センスメーキング??情報デザイン論の試み ブレンダ・ダービン 29
 新しくて古い情報デザイン 29
 歴史に見る情報の概念 30
 第8の説とその意味 32
 情報デザイン理論の原則 34
 センスメーキングの理論,方法論,実践 35
 応用例 38
 結論 43

第4章 人間中心のデザイン マイク・クーリー 47
 類い稀なる千年紀 48
 好機 49
 工業化社会の未来 50
 人間中心のシステム(HCS) ??概観 51
 機械ではなく道具 52
 初期結果 55
 過度の構造化 56
 訓練ではなく教育 57
 企業よ,かくあれ! 60
 想像力 62

第5章 情報デザイン??新たな専門分野の誕生(古い概念のめかし直しにすぎないのか) ロメディ・パッシーニ 65
 情報のデザイン 66
 情報デザインの特徴 66
 情報デザインの知識基盤 67
 研究と情報デザイン 67
 情報デザインの落し穴 68
 情報デザインと経路探索 69  
 必要な情報 70
 情報が必要な場所 71
 形と提示の仕方 71
 情報から情報システムへ 72
 情報デザインと職業領域 74

第II部 情報デザインの実践編 79

第6章 一人ひとり違う知覚 ロジャー・ホワイトハウス 81
 知覚の指紋 81
 ザ・ライトハウスのプロジェクト 88
 すべての人のために 99

第7章 博物館その他の公共的空間の情報デザイン C・G・スクリビン 103
 情報デザインの編集者である大衆 106
 事前調査 107
 初期調査 107
 博物館的施設におけるコミュニケーション 108
 学習環境としての博物館など 110
 利用者の注意 111
 学習における注意の役割 112
 情報野 113
 知覚フィルター 114
 展示の効率 116
 意識的注意と無意識的注意 119
 学習 121
 思考様式 122
 動機づけ 124
 強化因子と罰因子 125
 積極的強化因子は,内的因子と外的因子に分けることができる 126
 注意形成における随伴事象の役割 128
 教育にエンターテインメントの要素を混ぜる 129
 目標 132
 目標中心の戦略 134
 失敗をどうするか 138
 目標中心の展示例 139
 最後に 144

第8章 思考・プランニング・問題解決のための視覚化 イボンヌ・M・ハンセン 153
 情報の取得と表示 154
 現象を形にしたパターン 157
 情報のオーバーロード 158
 探索的図解 162
 簡潔な視覚言語の必要性 163
 障害と抵抗 165
 グラフィックツール(GT) 166
 図形モデル 170
 組織におけるGT の活用 172
 要約と結論 173

第9章 立体的ビジュアルデザイン ホール・スウェイツ 177
 情報デザイン 178
 3D 映画とテレビの三次元映像 181
 視覚生理学 182
 画像の解像度 183
 画像のサイズ 184
 三次元サウンド 185
 ホログラフィー 186
 三次元CG:バーチャルリアリティ(VR),バーチャルワールド 188
 情報デザインのモデリング 188
 情報環境の影響 192
 まとめ 193

第10章 協働的情報デザインの実践??シアトルの「モダン・オデュッセイア」プロジェクト ジュディ・アンダーソン 197
 交通システムに関する思考と討論を大衆の間に起こすようにデザインされた
 協働的作業「モダン・オデュッセイア??毎日が冒険の旅」 199
 芸術的協働を促す 207
 学んだこと 208
 意味と可能性 209
 
第Ⅲ部 情報デザインの技術編 211

第11章 情報インタラクションデザイン ネイサン・シェドロフ 213
 情報デザイン 216
 インタラクションデザイン 225
 感覚デザイン 231
 結論? 233

第12章 相互作用性と意味 シィリル・メーシー,エリザベス・アンダーソン,ジョン・クライギア 237
 なぜ意味の伝達はそんなに難しいのか 237
 コミュニケーション環境をより豊かにする 239
 相互作用性の可能性 240
 ユーザー参加で意味をコントロールする 241

第13章 構造的あいまいさ??インタラクティブ芸術の出現 ジム・ガスペリーニ 245
 文学および演劇における相互作用の試み 245
 相互作用性の限界 246
 コンピューター世界のパフォーマンス 247
 構造のあいまいさ 247
 閉鎖型の構造的あいまいさ 248
 開放型の構造的あいまいさ 249
 相互作用的著作か,ゲームか 253
 新しいカテゴリーの名前募集 254
 メディアの力 255
 未来との相互作用 256

第14章 0と1の彫刻 スティーブ・ホルツマン 259
 情報理論 260
 ジュリア・セットのカメレオン 261
 カメレオンのデジタルデザイン 262
 ジュリアセットを作る 264
 バーチャルな実体 266

第15章 サイバースペースの発展について思う サイモン・バーレル 267
 違うアプローチ 268
 それで何がわかるかって? 270
 先駆的作品 271
 前進 275

エピローグ 情報の提示 ジェフ・ラスキン 277
 情報デザインなどというものはない 278
 理論と実践 279
 人間工学と認知学 280
 芸術か,科学か 281
 まとめ 282

索引

監訳者あとがき 生きるためのテンプレートを得るために 篠原稔和

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