実験で学ぶメカトロニクス

TK400SHボード実習

実験で学ぶメカトロニクス

高機能マイコンボードTK400SHを使って「メカトロニクスを実験」で学習。実際に動作させながらメカトロニクスの基礎を学ぶ。

著者 川谷 亮治
高田 直人
ジャンル 全て
電子・通信
出版年月日 2016/04/01
ISBN 9784501331801
判型・ページ数 B5・288ページ
定価 3,740円(本体3,400円+税)
在庫 在庫あり

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高機能マイコンボードTK400SHを使って「メカトロニクスを実験」で学習。実際に動作させながらメカトロニクスの基礎を学ぶ。

 現代社会の快適性,利便性を支えている工学分野の1つがメカトロニクスです。メカトロニクス(Mechatronics)は,機械工学(Mechanics)と電子工学(Electronics)を組み合わせた日本発の造語で,機械,電子,情報,制御などの基盤技術を融合させた総合技術です。電子回路が機械を制御することで,機械だけでは実現が困難であった小型軽量化,省エネ,高速化・高精度化,信頼性の向上,柔軟な適応機能を持たせることができるようになります。
 一例として,家電製品の中で最も省エネ化が進んだとされる冷蔵庫を考えてみましょう。昔は庫内を冷却するために,コンプレッサと呼ばれる回転動力機器を,サーモスタットと呼ばれる簡易的な温度センサでオン・オフ制御をしていました。今では,扉の開閉や食材の分量,庫内温度や周囲温度など,いろいろなセンサを使って冷蔵庫内外の状態を把握し,マイコンによってコンプレッサをきめ細かく運転制御することで冷却力を効率よく調整することが可能になり,大きな省エネ効果を発揮しています。
 メカトロニクスは,このような省エネ技術だけでなく,安全性や利便性の向上などを目的として,様々な分野や用途で活用されています。その意味で,現代の技術者が習得すべきものの1つであるといえるでしょう。しかし,メカトロニクスを自在に駆使するためには非常に広範に渡る知識と経験が必要であり,そのためにメカトロニクス技術者が不足しているのが実状で,彼らの育成が社会から求められています。このような社会的要請に対して,少しでも貢献できたらという願いから本書が生まれました。
 メカトロニクスシステムの基本構成要素はセンサ,アクチュエータ,マイコンです。これらの基本要素の利用法を学習するための最良の題材の1つが自律移動ロボットでしょう。筆者らが開発したTK400SHは,メカトロニクスをこれから学ぼうという初級者から,フィードバック制御を学ぼうとする中・上級者まで使えるメカトロ教育用マイコンボードです。このマイコンボードは,自律移動ロボットに搭載することを想定して設計していますが,初級者の方はまずはじめに,いろいろなセンサをTK400SHに接続して,プログラムを通してその活用方法を学んでください。TK400SHはアナログやディジタルセンサを同時に8個まで接続することができます。センサごとに電源を供給できる独自のコネクタ方式になっています。また,最大出力3.5Aのモータドライバ,RCラジコンサーボドライバをそれぞれ2チャネル搭載しているので,アクチュエータの活用方法についても学習することができます。
 センサとアクチュエータについて学習したい方は,ぜひ自律移動ロボットを製作し,センサとアクチュエータを融合して活用するプログラム作成に挑戦してください。TK400SHは,ボード上にマイコン駆動用電池を搭載しているため,ロボットへの搭載はもちろん,どこにでも持ち込んで使用することができます。他にも,2相ロータリエンコーダを直接接続できる端子を2チャネル搭載しているので,位置制御や速度制御などといったフィードバック制御系を容易に構築できる設計になっています。
 ところで,どんなに優れたマイコンを搭載していても内蔵している周辺機能を利用できなければ,その価値を発揮することができません。そのためには,マイコンに対して様々な設定が必要になり,このことが初心者にとって大きな壁になっていました。筆者らは,簡単なコマンド(関数)に引数を与えるだけでTK400SHが搭載する機能を容易に利用できるようTK400SHボードサポートライブラリを作成しました。このライブラリにより,マイコンの内部構造について十分な知識をもたなくても容易にプログラムを記述でき,アルゴリズムの本質について思考を集中することができます。本書では,できるだけ多くのプログラム例を示すよう心がけました。プログラム例を通して,センサとアクチュエータの使い方を学ぶだけでなく,マイコンを利用することにより,どのようなことが可能になるのかについて読者自身で体験し,メカトロニクスに関する知識を深めていただければと思います。
 本書の刊行にあたって,(株)エル・アンド・エフの菅原祥栄氏と(株)バイナスの渡辺亙氏にはYellowIDEならびにTK400SHの販売に対してご尽力頂きました。この場を借りて心より感謝いたします。
 最後になりましたが,執筆の機会を与えて頂くとともに,刊行に向けて大変な尽力をいただきました東京電機大学出版局編集課の石沢岳彦氏に心より感謝申し上げます。
2016年3月
著者らしるす

◆書籍関連情報◆


関連ファイルのダウンロード
序章
 TK400SHの仕様と特長
 TK400SHの外観と各部の名称
 本書で必要となる準備品
第1章 マイコンボードTK400SHの基本的な入出力
 1.1 LCD(液晶ディスプレイ)への文字・数字表示
 1.2 LEDの点滅(ディジタル出力)
 1.3 スイッチ(ディジタル入力)
 1.4 関数の活用
 1.5 乱数の生成
 1.6 配列
 章末問題
第2章 マイコンボードTK400SHの入出力端子の活用
 2.1 汎用I/Oポート
 2.2 ディジタル・アナログ入力ポート
 2.3 DCモータ
 2.4 RCサーボ
 2.5 ロータリーエンコーダ
 章末問題
第3章 シリアル通信機能の活用
 3.1 シリアル通信の基礎
 3.2 RS232通信の応用例~GPSモジュールの接続~
 3.3 シリアル通信の応用例~I2C通信とSPI通信~
第4章 センサとアクチュエータの活用
 4.1 センサの活用
 4.2 アクチュエータの活用
第5章 割り込み処理
 5.1 割り込み処理とは
 5.2 コンペアマッチタイマ(CMT)割り込み
 5.3 多重割り込みを使った「反射神経ゲーム」の作成
章末問題
付録
参考文献
索引

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